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マンション管理士・管理業務主任者の仕事

「マンション管理士・管理業務主任者の仕事とは?違いや業務内容をわかりやすく解説」

マンション管理士、管理業務主任者は、平成12年に成立、平成13年に施行された「マンションの管理の適正化の推進に関する法律(マンション管理適正化法)」に基づいて創設されました。

管理業務主任者や、マンション管理士が創設された背景や求められる知識、具体的な業務について、詳しく解説します。

マンション管理の課題

マンションは国民の1割以上が居住している重要な居住形態である一方、多くの人が関わるため、管理が難しく、居住者の高齢化やマンションの老朽化も相まって、課題が深刻化しています。
マンションの管理が必要なことは明らかですが、なぜこれほど課題が深刻化するのでしょうか。
まず押さえておきたいのは、マンション管理は手間がかかるということです。ここでは、マンションの所有者がその住戸に住んでいる場合を想定します。
通常、住戸は住人が管理を行います。例えば、部屋をどう使うか決めたり、汚れた場合の掃除などは、その住人が行います。
一方で、マンションは共用のエントランス、階段、廊下など、他の住人と共有する部分があり、これらは住人全員で管理します。例えば共用のスペースをどう使うか決めたり、汚れた場合の掃除や、電灯の電気料金の支払いなどを、住人全員で行うことになります。
しかし、マンションの管理は、素人の住人にとっては大変です。廊下の電気料金の支払いだけをとっても、住人全員から電気料金を集めて、誰がいくら支払ったのか把握して記録するだけでも、結構な手間がかかります。
そのため、これらのマンションの管理を、専門のマンション管理業者に委託することがよくあります。

マンション管理士・管理業務主任者の役割

マンションの管理を委託されたマンション管理業者が、適正にマンションの管理を行えば問題ありません。しかし、そうでなければマンションにおける快適な住環境が損なわれて、その資産価値も低減し、マンションの住人は不利益を被ることになります。
特に、都心部を中心にマンションに居住する人は多くなっており、マンション管理の適正化は、重要な課題となっています。
そこで、マンション管理の適正化の推進を目的として、マンションの管理の適正化の推進に関する法律が制定されました。この法律により、マンション管理士、管理業務主任者という資格が設けられました。

マンション管理に求められる専門知識

マンションの管理の適正化を図るために必要な知識はどういったものか、実際のマンションのトラブルから、求められる知識を確認しましょう。
国土交通省による令和5年度マンション総合調査によると、マンションにおけるトラブルは以下のようなものがあります。

居住者間のマナーをめぐるもの
60.5%
建物の不具合に係るもの
31.7%
費用負担に係るもの
24.2%

このような複雑な問題に対処するためには、法律だけ知っていればいいわけではありません。マンションの管理におけるソフト面(居住環境や事務処理における管理)と、ハード面(建物の維持管理)の両方のアプローチから様々な知識が必要となります。
こういったトラブルの対処に必要な知識を確認してみましょう。

居住者間のマナーをめぐるもの

関係者におけるトラブルの予防、トラブルの解決を図る必要があるため、法律その他のルールをおさえる必要があります。
例えば、建物の区分所有等に関する法律(区分所有法)、民法、マンション標準管理規約などです。

建物の不具合に係るもの

建物を適切に維持する必要があり、建築に関わる法律及び建築設備の専門知識をおさえる必要があります。
例えば、建築設備に関する知識(建築、設備、調査・修繕、長期修繕計画に関する知識)などがあります。

費用負担に係るもの

マンション管理業者のお金の管理に関する法令及びルール、マンションでのお金の管理の仕方、会計の知識などをおさえておく必要があります。
例えば、会計の知識(仕訳、計算書類、税務に関する知識)、会計について定めた法令などです。

このように、マンション管理には、マンションの住人のトラブル対応だけでなく、法令、設備、会計など幅広い専門知識が求められます。

マンション管理士と管理業務主任者の違い

管理業務主任者とマンション管理士は、どちらもマンション管理に関わる国家資格ですが、主な立場や役割に違いがあります。この違いを整理すると、次のようになります。

項目 管理業務主任者 マンション管理士
主な立場 マンション管理者側 管理組合側
主な役割 管理業務の適正な実施を支える 管理組合に助言する
独占業務 あり なし
資格の性質 設置義務・独占業務がある実質資格 名称独占資格
活かしやすい人 管理会社勤務、不動産業界で働く人 管理組合の支援・相談業務をしたい人、専門性を高めたい人

