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不能犯と実行の着手はどのような関係があるのか!?

大塚裕史の刑法通信

刑法コラム第14回

不能犯と実行の着手はどのような関係があるのか!?

総論

2022.03.14

不能犯は実行の着手の判断そのものだと思っている受験生が少なくない。そのため、「…の行為は不能犯にならない。よって××罪の実行の着手がある。」という答案にしばしば遭遇する。しかし、不能犯は結果発生の抽象的な危険性すらない場合をいうのに対し、実行の着手は(未遂犯の処罰を肯定できるだけの)結果発生の具体的危険性が認められることをいうので、不能犯でないからといって当然に実行の着手が認められるわけではないことに注意する必要がある。例えば、キャッシュカードを盗んだ甲が預金額を目いっぱい引き出すために預金残高を調べようとして銀行のATMにカードを挿入した際に、暗証番号が分からなかったので適当な数字を入力したため残高照会ができなかったという事案において、窃盗未遂罪は成立するであろうか。この問題では、暗証番号と異なる数字を入力しているため不能犯にならないかをまず検討し、不能犯ではないということになったら、次に、残高照会をしようとする行為の時点で窃盗罪の実行の着手が認められるかを検討しなければならない。残高照会行為は、預金を引出す行為(窃取行為)の準備段階にすぎないからである。このように、不能犯は実行の着手の前提問題にすぎないのである。

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