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大塚裕史の刑法通信

大塚裕史の刑法通信

刑法コラム第92回

「論点」が故意の問題に化けるとは!?

刑法総合

2023.11.20

論点は犯罪成立の客観的要件に関わるものが圧倒的に多い。例えば、「死者の占有」という論点は窃盗罪における「窃取」という客観的要件に関わるものである。ところが、そのような論点が故意という主観的要件の検討の際に論点として登場することがある。令和5年の予備試験では、「甲がXを殺すために首を両手で強く締め付け、Xがぐったりしたので死亡したものと思い込み、死体遺棄の目的でXの身体を抱え上げたときにそのズボンのポケットから床に落ちた財布から3万円を抜き取った」という事例が出題された。Xはまだ生きているので、甲が3万円を抜き取った行為は「他人の財物」を「窃取した」といえる。問題は、甲に窃盗罪の故意が認められるかである。故意とは犯罪事実の認識・認容をいう。〇〇罪の故意があるか否かの判定方法は、仮に行為者が認識していた通りの事実(仮定的事実)が客観的に存在していた場合、〇〇罪が成立するか否かを検討すればよい。本事例の場合、甲はXを殺し、その5分後に3万円を抜き取ったという(仮定的)事実が客観的に存在したとして、甲に窃盗罪が成立するか否かが問題となる。その解決の鍵を握るのが「死者の占有」という論点である。通説によれば、甲の行為は占有離脱物横領罪となるのに対し、判例によれば、窃盗罪が成立する。したがって、判例の立場によれば、甲には窃盗罪の故意が肯定され、窃盗罪が成立することになる。

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