数千〜数万種類あるともいわれる行政書士の業務とは?開業への道、他資格へのステップアップなど行政書士の魅力が満載です。
行政書士とは、一体どのような仕事なのでしょうか?行政書士法の規定から、その業務の内容に迫ります!
行政書士の現状と将来

一 行政書士の現在の職務
Ⅰ 独占業務(行政書士法1条の2第1項、法19条)は3種類。
- 1 官公署に提出する書類の作成
- (1)建設業の許可申請、経営事項の審査申請
- (2)入札資格審査申請
- (3)宅建業許可申請
- (4)開発許可申請、農地転用の許可申請
- (5)風俗営業の許可申請
- (6)自動車登録申請、車庫証明 など
- 2 権利義務に関する書類の作成
- (1)売買・賃貸借・抵当権設定・請負・雇用・身元保証・示談などの契約書の作成
- (2)契約申込書・請求書(内容証明郵便による)、または就業規則などの約款作成
- (3)遺産分割協議書や建築工事紛争予防協議書など複数者間の協議書の作成
- (4)法人・団体の議事録・会議資料の作成
- (5)会社・法人設立の必要書類の作成
- 3 事実証明に関する書類の作成
- (1)各種の証明書―名簿・資格証明・社員履歴調書・会社の業歴書・自動車登録事項証明書・交通事故調査報告書の作成
- (2)会計書類の作成―財務諸表・商業帳簿・営業報告書などの会計書類の作成
- (3)事実証明に関する書類―図面類といった事実証明に関する書類の作成
Ⅱ 共同法定業務(法1条の2第2項)
他士業法でその士業者の独占業務と明記されているものは、行政書士の独占的な業務からは除外される(法1条の2第2項)。もっともほかの士業法との関係で行政書士との共同法定業務とされているものがあるので、それを確認する。
- 非紛争的な契約書・協議書類の作成 → 弁護士との共同業務
- 著作権ライセンス契約書の作成 → 弁理士との共同業務
- 法務大臣宛帰化許可申請書、司法警察機関あての告訴状・告発状の作成 → 司法書士との共同業務
- ゴルフ場利用税、自動車税、軽自動車税、自動車取得税、事業所税、石油ガス税、不動産取得税、都道府県たばこ税、市区町村たばこ税、特別土地保有者税、入湯税に関する場合等に関する書類作成業務 → 税理士との共同業務
- 1ヘクタール未満の開発行為の設計図書を含む開発許可申請書作成 → 建築士との共同業務
- 労働・社会保険法令上の申請書等、帳簿書類の作成といった業務 → 社会保険労務士との共同業務
二 行政書士の進むべき道
- ますます広がる行政書士の業務分野
行政書士の職務範囲については、他の法律専門職の独占業務以外は行うことができるので、新たに発生する行政について原則として、最初に行政書士が取り扱うことができる。 - 国際関係(入管法―出入国管理及び難民認定法)分野が今後広がる。
- 行政書士が外国人在留手続きに関して行う業務
- 全国8つの地域ブロックにある地方入国管理局、支局、出張所の業務に関わる業務
- 外国人の入国から滞在までの手続きに関わる業務
- 日本に上陸した外国人が引き続き日本に滞在する場合の手続きに関わる業務
- 日本の国籍を取得する際のサポート業務(帰化申請)に関わる業務
- 在留資格申請
現場レポートを開く
- 中小企業支援業務・知財分野・成年後見分野に関わる業務
- 電子申請システム・IT化が進む手続きに関わる業務
三 行政書士試験および資格基準をめぐる問題
行政書士の現在の職務及び将来の業務を適正かつ円滑に行うために必要な専門能力及び質の担保を確保するための試験制度改革および資格基準の設定など。
書類作成および相談業務

市役所や県庁や警察署、保健所などの「官公署」に提出する書類、その他権利義務または事実証明に関する書類の作成(他の法令で制限されているものを除く)やその書類の作成に関しての相談業務を行うことができます。
例:建設業許可申請書作成、風俗営業許可申請書作成、内容証明書作成、遺産分割協議書作成。
書類提出代理業務

行政書士が作成することができる官公署に提出する書類を代理人として提出することができます。平成14年の行政書士法の改正によって、行政書士に与えられた権限です。代理人として書類を提出することが認められるようになったため、書類の作成から提出までのワンストップサービスを実現することができます。
聴聞代理業務

許認可等に関して行われる聴聞や弁明の機会の付与の手続、その他の意見陳述のための手続を代理人として行うことができます。平成20年の行政書士法の改正により、「聴聞代理権」と「弁明代理権」として明文化された新しい業務です。許認可の取消しがされるときに行われる意見陳述の場(聴聞手続)に代理人として参加し、プロとしての意見を述べることができます。
不服申立代理業務

行政不服審査法の改正により、今まで取り扱うことができなかった行政不服申立の手続きについて代理し及びその手続きについて官公署に提出する書類を作成することができるようになりました。行政書士が許認可書類を作成し申請後、許認可が拒否された場合には、行政書士が不服申立手続きを代理することができます。
「取りたい資格」「あこがれの資格」といったアンケートの上位に登場する「行政書士」。
人気と魅力はどこにあるのでしょうか?
独立開業できる!

行政書士の資格があれば、行政書士登録をして行政書士として開業することができます。
自宅を事務所として登録することも認められており、非常に少ない資金で開業することができます。
現在、行政書士の登録者数は全国で4万人を超え、非常に活気のある職種となっています。
業務の範囲が幅広い!

行政書士の業務は、数千〜数万種類あるといわれています。
許認可申請業務や契約書作成業務といった伝統的な業務だけでなく、まだまだ開拓されていない分野も多数存在しますから、業務の可能性は無限です!