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作論点の本質論に遡るとは!?

大塚裕史の刑法通信

刑法コラム第73回

作論点の本質論に遡るとは!?

刑法学習法

2023.06.19

論点の理解に当たっては本質論に遡ることが重要である。本質論とは刑法の基本原理・原則のことをいう。例えば、XとYが意思の連絡なしにVに暴行を加えVが傷害を負ったが、いずれの暴行が傷害の原因であったかわからなかったという場合、207条(同時傷害の特例)の要件を充足していれば2人とも傷害罪の共同正犯が成立する。問題となるのは、その後Vが死亡した場合に207条を適用できるか否かである。通説はこれを否定し、判例はこれを肯定する。通説は、207条が「傷害した場合」と規定している以上、「死亡した場合」にまで拡大適用すべきではないと考える(罪刑法定主義の重視)。これに対し、判例は、207条はいずれの暴行が傷害の原因となのかの立証の困難さを救済する規定であるから、傷害の結果死亡した場合も同様に立証が困難である以上、207条を適用すべきであると主張する(法益保護主義の重視)。もし、判例の立場に立つのであれば罪刑法定主義との調和を図る必要がある。この点、207条は「傷害した場合」と規定されているが、傷害の結果として死亡した場合も「傷害した場合」に含まれると解したとしても類推解釈の禁止には抵触しないと反論することになろう。この例からも分かるように、論点というのは、法益保護主義と罪刑法定主義(あるいは謙抑主義や責任主義)とが衝突する場面で、両者をどのように調整するかの問題であることを理解する必要がある。

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