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図利加害目的の論じ方とは!?

大塚裕史の刑法通信

刑法コラム第87回

図利加害目的の論じ方とは!?

刑法各論

2023.10.16

背任罪が成立するためには、「自己若しくは第三者の利益を図り又は本人に損害を加える目的」が必要である(247条)。受験生の答案を見ると、この要件の意味を正しく理解できていないものが少なくない。たしかに、246条の文言からは、自己図利目的、第三者図利目的、本人加害目的のいずれかが積極的に肯定できなければならないようにみえる。しかし、図利加害の積極的な動機を必要とすると、本人の利益を図るつもりも、自己や第三者の利益を図るつもりもない漠然とした職務怠慢行為によって本人に損害を加えても、図利加害目的がないという理由で背任罪の成立を否定せざるを得なくなり妥当ではない。そこで、判例・通説は、図利加害目的という要件は、任務違背行為が本人の利益を図る目的で行われた場合を処罰から除外するための要件と理解する。つまり、図利加害目的は、本人図利目的がなかった場合を裏から示す要件にすぎないのである(消極的動機説)。そこで、本人図利が主たる動機である場合、図利加害目的は否定される。これに対し、本人図利が主たる動機ではない場合は、図利加害目的を肯定する余地がでてくるが、247条に「自己若しくは第三者の利益を図り又は本人に損害を加える目的」と記載されていることから、自己図利か第三者図利か本人加害の「認識」が必要であり、それがあれば図利加害目的を肯定することができる。

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