結果分析
平成28年司法試験予備試験論文式試験の結果を受けて
平成28年司法試験予備試験論文式試験の結果が法務省から発表されました。
- 1.今年の結果
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法務省の公式発表によりますと、受験者数は2,327人、採点対象者数2,312人となり、合格点は245点以上、合格者数は429人となりました。
- 2.データから見る司法試験予備試験論文式試験
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まず、最も注目の集まる合格者数ですが、平成25年は381人、平成26年は392人、平成27年は428人と少しずつ増えてきましたが、平成28年は429人と昨年とほぼ同人数となりました。受験者数に占める合格者数の割合でみると、平成25年は約19.7%、平成26年は約20.5%、平成27年は約19.4%、平成28年は18.4%となり、ここ4年間の間では、最も厳しい倍率となりました。 相変わらず、予備試験が厳しい試験であることを物語っています。 合格最低点については、平成25年が210点以上、平成26年が210点以上、平成27年が235点以上、平成28年が245点以上となっています。この4年間で問題の難易度に劇的な変化があったわけではなく、倍率も平成28年が一番厳しいことを考えると、司法試験同様、採点基準自体が点数がつきやすいものに変化したと考えてよいでしょう(司法試験もここ2年合格最低点が高くなっています。裁量点を減らし、基礎的な事項に点数を振り直したと推察されます。)。
- 3.予備試験合格者数が増加しなかった理由について
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これについては、①司法試験の受験資格を得るためのルートについては、あくまで法科大学院ルートが主であって、予備試験ルートはバイパスにすぎないという位置付けを明確にすること、②法科大学院の入学者数が年々減少する一方で、予備試験合格者数が年々増加しており、法科大学院制度を守るためにも、これ以上、予備試験合格者数を増加させるわけにはいかないこと、③司法試験の合格者数が今年、1500人台へと減少したことを踏まえると、予備試験の合格者数をこれ以上増やすことはできないこと等が考えられます。
- 4.司法試験予備試験の論文式試験に合格するためには
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論文式試験の合格率は、18.4%と低く、難関試験ですが、合格最低点の上昇にもあらわれているとおり、問われていることに対して、基本的なことを論述すれば、必ず、合格することができます(難関試験だった旧司法試験の論文式試験ですら、一貫してこのように言われていました。)。司法試験予備試験は、平成23年から始まり、平成28年まで6年分の過去問の蓄積があります。どの科目も出題傾向に大きな変化がないことを考えると、まずは、この6年分の過去問をしっかり分析してください。これを終えた後、旧司法試験の平成以降の問題で、司法試験予備試験と傾向が似通っている問題をつぶしていけばよいでしょう。
合格ラインを知るうえでは、再現答案の分析も必要不可欠です。LECも予備試験受験生向けの再現答案集を出版していますので、ぜひ、これを活用して、合格ライン及び合格者の答案の論述の流れを習得してください。ゼロから始める方は、入門講座を活用して欲しいところです。また、予備試験論文式試験の答案練習会には是非とも参加し、答案を書いて、合格者に見てもらうことは必ずやってください。試験の場で求められる実戦訓練を日頃からやることが試験対策として有意義であることは誰もが認めるところです。