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「占有侵害」の2つの意味!?

大塚裕史の刑法通信

刑法コラム第16回

「占有侵害」の2つの意味!?

各論

2022.03.28

窃盗罪(235条)において「占有侵害」には2つの異なる意味がある。1つは、行為態様としての「占有侵害」であり、もう1つは法益侵害としての「占有侵害」である。前者は、窃盗罪の実行行為である「窃取」が財物に対する占有を他人から行為者側に移転させる行為であることから、行為態様として要求される「占有侵害」である。この意味での占有侵害は窃盗罪の保護法益に関していかなる立場をとっても必要な要件であり、占有を侵害する行為が窃盗罪の実行行為性を基礎づけることになる。そして、窃取という行為は、他人が財物を占有していなければをこれを行うことができないため、「他人の財物」は他人が占有する他人の所有物を意味することになる。「窃盗罪の保護法益は占有にあるので『他人の財物』とは他人が占有する他人の所有物である」とする答案にしばしば遭遇するがこの論証は誤りである。「他人の財物」が他人の占有する財物でなければならないのは窃取という行為の客体だからであり、保護法益をどのように解するかとは全く関係がないことに注意する必要がある。後者の占有侵害は、窃盗罪の保護法益が「占有」に(も)あることを肯定する見解をとった場合の法益侵害を意味する。このように、行為態様としての占有侵害と法益侵害としての占有侵害は異なるものであるから、両者を混同してはならない。

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