
企業研究職×知財専門家への挑戦
須郷 秀武さん
| 年齢 | 34歳 |
|---|---|
| 受験回数 | 3回 |
| 職業 | 会社員 |
| 出身校 | 東北大学大学院 工学研究科 技術社会システム専攻 |
| 受講講座 | 1年合格ベーシックコース インプット+アウトプット一括 短答&論文一気合格コース |
| 選択科目 | 免除あり:エンベデッドシステムスペシャリスト試験 |
弁理士を目指した理由・きっかけ
弁理士という資格を知ったのは、大学院時代の知的財産権論の講義の中でした。もともと文理融合型の専攻に所属していた自分にとって、弁理士という資格は非常に興味深いものではありましたが、学生時代は研究に没頭することを選択しました。その後、企業の研究開発部門に配属されることになりますが、コロナ禍でいろいろな価値観が変容する中、自分自身の中でも「自律的なキャリア形成をしたい」と想いが強くなり、現職とのシナジーも強い弁理士資格に改めて挑戦することを決意しました。
LECを選んだ理由
受験を決意した時点ですでに30歳だった自分にとって、独学で資格取得まで遠回りしている時間はないと感じていました。いろいろと情報収集する中で、2021年の秋に弁理士試験の説明会をLECにて開催するという情報を入手し、さっそく名古屋駅前本校に伺いました。お話を伺う中でLECの合格実績がずば抜けて高い点、また、2023年度向け講座から対面講義を再開するということを知り、LECで通学講座を受けることを決めました。
LECで受講した初学者向けコースとその担当講師について
高田珠美講師の1年合格ベーシックコースを受講しました。
弁理士試験は非常に幅広い学習範囲を学ばなければなりません。そんな中、LECが取り組んでいる「入門」「論文」「短答」という3回転勉強法は非常に魅力的で効率的な手法でした。まずは「入門講座」で、各法域でどのようなことを学ぶのか、どんな特徴があるのかの全体像を把握し、「論文基礎力完成講座」で原則論の部分をしっかり押さえつつ、「短答基礎力完成講座」で例外や細かい知識を抑えていく学習手法は非常に理にかなっていると思います。また、インプットのみならず、アウトプットに注力する回も存在し、身に着けた知識が定着しているかも確認することができました。
また、名古屋駅前本校では、講義のWebフォローは東京の別講師の先生を選択することができたのもよかったです。
高田先生の講義では基礎から丁寧に説明してくださり、知財法を初めて本格的に勉強しようとする自分にとっては非常にわかりやすかったです。LECにはいろいろな教え方をされる先生方がいる中で、高田先生は理屈をしっかり理解することに重点を置かれていたと感じます。なぜそういう仕組みになっているのかを理論的に説明してくださるため、知識として定着しやすく、また短答だけでなく論文等でも応用することができました。特に、初学者コースは毎週進みが非常に早く、講義についていくのが大変だったり、疑問点がたくさん出てきたりすることが多いのですが、その都度、ひとつひとつの疑問に丁寧に答えていただき、理解を促進することができました。
LECで受講した学習経験者向けコース・講座とその担当講師について
2年目は短答の基幹講座をとることなく、過去問を中心に独学で臨みましたが、結果は38点で合格まであと1点足りませんでした。内訳的には特実の得点が思うように伸びず、過去問を中心とした勉強法に限界を感じていました。幸い、奨学生試験でよい成績をとることができたこともあり、R7年度に今一度、納冨美和講師の短答&論文一気合格コースをとることとし、知識を体系的に見直すことにしました。本コースは東京のみ開校のため、通信講義を受けることになりました。本コースでは、講義で扱うテキスト以外にもいろいろな付属教材がついてきます。自分の苦手とする部分、例えば、特に特許法については「穴あき条文テキスト」を用いて条文暗唱する等、講義+αの部分を自分なりに補いながら勉強できる点もよいと思います。
納冨先生も理論をしっかり理解することを重視される先生で知識を定着しやすかったです。また講義の中で、勉強戦略についてもしっかり触れていただいた点も非常に良かったです。全体を通じて特に印象的だったのは、「短答試験で上四法8割を死守、下三法は足切りにならなければよい。8割を取れれば高確率で論文試験も突破できる」という戦略です。その言葉を信じて、3年目は短答対策、とくに特許法と商標法を重点的に勉強することにしました。特実については最終的には本試での得点を9点から16点にまで上げることができました。また、論文講座の中でも、どのような記述を行えば再現性高く合格答案に近づけるのかについて、しっかり言及されており、勉強になる点が多かったです。
前述のとおりR6年度に短答講座はとりませんでしたが、論文の基礎力をしっかり固めるため、R6年度のLゼミを受講しました。名古屋駅前本校で加藤先生のもと、どういう考え方で答案構成をすべきなのか、問題作成者がどのような解答を求めているかの把握、論述するうえでの基本的な型の習得、配点を想像しながら論述内容を決める方法等を毎週の答練を通じて、実践的に学ぶことができました。R6年度に論文対策の基礎をしっかり作ることができたからこそ、R7年度は短答対策に集中できたのだと思います。
LECで受講した答練・模試について
論文公開模試/論文実戦答練/論文直前答練/論文プレ模試(論文完成答練)/論文合格答練/短答公開模試/短答プレ模試/短答実戦答練
特に論文試験では、自己評価と実際の答案の評価が大きく食い違うケースが多いと思います。自分よがりな答案から脱却するためにも、客観的な第3者のフィードバックを受けることが重要です。その点、LECでは様々な答練の機会を用意してくださっており、これらを有効活用することで合格レベルに早く近づけたと感じています。
