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判例はいわゆる「占有説」ではない!?

大塚裕史の刑法通信

刑法コラム第15回

判例はいわゆる「占有説」ではない!?

各論

2022.03.21

窃盗罪の保護法益について「本権説」と「占有説」が対立しており、判例は後者を支持していると説明されることがある。しかし、この説明は明らかに誤りである。占有説は、窃盗罪の保護法益は「占有」と解し、235条の「他人の財物」は「他人が占有する財物」を意味し、自己所有物であっても他人が占有している物を無断で持ち出せば235条に該当する。そのため、242条に単なる注意規定であると理解される。しかし、判例によると、235条は「所有権」を保護する規定であり、同条の「他人の財物」は「他人が所有する財物」を意味するので、自己所有物は235条の客体には当たらない。そこで、他人が占有する自己所有物を無断で取り戻す行為を処罰するために設けられたのが242条である。そして、判例は、242条の「他人が占有…する」の「占有」の意味を違法な占有をも含むと解釈し、そのような242条を適用することにより、初めて自己所有物を無断で取り戻す行為が235条の窃盗罪に該当することになる。結局、判例によれば、235条はもともと所有権を保護するものであるが、242条の適用により235条の処罰範囲が拡張し占有までも保護することになる。判例は占有をも保護法益としているが、学説の占有説とは根本的に異なることに注意すべきである。

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