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「公共の危険」の認定における盲点とは!?

大塚裕史の刑法通信

刑法コラム第48回

「公共の危険」の認定における盲点とは!?

刑法各論

2022.11.21

自動車に放火した場合、公共の危険を発生させなければ建造物等以外放火罪(110条)は成立せず、器物損壊罪(261条)が成立するにすぎない。例えば、周囲に建物がない場所で1台の自動車(X車)に放火したところ、たまたま近くに駐車してあった3台の自動車(A車、B車、C車)に延焼する危険性が生じたという事例でこの問題を考えてみよう。第1に、周囲に建物が存在しないため、X車に放火しても建物に延焼する可能性がない以上公共の危険は発生しないとする有力説がある。建物に延焼しなければ放火罪で処罰するに値するほどの危険はないからである。しかし、判例は、建物に延焼する可能性がなくても、不特定または多数人の生命・身体・財産に危険が及ぶ以上、公共の危険は肯定し得るとしている。第2に、3台の自動車はA、B、C3人の財産であるが、3人は「少数」なので公共の危険と言えるかが問題となる。この点は、多くの受験生が見落としている盲点である。不特定または多数人の財産に対する危険でなければ公共の危険とはいえないが、3台の車は放火犯人とは無関係に「偶然」その場所に駐車されていたにすぎないので「不特定の人」の財産と考えれば、公共の危険を肯定することが可能となる。110条は試験に出やすい犯罪であるから、これらの問題点をしっかり理解しておくことが重要である。

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