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大塚裕史の刑法通信

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司法試験・予備試験受験生の多くが利用している『基本刑法』『応用刑法』の執筆者、大塚裕史先生が、刑法に関する様々な話題を試験に役立つかたちで定期的にお届けします!

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「法条競合」って何(その2)?!

刑法学習法等

2026.7.28

法条競合には、業務上横領罪と横領罪のように、2つの構成要件に一般法と特別法の関係があり、特別法(業務上横領罪)は一般法(横領罪)に優先するというタイプ(特別関係)のほかに、殺人罪と殺人未遂罪のように、2つの構成要件に基本法と補充法の関係があり、基本法(殺人罪)は補充法(殺人未遂罪)に優先するというタイプ(補充関係)もある。また、横領罪と背任罪のように、2つの構成要件に交差する関係(重なり合う部分が存在する関係)がある場合、法益侵害が1個であることを理由に、一方の構成要件(例えば横領罪)を適用し、他方の構成要件(例えば背任罪)の適用を排斥するタイプ(択一関係)もある。例えば、銀行の支店長が貸付けを受ける資格と信用のない友人に、正規の貸付手続を踏まず無担保で貸し付けたという事例では、支店長の行為により銀行の法益が1個侵害されたにすぎないので、2罪の成立を認めるのは妥当でなく、業務上横領罪と背任罪のいずれかが成立する。この場合、法定刑の重い業務上横領罪の成否から検討し、同罪が成立したときは背任罪の成否は検討するまでもない。以上の通り、法条競合には3つのタイプがあるが、いずれも2個の構成要件に該当するようにみえても、一定の理由(特別関係、補充関係、択一関係)で1個の法益侵害しか認められないので一罪となるのである。


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