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「財産的損害」の有無がなぜ問題になるのか!?

大塚裕史の刑法通信

刑法コラム第39回

「財産的損害」の有無がなぜ問題になるのか!?

各論

2022.09.19

窃盗罪では窃取により財物の占有を移転すれば同罪が成立し、あえて財産的損害の有無を検討する必要はない。「占有移転=財産的損害」といえるからである。これに対し、詐欺罪では交付行為によって財物の占有が移転しているのに同罪が成立しないことがある。詐欺罪の場合、常に「占有移転=財産的損害」とは限らないので、占有移転とは別に財産的損害の有無を検討しなければならない。詐欺罪においては財物は交換取引の対象として保護されるので、交換取引目的が達成できていれば占有が移転しても財産的損害は認められない。「16歳の少年が書店主に対して年齢を詐称して18歳未満の者には販売しない書籍を定価通り購入した」という設例において、書店主は、年齢を騙され18歳以上の者であるとの錯誤に陥り書籍を交付し、書籍という個別の財産を喪失している。しかし、その代り定価相当の代金を回収しているので経済的な取引目的を達成できている。18歳未満の少年には販売したくないという意思決定の自由は害されたけれど、財産的な損害はない。したがって、詐欺罪は成立しない。また、財産的損害の危険性もないので欺罔行為性も否定され詐欺未遂罪も成立しない。詐欺罪においては、個別財産の喪失が実質的にみて法益侵害と評価できる場合に財産的損害が認められることに注意する必要がある。

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