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実行共同正犯の論じ方とは!?

大塚裕史の刑法通信

刑法コラム第86回

実行共同正犯の論じ方とは!?

刑法総論

2023.10.09

受験生の答案をみると、実行共同正犯の事例であるのに、単独正犯で論述しようとする傾向がある。しかし、例えば、問題文に「甲と乙は二人で共同してVを包丁で脅して金品を奪った」としか書いていないのに、甲と乙に強盗罪の単独正犯の成立を認めるのは適切ではない。各人が行った行為の内容が特定されていないからである。また、単独正犯が成立することが明らかな場合であっても実行共同正犯として処理する方が適切な場合もある。例えば、「甲と乙は二人で共同してVに対して暴行を加えそれぞれが負傷させた」という事案であれば、甲も乙も傷害罪の単独正犯が成立するが、単独正犯として評価するとそれぞれ自分が惹起した結果しか帰責できない。しかし、共同正犯であればすべての負傷結果について刑事責任を負うことになる。しかも、共同して暴行を加えているのであれば共同正犯と評価する方が実態に即している。実行共同正犯も共謀共同正犯も、刑法60条の共同正犯である以上、その成立要件は同一である。しかし、論述のポイントは明らかに異なる。共謀共同正犯の場合は、実行行為を行っていない者であることから、正犯意思や結果に対する重大な寄与が認められるかを丁寧に説明する必要がある。これに対し、実行共同正犯の場合は、実行行為を行っているので、正犯意思や重大な寄与は問題にならない。行為者の間に相互的意思連絡が認められるか否かがポイントとなる。

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