
最後は気合で乗り切った弁理士試験
M・Aさん
| 年齢 | 38歳 |
|---|---|
| 受験回数 | 2回 |
| 職業 | 公務員 |
| 出身校 | 東京工業大学大学院 理工学研究科 有機・高分子物質専攻 |
| 受講講座 | 1年合格ベーシックコース インプット+アウトプット一括 論文合格答案完成コース |
| 選択科目 | 免除あり:博士 |
弁理士を目指した理由・きっかけ
私は政令市の公立研究機関で研究職として勤務しています。近年、予算削減の波を受け研究活動が急激に悪化し始めて、研究者として研究活動を続けることが現実的でなくなっていました。そのため大学教員の採用を目指して研究を続けていましたが、35歳のときに自分の専門とぴったり合致した公募に通らなかったことをきっかけに、なにか自分に新しい武器が必要だと感じていたところ、「そうだ弁理士だ」と以前から興味のあった知財の道を検討し始めました。
しかし、弁理士試験は生半可な覚悟では絶対に合格しないことが分かり、いきなり弁理士試験に挑むには知識のない自分にはリスクが高いと感じ、まずは知的財産管理技能検定3級から受験することにしました。その後、知的財産管理技能検定2級まで合格し、知財への興味もさらに高まったことから、弁理士資格の取得を目指すようになりました。
また、公務員の多くは定年後再雇用として職場にしがみつくしかなくなりますが、弁理士は専門家として長く働けること、親の介護や子どもの夏休みといった事情により場所に縛られず働ける可能性があることも、弁理士資格を目指す理由となりました。
LECを選んだ理由
合格実績が高かったことが理由です。とはいえ、割安な他の予備校でも合格できるのでは……と少し悩みました。しかし、できる限り受験期間を短くするためには、費用を抑えることよりも、合格実績の高いLECで安心して勉強する方が良いと考えました。
一発合格できなかったときは結構落ち込みましたが、決して安くない金額をすでに投じていたこともあり、2年間なんとかモチベーションを保つことができました。
LECで受講した初学者向けコースとその担当講師について
1年合格ベーシックコース 納冨美和講師
1年合格ベーシックコースの良いところは、三回転学習法にあると思います。自分のような初学者が、いきなり細かい知識を詰め込むのではなく、「入門講座」で法律のおおまかな枠組みをざっくりと押さえ、そのうえで「論文基礎力完成講座」で入門講座の内容を復習しつつ、「短答基礎力完成講座」で条文ごとに細かく学んでいくことで、法律のどの部分について学習しているのかを意識しながら理解を深めることができました。
これらのインプット講座に加え、合間に答練や模試といったアウトプットの機会があるため、知識の定着を図ることができました。また、「短答アドヴァンステキスト」は非常に完成度の高い教材で、1年目だけでなく2年目にも大いに役立ちました。
納冨先生は論理的な講義をしてくださるため理解しやすく、また、変に笑いを取ったりせず聞き取りやすい声で説明してくださるので、通信でも集中して受講することができました。例えば、前置審査や無効審判についてはフローチャートを用いて丁寧に解説してくださり、審判がどのように進んでいくかを理解しやすかったです。講義の合間には、「生涯学習じゃないんだから、一日に2時間も勉強できないようでは受かりません」「四法対照条文がボロボロになるまで読み込まないといけません」などと厳しい言葉も掛けてくださり、気が引き締まりました。
また、納冨先生は本試験の出題傾向を深く研究しており、短答試験では同じ過去問がほとんど出ないことから、条文を大切にした学習の重要性を教えてくださいました。副教材のNプロシートを用いて、条文を読む際に必要な事項を押さえたうえで読み込むことができ、非常に役立ちました。
さらに、納冨先生は通信の受講生にも電話相談会を開いてくださっており、悩みを聞いていただいたり、弁理士になって良かったことをお話しいただいたりしたことも、とても励みになりました。
LECで受講した学習経験者向けコース・講座とその担当講師について
論文合格答案完成コース 納冨美和講師
受験2年目に突入し、継続して納冨先生に教わると決めて、論文合格答案完成コースを受講しました。論文合格答案完成コースは、論文対策に特化した講座で、インプットとして準備編、アウトプットとして知識定着編があり、各法域をざっくりと2周することが出来ました。中でも、本コースで配布される「Nフィリングシート」は各法域の出題事項をレジュメ形式で扱っているテキストであり、一つ一つの出題事項についての知識を入れていくのに読み易くまとまっており、何度も繰り返し読みました。
また、セレクト事例問題集やオリジナル問題など、一年合格ベーシックコースと比べて数多くの問題に触れることが出来るため、着実に実力を高めて自信を付けることが出来ました。
