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大塚裕史の刑法通信

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刑法コラム第110回

新判例③:業務上横領罪における身分!?

判例情報

2024.04.19

非占有者が業務上横領に関与した場合について、古い判例(最判昭32・11・19)は業務上横領罪の共同正犯が成立するが、科刑は横領罪の限度にとどめるという考え方を示していた。しかし、学説はこぞってこれに反対していた。なぜなら、占有者が業務上横領に関与した場合でさえ横領罪の共同正犯しか成立しないのに、非占有者の場合を業務上横領罪の共同正犯とするのは均衡を欠くし、罪名と科刑を分離するのは妥当でないからである。そこで、通説は業務上横領罪は、「占有者」という身分と「業務者」という身分が複合した犯罪(複合的身分犯)であると解し、非占有者には、65条1項と2項を適用して横領罪の共同正犯と解してきた。ところが、最高裁は、令和4年6月9日判決で、従来の判例の立場を維持することを明らかにした。業務上横領罪を占有者と業務者という複合的身分犯とする通説の考え方をとらなかったのは、業務上横領罪は業務者を主体とする身分犯ではなく、占有が業務に基づくものといえるかが問題であり、業務は占有の性質を表すものだからである。本判決は、厳密には新判例ではないが、昭和32年判決の考えを追認することにより業務上横領罪における身分は「業務上占有者」という構成的身分であるという立場を明らかにし、この問題に決着をつけたものとして注目に値する。

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