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具体的危険説と危険の現実化説は両立するか!?

大塚裕史の刑法通信

刑法コラム第13回

具体的危険説と危険の現実化説は両立するか!?

総論

2022.03.07

因果関係については危険の現実化説をとりながら、不能犯については具体的危険説をとる受験生が少なくない。しかし、両説は違法判断の考え方が異なる。前者は裁判時を基準とした違法判断であるのに対し、後者は行為時の一般人を基準とした違法判断である。そこで、1つの事例問題の中で因果関係と不能犯という2つの論点が出題された場合に矛盾が生ずる可能性がある。特に、危険性の判断資料を一般人が認識可能な事情および(一般人にとって認識不可能でも)行為者が特に認識した事情に限定しながら、危険の現実化の判断資料を客観的に存在する全事情とすることは理論的に両立しがたい。危険の現実化説といっても、判断資料を限定する立場に立つならともかく、判例のように判断資料を限定しない立場をとるのであれば具体的危険説とは両立しない。ちなみに、判例は、不能犯に関して、具体的危険説を採用していない。たしかに、具体的危険説に親和的な裁判例はあるが、大審院・最高裁レベルでは具体的危険説が採用されたことはなく、修正された客観的危険説に親和的である。具体的危険説と折衷的相当因果関係説は理論的に整合性があるが、具体的危険説と危険の現実化説は相性があまりよろしくない。そのあたりのことも考えて、答案に採用する学説を選択するとよいであろう。

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