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新判例①:すり替え事案と窃盗罪の実行の着手

大塚裕史の刑法通信

刑法コラム第70回

新判例①:すり替え事案と窃盗罪の実行の着手

判例情報

2023.05.29

近時、架け子役が被害者に電話をかけ、キャッシュカードを封筒に入れて保管することが必要でありこれから訪れる者が作業を行う旨信じさせ、すり替え役が被害者宅を訪れ、封筒に割り印をするための印鑑を被害者に取りに行かせた隙にキャッシュカード入りの封筒と偽封筒とをすり替えてキャッシュカードを窃取するというタイプの窃盗罪が横行している。こうした中で、最高裁は、令和4年2月14日、このような「すり替え事案」について、すり替え役が被害者宅付近前まで赴いた時点で窃盗罪の実行の着手を認めた。窃盗罪の実行の着手に関する伝統的な考え方によれば、すり替え役が被害者に対してキャッシュカード入りの封筒から注意をそらすための行為をした時点で実行の着手を認めることになる。しかし、最高裁は、被害者宅に訪問する前の時点で、具体的には、被害者宅まで約140mの路上まで赴いた時点で着手を認めている。これは、行為者の「犯行計画」を考慮すれば、この時点で、被害者がすり替え役の説明や指示に従うなどして封筒から注意をそらし、その隙にすり替え役がキャッシュカード入りの封筒と偽封筒とをすり替えてキャッシュカードの占有を侵害するに至る危険性が認められるからである。本判例が、すり替え役が被害者宅に訪問した時点(訪問時説)よりも前に、架け子役が被害者宅にうその電話を掛けた時点(架電時説)よりも後に実行の着手を肯定している点が注目される。

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