司法試験新時代、法曹へのルートは2つ。キーワードは早めのスタート
ご存知のように、裁判官・弁護士・検察官といった法律家になるためには、司法試験に合格しなければなりません。しかし、司法試験は誰もが自由に出願し受験することができる試験ではなく、一定の受験資格が必要とされています。そして、法律家へのルートは、この司法試験の受験資格の取得のしかたにより、大きく2つのルートに分けられます。
その一つは、法科大学院に進学・修了することで司法試験の受験資格を取得する法科大学院ルート、もう一つは司法試験予備試験に合格する予備試験ルートです。
法律家になるための標準的なルートが法科大学院ルート、これに対して、法科大学院に進学する時間的経済的余裕が無い受験生や、大学在学中の司法試験合格など法科大学院ルートよりも早く司法試験に合格したい受験生が利用するのが予備試験ルートです。
いずれのルートで受験資格を取得しても、最後に受験する司法試験は同じ試験を受験します。

永野講師が動画で解説!
司法試験の受験資格を取得するための2つのルート
2つのルートの比較
Route①法科大学院ルート
Route②予備試験ルート
法科大学院で受験資格を取得
時間的・経済的負担は大きいが比較的確実性の高いルート
試験で受験資格を取得
確実性は高くはないが、時間的経済的負担が少ないルート
受験資格
原則として法科大学院への進学には、4年制大学を卒業していることが必要。
学歴や年齢の制限はありません。
経済的不安
法科大学院の学費として、総額で300万〜500万円程度が必要。ただし、経済的負担を軽減するための奨学金制度を設けている大学院も多い。
書籍代や資格スクールの受講料などで50万円〜150万円程度。ただし、合格までの期間により、負担は大きく異なる。
所要時間
大学入学から司法試験受験資格取得までの期間は、法学既修者コースで6年(大学4年+法科大学院2年)、法学未修者コースで7年(大学4年法科大学院3年)。
学習開始から最短なら2年程度で司法試験の受験資格の取得が可能。ただし、難関試験のため、合格までに法科大学院以上の時間がかかる可能性もある。
法律知識の要否
法科大学院入試では、法学未修者コースなら法律的な知識は不要、既修者コースでも予備試験ほどハイレベルな知識は必要ありません。
予備試験の合格には、法科大学院修了者と同等の、ハイレベルな法律知識と実務知識が必要。
司法試験受験までの流れ
Route①法科大学院ルート
Route②予備試験ルート
法学既修者試験
- 実施時期
- 毎年7月下旬実施
- 試験科目
- [必須]憲法・民法・刑法
- [任意]民事訴訟法・刑事訴訟法
- 試験形態
- ①正誤問題と②択一問題〜マークシート方式
- 試験時間
- 憲法・民法・刑法90分〜民事訴訟法・刑事訴訟法60分
- 法学既修者試験必須大学院
- 中央大学・立教大学・明治大学・早稲田大学・慶応義塾大学
※2015年受験要項によります。
短答式試験
- 実施時期
- 毎年5月中旬実施
- 試験科目
- 憲法・民法・刑法・商法・民事訴訟法・刑事訴訟法・行政法・一般教養
- 試験形態
- 短答形式によるマークシート試験
- 試験時間
- 憲法・行政法あわせて1時間
- 民法・商法・民事訴訟法あわせて1時間30分
- 刑法・刑事訴訟法あわせて1時間
※それぞれ一括した試験時間で実施 - 一般教養1時間30分
※平成27年司法試験予備試験受験案内より
法科大学院入試
- 実施時期
- 私立大学:8月〜9月頃
- 国公立大学:10月〜11月頃
- 試験科目
- 各大学により異なる
- 既修者は主に基本7科目
- 未修者は主に小論文・面接
- 試験形態
- 各大学により異なる
- 入試詳細発表時期
- 実施年の1〜7月に各大学HPにて発表
- 出願時期
- 私立大学:7月〜8月頃
- 国公立大学:9月〜10月頃
論文式試験
- 実施時期
- 毎年7月中旬実施
- 試験科目
- 憲法・民法・刑法・商法・民事訴訟法・刑事訴訟法・行政法・一般教養・法律実務基礎科目(民事)・法律実務基礎科目(刑事)
- 試験形態
- 論文形式
- 試験時間
- 憲法・行政法あわせて2時間20分
- 民法・商法・民事訴訟法あわせて3時間30分
- 刑法・刑事訴訟法あわせて2時間20分
※それぞれ一括した試験時間で実施 - 一般教養1時間
- 法律実務基礎科目(民事及び刑事)3時間
※平成27年司法試験予備試験受験案内より
法科大学院
- 法学未修者コース(3年)
- 本来、基本履修形態とされているコース。入学に際しては一切の法律知識は問わないため、全く法律を知らない状態でも入学ができる。1年目の基礎法律科目履修後に既修者と合流することになる。残念ながら、未修者コース修了生の司法試験合格率は、既修者コース修了生のおよそ半分となっている。
- 法学既修者コース(2年)
- 1年目の基礎法律科目履修を免除されるため、2年間の実務科目のみの履修で修了可能。入学に際して、かなりのレベルの法律知識と論文式によるその表現力を問うので、入学時点で相当の学力が必要とされる。難関法科大学院既修入学の試験では、旧司法試験の論文試験以上に難しい問題も出題されることがある。
口述試験
- 実施時期
- 毎年10月下旬実施
- 試験科目
- 法律実務基礎科目(民事)・法律実務基礎科目(刑事)
- 試験形態
- 口頭試問形式
- 試験時間
- 明示なし
※平成27年司法試験予備試験受験案内より
司法試験
- 実施時期
- 5月中旬の4日間
- 試験科目
- 公法系(憲法・行政法)、民事系(民法・商法・民事訴訟法)、刑事系(刑法・刑事訴訟法)、選択科目
- 試験形態
- 1〜3日目〜論文式試験、4日目〜短答式試験
- 試験時間
- 論文式試験:2時間/1問 ※選択科目のみ3時間で2問
- 短答式試験:民法(75分)、憲法(50分)、刑法(50分)
- 最終合否通知
- 9月上旬 ※平成27年司法試験受験案内による
[受験回数制限]
法科大学院修了または司法試験予備試験合格から5年以内に5回