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「人格の同一性」をどのように判断するか!?

大塚裕史の刑法通信

刑法コラム第63回

「人格の同一性」をどのように判断するか!?

刑法各論

2023.3.20

文書偽造罪における「偽造」とは、名義人と作成者との間の「人格の同一性」を偽ることをいう。「氏名」の同一性ではなく「人格」の同一性の齟齬が問題となる。その判断においては人格の「存在」が同一か否かが問題となる。例えば、以前から乙の名前で社会生活を営んでいた甲が乙の名前で契約書を作成した場合、名義人は乙、作成者は甲となるが、名義人の氏名は乙であってもそれは甲の人格にたどり着くから、人格の同一性に齟齬はない。もっとも、人格の「存在」だけでなく人格の「性質」も人格の重要な要素となる場合がある。例えば、乙名義で多重債務を負担した甲が、乙名義では金融機関からの借り入れができないため、甲名義の借入申込書を作成した場合、名義人は甲で、作成者も甲であるから一見すると「偽造」に当たらないようにみえる。しかし、何が人格の本質的要素であるかは文書の性質によって決まる。借入申込書という文書は、金融会社が信用情報を照会する特殊な文書であるから、多重債務者であるか否かは重要な要素である。そこで、この文書の名義人は「多重債務者ではない甲」であり、作成者は「多重債務者である甲」であり、人格の同一性に偽りがあるので「偽造」に当たる。文書の性質如何では、人格の存在(甲)と人格の性質(多重債務者)を切り離すことができない場合があることに注意すべきである。

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