※簡単な語句の説明として、分譲マンションの所有者を「区分所有者」、区分所有者がマンション管理のため加入する団体のことを「管理組合」といいます。

基本的には、管理業務主任者はマンション管理業者側で必要とされる資格であり、マンション管理士は、管理組合の立場から、専門的なサポートをする資格です。

次に、具体的に管理業務主任者、マンション管理士の仕事内容を確認します。

管理業務主任者の仕事内容

管理業務主任者は、マンション管理業者で活躍する国家資格です。

管理業務主任者は、マンション管理業者に設置義務があるため、多くの方がマンション管理業者に所属することになります。
そして、多くの管理業務のうち、管理業務主任者の独占業務については、管理業務主任者が行います。
ただ、実務では独占業務だけ行うわけではありません。マンション管理業者の担当者として、マンションに関する様々なトラブルに対処しながら、管理組合の運営を幅広くサポートすることも多くあります。

管理業者が一般的に行う管理業務は多岐にわたります。

管理組合とマンション管理業者が交わす管理委託契約書のひな型である「標準管理委託契約書」を見ると、よくあるマンション管理業務を項目でざっと確認できます。

①管理事務
基幹事務
  • 1.管理組合の会計の収入及び支出の調停
  • 2.出納
  • 3.マンションの維持・修繕に関する企画又は実施の調整
基幹事務以外の事務管理業務
  • 1.理事長・理事会支援業務
  • 2.総会支援業務
  • 3.その他
②管理員業務
③清掃業務
④建物・設備等管理業務

これらのイメージするため、前述の「居住者間のマナーをめぐるもの」「建物の不具合に係るもの」「費用負担に係るもの」といったトラブル対応に当てはめて考えると、例えば以下のような業務があります。

  • 居住者からの相談やクレーム対応
  • 日々の管理費や修繕積立金の徴収など会計業務
  • 建物や設備の点検
  • 工事業者の手配

他にも、管理会社の総会・理事会の決定を支援するため、修繕計画の資料を準備する、といった業務もあります。

このような一般的なマンション管理業務のほかに、管理業務主任者には独占業務があります。

管理業務主任者の設置義務と独占業務

マンション管理業者は、事務所ごとに30管理組合につき1名の管理業務主任者の設置が義務付けられています。
また、管理業務主任者でなければ行えない独占業務があります。

  • 1.重要事項の説明
  • 2.重要事項説明書への記名
  • 3.契約成立時書面への記名
  • 4.管理事務の報告

1.重要事項の説明

管理業務主任者は、契約締結前に重要事項を説明する義務があります。
マンションの住人は必ずしも十分な専門知識がないため、専門家から重要事項について適切に説明を受ける必要があります。
また、管理組合にとって不利な条件も含めて事前に確認することで、契約内容をめぐるトラブルを防止する役割もあります。

2.重要事項説明書への記名

重要事項の説明を行った後、これらを証明するため、重要事項説明書を作成するのですが、管理業務主任者がこれに記名する必要があります。

3.契約成立時書面への記名

管理業者は、管理組合と管理事務の委託契約を締結した際、契約書を交付しなければいけません。
この書面にも、管理業務主任者が記名する必要があります。

4.管理事務の報告

管理業者は、定期的に管理事務報告書を作成して、管理組合等に報告を行う必要があります。
この報告を管理業務主任者が行います。
管理組合は、管理業者に委託すれば終わりではなく、契約後も管理業務を適正に実施しているか確認する必要があります。
そこで管理業務主任者が、会計の収支や、管理受託契約の内容に関する事項を管理組合に報告することで、継続的に管理業者の業務状況を把握できます。

このように、管理業務主任者が、管理組合に対する重要な説明を担い、契約内容や管理業務の透明性を保つことで、マンションの適正な管理が実現されています。

マンション管理士の仕事内容

マンション管理士は、管理組合の相談に応じ、助言、指導、その他援助を行う国家資格です。

管理業務主任者が、主にマンション管理業者側で管理業務の適正な実施を支える資格であるのに対して、
マンション管理士は、管理組合の相談に応じる専門家です。
そのため、マンション管理士は管理組合と信頼関係を築くことが重要です。

管理組合にとって、管理業者は日々のマンション管理を行い、管理組合を支援する大切な存在です。
しかし、管理組合が決定を行う以上は、管理業者に任せきりではなく、提示された計画や見積り、業務報告の内容を理解して、妥当かどうか判断することも大切です。

