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財産犯に関する論点の根底にあるもの!?

大塚裕史の刑法通信

刑法コラム第59回

財産犯に関する論点の根底にあるもの!?

刑法各論

2023.2.20

財産犯をめぐる諸論点を学ぶに当たって、財産犯の処罰目的をめぐる見解の対立を意識する必要がある。この点、財産秩序の維持を目的とするのであれば、民法と切り離して財産犯の成否を検討することになる(刑法独立性)、これに対し、財産権の保護を目的とするのであれば、財産権を規定するのは民法であるから民法と連動して財産犯の成否を検討することになる(民法従属性)。刑法は他の法規範だけでは保護が十分でない法益を刑罰を使って保護するものであり、刑罰権の行使は必要最小限度でなければならない(謙抑主義)。そうだとすると、財産犯は民法が規定する財産権を補充的に保護すべきであり、民法が保護していないような利益を刑罰を使って保護するのは妥当でない。このように考えれば、財産犯の解釈の根底には「民法従属性」が存在することになる。例えば、誤振込みの事例では、民事法上受取人に預金債権が成立しているので、受取人が窓口で誤振込金を払戻す行為に詐欺罪が成立するかを検討するに当たって預金債権の成立を前提にしなければならない。したがって、払戻し行為自体は正当な払戻権限の行使に当たり、誤振込みの事実を告知しなかったことだけが問題となるので、不作為による欺罔行為と理解される。払戻し行為を、作為、不作為いずれの欺罔行為とみるかは、財産犯の処罰目的をどのように理解するかに関連する問題であることに留意する必要がある。

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