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『応用刑法Ⅰ総論』の発刊にあたって!?

大塚裕史の刑法通信

刑法コラム第56回

『応用刑法Ⅰ総論』の発刊にあたって!?

刑法総論

2023.1.30

この度出版された『応用刑法Ⅰ総論』に関して既に様々なご質問を頂いている。第1は法セミに連載した内容との違いであるが、総論の連載開始は2015年秋でありそれから7年以上の月日が経っている。そこで、単行本化に当たっては、連載時以降に登場した判例や学説の動向を踏まえて大幅に加筆修正を施している。
第2に、本書の(類書にはない)特徴についてであるが、本書は判例実務の結論を既存の刑法学説を参考に理論的に説明している点に大きな特徴がある。司法試験の受験生は判例実務の立場で答案を書くことになるが、判例実務の考え方を理論的に説明しているので、本書を読むことで論点についてどのような論証をすればよいのかが自ずとわかる仕組みになっている。
第3に、『基本刑法Ⅰ』との関係であるが、本書は基本刑法Ⅰの副読本であり、基本刑法が教科書であることの制約から掘り下げて説明することができないことに鑑み、重要論点を深く正確に理解できるように詳細な解説を加えたのが本書である。したがって、応用刑法という書名ではあるが、基本刑法の学習を終えてから読む本ではなく、基本刑法の学習の際に随時参照して論点に対する理解を深めるためのガイドブックである。
第4に、読み方であるが、本書は1頁から通読しなければならないような本ではなく、苦手な論点、気になる論点からアットランダムに読み進めるという形で活用するのがよい。

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