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「財産的損害」の有無をどこで論ずるのか!?

大塚裕史の刑法通信

刑法コラム第38回

「財産的損害」の有無をどこで論ずるのか!?

各論

2022.09.12

詐欺罪では「財産的損害」の有無が最も重要な論点である。財産的損害というのは、詐欺罪における法益侵害の問題であることから、受験生の中には、欺罔行為、錯誤、交付行為について説明した後に、「財産的損害があるか」という問題提起をしてこの問題を論じる答案が少なくない。しかし、この論述だと、欺罔行為の存在を肯定しているため、財産的損害が認められないケースが詐欺未遂罪となってしまう。しかし、財産的損害が否定される事案のほとんどは、そもそも財産的損害の危険性すらないケースである。そもそも、実行行為というのは法益侵害の現実的危険性をもった行為であるから、財産的損害の危険性がなければ欺罔行為とはいえない。そこで、財産的損害の論点は、財産的損害の危険性の問題として「欺罔行為」という要件の中で検討しなければならない。財産的損害の危険性がなければ欺罔行為とはいえないのである。財産的損害の危険性が認められるために欺罔行為性が肯定された場合は、錯誤、交付行為、受領行為が認められる限り詐欺罪が成立するので、現実に財産的損害が発生しているかを説明する必要はない。財産的損害の危険性がありながら財産的損害が発生しないというケースは理論的にはあり得るが、判例上そのような事案は存在しないので無視してよいだろう。

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