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大塚裕史の刑法通信

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刑法コラム第98回

クロロホルム判例の正しい読み方!?

刑法総論

2024.01.19

受験生の答案をみると、クロロホルム事件判例(最決平16・3・22)を誤って理解しているものが少なくない。同事件は、クロロホルムを吸引させ失神させた上で(計画上の第1行為)、海中に転落させて溺死させる(計画上の第2行為)予定であったが、実際には、第1行為によりクロロホルムの作用で死亡し(現実の第1行為)、死亡していることを知らずに海中に投棄した(現実の第2行為)という事案である。本判例は2つの行為の一体性を論じているが、それを現実の第1行為と第2行為の一体性を論じていると誤解している受験生が存在する。しかし、現実の第1行為は殺人行為、第2行為は死体遺棄行為であり、保護法益が異なるのでこれを1個の行為とみることはできない。したがって、現実に行われた2つの行為は別々の行為として検討するしかない。そこで、現実の第1行為が殺人の実行行為といえるかが問題となり、第1行為の開始時点で実行の着手が認められるかを判断する必要があるところ、判例は、実行の着手の判断において行為者の犯行計画を考慮する立場をとっているので、計画上の第1行為と計画上の第2行為が1個の行為といえるかを検討しなければならない。そのため、判例は、計画上の第1行為と計画上の第2行為の一体性を検討しているのである。したがって、答案においても、現実の2つの行為の一体性を検討していると誤解されるような表現は避けなければならない。

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