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厳格責任説と制限責任説の違いは何か!?

大塚裕史の刑法通信

刑法コラム第64回

厳格責任説と制限責任説の違いは何か!?

刑法総論

2023.3.27

判例・通説によれば、故意があっても違法性の意識の可能性がなければ犯罪は成立しない。この場合、違法性の意識の可能性を故意の要件と考える立場を制限故意説といい、故意とは別の責任阻却事由と考える立場を責任説という。学説の多数は責任説をとっている。問題はその先で、責任説の中で、故意とは構成要件該当事実の認識・認容をいうとする見解と故意とは犯罪事実の認識・認容をいうとする見解が対立している。前者を厳格責任説、後者を制限責任説といい、後者が通説である。両説の違いは、誤想防衛の場合に現れる。例えば、急迫不正の侵害がないのにあると勘違いし、相当な防衛行為を行った結果、被害者に傷害を負わせた事例では、制限責任説によると、傷害罪の構成要件に該当し、正当防衛は成立しないので違法となり、正当防衛の認識がある以上犯罪事実の認識に欠けるので(責任)故意が否定され傷害罪は成立しない。過失があれば過失傷害罪となる。これに対し、厳格責任説によると、故意とは構成要件的故意だけを意味するので、傷害罪の構成要件に該当し、正当防衛は成立しないので違法となり、違法性の意識の可能性があれば責任は阻却されず傷害罪が成立し、違法性の意識の可能性がなければ責任が阻却されて不可罰となる。故意の認識対象を構成要件該当事実だけに限定するか、それ以外の違法性を基礎づける事実を含むかが両説の違いである。

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