納冨先生の良かったところは、論文の流し方について丁寧に説明してくださる点です。例えば、項目立てについては一目で解答と分かるように立てることや、問題の問いに対してしっかりと答えられているか、等の基本的なところから、意匠法における学習机事件の流し方等について、繰り返し説明してくれました。
また、「論文試験は書くべきことを書いてコツコツ点数を重ねていくイメージ」と納冨先生は仰っており、主体・客体・時期・手続・効果について模範解答でどう当てはめをしているかを演習問題で確認していくことや、判例で点数が付く記載の部分を明示してくださるので、着実に実力を身に着けていくことが出来ました。
また、納冨講師はよく、「知識の豊冨な状態で勢いのある短答通過組と比べて短答免除組の方が落ちやすい」と話しており、負けるものかと気を引き締めて学習することが出来ました。
LECで受講した答練・模試について
論文公開模試/論文実戦答練/論文直前答練/論文プレ模試(論文完成答練)/論文集中答練/論文合格答練/短答公開模試/短答プレ模試/短答実戦答練
1年合格ベーシックコースと論文合格答案完成コースに付いている答練を受講しました。論文試験は、偏差値による相対評価の試験なので、初見の問題であっても合格点を付けられる答案の作成が求められます。LECの答練は、様々な新作問題が出題されており、戸惑いながらも合格答案を作成する対策をするには十分な質でした。
また、仮にLECの答練や模試で扱った問題が本試験で出題された場合には。、多くの受験生が解答出来るので取りこぼすわけにはいきません。受験1回目の年の論文公開模試の成績は散々でしたが、受験2回目の年の論文公開模試は全4回全科目A判定、総合順位1桁台を取ることが出来て、自信を持って論文本試験を望むことが出来ました。
LECで受講したスポット講座について
納冨美和の短答特訓ゼミ
宮口聡の理想と現実答案
宮口聡の論文ヤマゴロ講座
納冨先生の短答特訓ゼミを1年目に受講しました。このゼミは、納冨先生が問題を出して受講生が答えていく形式で進んでいきます。通信で受講していた為、直接答える機会は無かったのですが、2年目以降の受講生がゼミの緊張した空気の中でもスラスラと答えており、この人レベルにならないと短答試験に不合格すると感じ、学習のモチベーションになりました。また、出された問題を全て書き起こしておき、その問題は全て答えられるようにしていました。
2年目は、1年目に短答試験に偏重した勉強により論文対策をあまり出来ておらず、論文公開模試も散々な結果で苦手意識もあったので、何かを変える必要があると思ったので、宮口先生の「論文ヤマゴロ講座」と「理想と現実答案」を受講しました。論文ヤマゴロ講座では論文の基本型を身に着けることが出来たことや、趣旨対策や判例の使い方を学ぶことが出来ました。「理想と現実答案」は過去問講座ですが、時間配分等を考えたうえで現実的に書ける答案がどのようなものか知れたことが良かったです。
LECの教材や学習システムについて
LECのテキストはどれも質の高いもので、最後までLECのテキストを信じて取り組むことが出来ました。特に短答アドヴァンステキストは試験に必要な知識が条文毎にまとめられているため、短答試験だけでなく論文試験や口述試験でも使用しました。このテキストでの重要事項は四法対照条文に転機しておいて、いつでも確認できるようにしていました。
また、通信Web講座は自分の都合に合わせて講義を受けられるので、早朝や車の移動時間に講義を進められました。
短答式試験対策でやって良かったこと
短答試験対策では、まずは毎週進んでいく入門講座や短答基礎力完成講座に併せてその週に覚えることについて暗記していきました。短答基礎力完成講座は、講座を消化するだけでも大変で、短答アドヴァンステキストが100ページくらい進んでいくので、なるべく早く講義を視聴して遅れを取らないようにしました。納冨先生は過去問をあまり根詰めてやらずというスタンスでしたが、私はアウトプットして理解していくタイプだったので、体系別短答過去問を早い段階で解き進めていきました。
初めは知識が浅いのでほとんど解けなかったですが、なぜこういう解答になるのか、間違っている箇所は?根拠条文は何?を意識して解いていき、少しでも分からない箇所があったら四法対照条文を開いて、但書や例外はあったか?他の法域ではどうなっている?と派生的に確認をし、ひとつひとつ丁寧に学習を進めていきました。しかし、4月の短答模試で30点に届かない酷い点数を取ってしまい、目の前が真っ白になりましたが、絶対に合格するぞと気を持ち直して、一から条文の読み込みをし、短答実戦答練等で解けなかった問題を本試験までに全て頭に叩き込むことで、最後は気合いでなんとか通過できました。
論文式試験対策でやって良かったこと