LECの教材や学習システムについて
全体を通じて、インプット/アウトプットのバランスが良い点だと思います。インプットを重視しすぎると自分の立ち位置がわかりづらくなる一方、アウトプット一辺倒だといつまでも得点が上がらずに挫折してしまいます。その点、全体的にバランスが良かったため、約4年という長い期間であっても学習を継続することができました。
短答式試験対策でやって良かったこと
近年の本試では、いくつ正解がありますか問題が増えているように感じています。合格点に達するためには全60問で300枝の正誤判定を正確に実施する必要があります。重要なのは①正しい知識で基礎力を固めること、②3時間超えの試験時間でいかに集中力を保ち、ケアレスミスをしないことです。
前者については、まず基幹講座の講義をしっかり聞くことで、自分がそもそも知らなかった論点、誤って理解していた論点を洗い出しました。基礎がしっかりできた後は、穴あきテキストに掲載されている重要条文を中心に読み込み、暗唱できるまで練習しました。学習の中で、手続や制度の流れをしっかりイメージしながら理解するということも有効だったと思います。
②については、問題用紙に「正しい枝を問う問題」には大きく〇を、「間違った枝を問う問題」には大きく×をつける等、問題文に適切な印や蛍光ペンで色を付けることで、ケアレスミスを防止する工夫を取り入れました。
論文式試験対策でやって良かったこと
近年の本試では、情報量の多い問題文に対する処理能力や、受験生があまり触れたことのない論点に対する対応力を問われることが多いように感じています。試験が難化している部分もありますが、論文試験は相対比較であるため、上位1/4に入ることができれば合格することができます。
自分自身の戦略として、他の受験生がかける論点については確実に点を積み上げることを意識しました。LECでの数多くの答練や模試を受ける中で、知っている論点については、ある程度、記述内容を定型的な型として身に着けて条文集を見ずとも書くことができ、確実に点を取ること、間違えた論点は足りなかった知識を確実に吸収することを特に意識しました。実際のR7の意匠法の試験でも、準備していた型通りの記述を書き込むことで、試験時間内に答案を書ききることができたと思っています。
そのほかの点として、自分は事例のあてはめが弱い指摘をもらうことが多かったため、本試では特に意識した答案づくりを心掛けました。
口述試験対策でやって良かったこと
知識のインプットについては、口述アドヴァンステキストをベースに過去問を把握しつつ、口述オールインワンテキストをベースに7月ごろから勉強を始めました。口述対策では、今までの短答試験や論文試験との違いを意識しながら講義を聞いて知識を確かなものにしました。お盆の帰省に合わせて8月に1度、水道橋で開催されていた自主ゼミにも参加し、他の受験生との問答練習を早めに経験できたのもよかったと思っています。最初の練習会の問答ではわかっていたつもりの内容もうまく表現できずに四苦八苦したのを覚えています。この経験を8月時点でできたため、その後のスムーズな勉強に移行できました。
論文の合格発表後は、LEC名古屋駅前本校での勉強会、口述模試や各会派の練習会にも可能な限り参加し、場数を踏むことでいろんな問題にも対応できるようになりました。本試では、特に問題に合わせた条文のあてはめが、特に問われた問題が多かったように感じます。この辺りは論文試験対策でしっかりやり込んでおくと、口述試験でも応用が利くのかなと感じました。
学習時間を捻出するために工夫したこと
勉強は大きく分けて通勤時間、退勤後、休日の3つを活用しました。通勤時間にはWebフォローでダウンロードした音声を聞いたり、市販の短答アプリを使って正誤問題を解いたり、あるいは審査基準等のPDFをスマートフォンから確認する等をして限られた時間を有効活用していました。退勤後について、一度自宅に帰宅してしまうと勉強に集中できなくなることを避けるため、会社近くの喫茶店で晩御飯を食べながら数時間勉強する工夫もしていました。土日等の休日についても、自宅だと集中力が切れてしまうことを防ぐため、予備校の自習室、図書館、市の勉強スペース、漫画喫茶、喫茶店などを活用し、気分に応じて場所を変えながら勉強に励むようにしました。
通学、または通信での受講を選択して良かった点や反省点
1年目(初学者コース)、2年目(Lゼミ)は通学、3年目(中上級コース)は通信でした。どちらも一長一短で、その人のスタイルに合わせるのが一番だと思います。通学は決められた日に講義に来るだけで、ある程度のペースメイキングできる点が最大の魅力だと思います。
また、不明点について、先生方に直接質問ができること、他の受験生もいる中で緊張感をもって講義をうけられること、講義終了後に自習室で復習ができる点が良い点です。
一方で、通信では、よくわからなかった点等をその場で繰り返し聞くことができる点、遠方に住んでいる場合に移動時間を短縮できる点がよい点だと感じています。
今、合格して思うこと
自分ルールとして、試験勉強を言い訳に本業務に影響を出さないこと、を大前提としていました。この4年間、部署異動、重要プロジェクトへの抜擢、昇進等、社会人としてのライフイベントにも妥協なく取り組みながら、やっとの想いで弁理士試験合格にまでたどり着いた自分をまずはほめてあげたいです。今まで大切に培ってきた企業研究職としての自分と新たに獲得した知財専門家である弁理士資格を掛け合わせて、どのような将来のキャリアを描いていけるかが次の挑戦です。いろいろな諸先輩方のお話も聞きながら自分の世界をさらに広げていけたらと思っています。



