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大塚裕史の刑法通信

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司法試験・予備試験受験生の多くが利用している『基本刑法』『応用刑法』の執筆者、大塚裕史先生が、刑法に関する様々な話題を試験に役立つかたちで定期的にお届けします!

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「法条競合」って何(その1)?!

刑法学習法等

2026.6.5

罪数論を苦手とする受験生は少なくない。なぜなら罪数論を暗記科目と考えているからである。しかし、罪数論は極めて理論的な分野であり内容を理解しさえすれば覚えることはほとんどない。ここでは、本来的一罪の1つである「法条競合」を取り上げることにしたい。法条競合とは「1個の行為」によって「1個の結果」を発生させたけれども「2個の構成要件に該当する」ように「みえる」場合をいう。「みえる」だけで実は2個の構成要件には該当しないのである。 例えば、A社の経理係として金銭を保管していた者がその一部を使い込んでしまった場合、「自己の占有するA社の金銭」を横領したので横領罪の構成要件に、その保管は経理係という業務に基づくものであるから「業務上自己の占有するA社の金銭」を横領したので業務上横領罪の構成要件に該当するようにみえる。しかし、2個の構成要件に該当するようにみえても、A社の法益を1個侵害しただけであるから一罪しか成立しえない。では、横領罪、業務上横領罪いずれが成立するか。この点、横領罪が一般法で、業務上横領罪が特別法の関係に立つので、「特別法は一般法に優先する」という原則により、特別法である業務上横領罪の構成要件にだけ該当すると考えることになる。横領罪の構成要件には該当しないとするのである。この事例は、横領と業務上横領という「法」律の「条」文が「競合」するケースなので「法条競合」と呼ばれている。


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