このような判断には、専門的な知識を持ち、同時に管理組合の立場に立った助言が求められます。
そこでマンション管理士が助言をすることで、納得感のある決定を行いやすくなります。

もし、管理会社と管理方針や費用などの考え方が合わないときや、管理内容に問題がある場合、別の管理会社への変更を検討することもあります。
このような場合でも、マンション管理士は管理組合の立場に立って、複数社を比較検討する支援を行うことができます。
もし、管理会社に問題がなかったとしても、改修工事の業者選定をする際、利害関係のないマンション管理士に依頼することもあります。
マンションごとに課題は異なるため、それに合った管理規約の見直しや、合意形成を支援することも、マンション管理士の役割のひとつです。

広がるマンション管理士の役割

2022年の改正により「マンションの管理の適正化の推進を図るための基本的な方針」が制定され、その中に「マンション管理士制度の一層の普及促進」が明記されました。

参考)マンション管理士制度の一層の普及促進

「マンションの管理には専門的な知識を要する事項が多いため、国、地方公共団体及びマンション管理適正化推進センターは、マンション管理士制度がより一層広く利用されることとなるよう、その普及のために必要な啓発を行い、マンション管理士に関する情報提供に努める必要がある。なお、管理組合は、マンションの管理の適正化を図るため、必要に応じ、マンション管理士等専門的知識を有する者の知見の活用を考慮することが重要である。」

https://www.mlit.go.jp/jutakukentiku/house/content/001909548.pdf

このように、注目を浴びるマンション管理士ですが、その活躍の場の一つとして、管理計画認定制度があります。
管理計画認定制度とは、管理・修繕に関する基準を満たしたマンションを地方自治体が認定する制度です。管理計画が適正だと明確にすることで、適正なマンション管理がマンションの価値として評価され、資産価値を向上させることができます。
マンション管理士が管理計画の作成に携わることで、今後より多くのマンションが適正な管理計画を作成する助けとなるでしょう。

また、外部管理方式も注目を集めています。

外部管理方式とは、区分所有者でない専門知識を有する第三者を管理者に就任させる管理方式のことで、区分所有者の高齢化や、役員の深刻な担い手不足から、近年採用例が増加しています。
ただ、外部管理者に管理業者が選ばれて、管理業務と管理者等を兼任する場合、どうしても管理組合と管理業者の利益が相反する場合があります。そのため、マンション管理業者には、利益相反のおそれがある場合には、区分所有者への事前説明が義務付けられていますが、それでも管理体制が問題となる可能性があります。
そこで「マンションにおける外部管理者方式等に関するガイドライン」では、監事のうち少なくとも1名(マンション管理士、弁護士、公認会計士等)は外部専門家から選任することが望ましい、としています。

このように、マンション管理士は、増加する外部管理方式において、監事としての役割を担う等により、利益相反の弊害を抑えることが期待されています。
なお、監事として起用するだけでなく、直接外部管理者に就任するケースもあります。

マンション管理士は名称独占資格

マンション管理士は、名称独占の資格です。
名称独占資格とは、資格を持たない人が、その名称や紛らわしい名称を使用してはいけない資格をいいます。

管理業務主任者と異なり、マンション管理士に独占業務はありません。
しかし、管理組合が外部の専門家に相談する場合、誰に相談すればよいか判断することは、難しい問題です。
その点で、「マンション管理士」と名乗ることで、専門知識を持つ相談相手であることを客観的に示すことができます。
これまで見たように、マンション管理の仕事では、管理組合との信頼関係がとても大切です。そのため、管理組合から信頼できる相談相手として選ばれるうえで、名称独占資格であることは重要なメリットです。

まとめ

マンションは、国民の重要な居住形態となっていますが、一方で高経年マンションの増加や、居住者の高年齢化により、適切に維持管理する必要性はさらに高まっています。
管理業務主任者は、マンションの管理業者に必要とされる資格で、重要事項の説明や管理事務の報告を通じて、マンションの適正な管理を支えます。
マンション管理士は、管理組合の相談に応じる資格です。管理会社から提示された見積りの確認、管理会社の変更、管理規約の見直し、外部管理方式の対応など、管理組合の立場に立って支援を行います。

それぞれ立場は異なりますが、どちらの資格も、マンションの適正な管理を通じて、国民の生活や経済の発展に貢献する、社会的意義の高い専門家といえるでしょう。

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