宮口先生の「論文ヤマゴロ講座」で、型、解き方を覚えたことが良かったです。例えば、「拒絶理由通知の対抗措置」といった解法系の問題については、「意補分変優放取」といった型があり、これを問題に対してどの措置が有効で、どう答案に書くか、がテキストに記載されていますので、このような基本問題で項目落ちをしないように学習が出来ました。また、条約編や一行対策問題編においては、他の講座では取り扱われないような論点が記載されており、そういった知識についても幅広く学習することが出来てとても良かったです。私は2年目に受講しましたが、1年目に受講していれば一発合格できたのではと思うほど効果は絶大だったので、一年合格ベーシックコースの方に受講することを強くお勧めします。
ヤマゴロを一通り消化した後は、ひたすら手持ちの問題で答案構成をして項目漏れを無くす訓練をしました。その際に、「言葉を正確に使う」ことを意識的に条文や判例の文言への当てはめをしていました。例えば、101条1項かっこ書きは「日本国内において広く一般に流通しているものを除く」と記載されていますが、勝手に「日本国内において一般に流通しているものを除く」としたりすることはしないなど、心構えを崩さずに質の高い答案作成をすることは意識していました。
また、暗記アプリで趣旨や判例、要件や必要な定義などを自作のゴロと併せてまとめておき、何度も繰り返すことで年輪のように知識を深く確かなものにし、正確にアウトプットできるようにしました。最終的には、論文公開模試の総合の通学順位で2位にまでなることが出来ました。
論文試験は本当に本当にハードな試験だと思います。特に近年の問題の分量は多く、緊張した現場において10〜20分くらいで正確に読解する必要があるので、非常に高度な情報処理能力とタフな精神力が求められます。2年目は短答免除だったのですが、時間をかけて深く学ぶことができたので、法律の理解も一層深くなりましたし、短答通過組に負けない為にも四法対照条文の読み込みや体系別過去問を論文的に解く等と短答知識の抜けが無いように様々な対策をしていた為、論文試験の勉強自体は楽しく、一年延びてしまいましたが弁理士になるとしても成長できるとても有意義な時間だったなとも思いました。
口述試験対策でやって良かったこと
口述対策でやって良かったことは、論文試験合格発表前から受験生の仲間と口述練習を始めたことです。オンラインで週に1〜2回、受験生仲間同士で口述アドヴァンステキストを回していて、突然頭が真っ白になる等の口述試験特有の難しさを早めに掴むことが出来ました。私は口述試験があまり得意でないと分かっていたので、合格発表後は受験生同士の練習会、会派の練習会、模試に出来る限り参加して本番慣れをしました。
学習時間を捻出するために工夫したこと
産まれたばかりの子供がいたので、学習時間の捻出には特に苦労しました。具体的には、通勤時間の隙間時間、早朝、昼休みに学習時間を確保しました。初めは、子供が寝た後の深夜に勉強しようと考えましたが、いつ寝るか分かりませんし、家で勉強できない焦りでイライラすることもありました。その為、家で勉強することは早い段階で諦めて、子供とともに寝る代わりに、早起きして勉強するスタイルにしました。
また、通勤時間帯にはスマホの暗記アプリで趣旨や判例等の暗記事項を覚えることに徹しました。休日はいろいろ予定があったりして勉強が出来ない日もあるので、平日に4時間程度は勉強を継続して確保できたことが良かったと思います。
通学、または通信での受講を選択して良かった点や反省点
私は基本的に通信で受講していましたが、公開模試やLゼミ以外は通信で受講していたことに大きな不満はありませんでした。自分の生活スタイルで時間や場所に囚われずに受講することが出来たからです。公開模試とLゼミは通学で他の受験生に混じって受講しましたが、本試験ではもちろん緊張しましたので、通信でも良かったかもしれません。
今、合格して思うこと
弁理士試験に合格し、まずはホッとしました。休日に子供と過ごせるようになり、妻の負担を軽くできます。また、研究者から弁理士へとキャリアの幅を広げられる資格を得たことで、自分の可能性が広がったとも感じています。受験期間を振り返ると、初めは未知の知識に触れられて知的好奇心から楽しく学べましたが、学習範囲を一通り終える頃には新鮮味が薄れ、同じ内容を反復することでモチベーションの維持が難しくなり、最後は気合で何とかしました。弁理士試験は合格率7%といわれる難関試験ですが、十分な学習時間を確保し、必要な理解を積み重ねれば、不合格となるリスクは確実に下げられる試験だと思います。だからこそ、飽き性の方ほど短期決戦で集中して挑むことをお勧めします。特に研究者の方は、知的財産法の論理的で美しい体系に親和性が高く、研究成果の活用を明確にイメージできるため向いていると感じます。弁理士として実務に活かせなくても、その知識は研究を進める上で大きな力になります。ぜひ弁理士試験に挑戦してみてはいかがでしょうか。



