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雇用

失業率悪化の加速化と深刻化


 日本の雇用の現状を一言でいうなら、完全失業率(注1)の上昇が加速化して、しかも深刻化しているということになる。
 まずこれまでの日本の完全失業率の推移を整理してみよう。1960年から1974年までの15年間は1%台で推移し、1975年から1994年までの20年間が2%台だった。高度経済成長期から安定成長期に呼応するするように1%台から2%台となっている。しかし、バブル経済が崩壊した1991年以降、悪化のテンポが急速に早まっていく。
1995年から1997年の3年間で3%台を突破して、昨年は4.1%、今年2月には4.6%と悪化はさらに加速化している。
 もうひとつの特徴、深刻化は世帯主の失業率の増加に現れている。昨年の平均で世帯主の失業率は2.9%にも達している。これは世帯の主な収入源が途絶えるということであり、失業が今や本格的な生活不安をもたらす事態になりつつあることがわかる。


 また非自発的失業層、つまり「会社都合」による失業が、45歳から64歳という中高年層でかなり増えている。さらに平均失業期間が4.2カ月と長期化している。いずれのデータも失業の深刻化を示している。
 長期化する不景気の中、多くの日本企業の売上高は横ばいか、あるいは下がっている。ゼロ成長の時代を迎えて、企業は収益性を回復するため、
固定費の削減という行動をとる。人件費や過剰設備を見直すことで、業績を回復させようとするのだ。事実、ここのところ多くの大企業が厳しい人員削減策を実施している。また今年の春闘では、使用者側の多くが「総人件費の 抑制」を提唱した。これはボーナスのカットや企業内福利、賃金体系の見直しなどを行うことによって総人件費を抑えようということだ。


 そのような雇用不安から生活者は“生活防衛”という形で消費を抑制する方向に向かう。それにより売上が低迷する企業はさらにリストラを行う。それがさらなる生活不安を生む……。 企業と消費者がいわば“不安のスパイラル”に巻き込まれている。消費者、企業それぞれの合理的な行動が全体として見れば、日本のマクロ経済に低迷をもたらしているのだ。


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