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今問われる国会議員の政策能力

議員会館の拡充に関する提言

 以上をふまえ、ハードとしての議員会館のあり方について、下記の具体的提言を行いたい。
○議員会館を拡充して、議員1人当たりの物理的スペースを少なくとも現在の2〜3倍程度拡大する。その場合、特に資料を整理・保管できる場所、十分なスタッフ・ルームと執務補助設備、来客の待ち合い場所等を拡充する。
○議員会館全体の情報化、電子化、インテリジェント化を推進するとともに、福祉面への配慮も十分に行った施設を整える。
○議員会館内にある委員会調査室など政策補佐機関の施設も拡充して、議員が政策活動を行う上で活用しやすい環境を整備する。
○議員会館の中に行政機関が保有する行政情報、国会の委員会や立法補佐機関等が収集した政策情報を集中して保管する「センター」を設置、国会議員が共同で活用したり、国民が閲覧できるようにする(名称としては「国会情報センター」「国会広報センター」等が考えられるだろう)。


 ただし議員会館の拡充を実現するためには、ソフトの面の拡充と同様、いくつかの問題に対処しなければならない。
 すなわち限られた予算制約の中で行う必要があること、現在の議員定数を前提として実施することが困難であること、国会図書館など他の国会関連施設・システムとの有機的連携のもとで行うこと等について、国民の理解・納得が得られるよう、政治家の側で相当の努力をはらうことが求められる。
 国会移転、首都機能移転との関連も重要である。 90年に「21世紀にふさわしい政治・行政機能を確立するため」として国会決議が行われた国会移転、首都機能移転構想は、現在、国会等移転審議会(首相の諮問機関、会長=森亘・東大名誉教授)が移転候補地の選考作業を進めており、今年秋の答申を目指しているところである。予定通りであれば、2004年度以降に新都市の建設が開始され、2014年以降は新都市で国会が開催されることになっている。


 ただ、国会移転についてはさまざまなハードルがある。構想が出された頃とは環境が大きく変りつつあること、候補地の選考がなかなか進みそうにないこと、たとえそれが進んだとしても簡単に決定されるとは思われないこと。また国会移転には莫大な予算が必要だが、それだけの財政体力があるのか等々、問題が山積されており、予定通りには進んでいかない可能性が高い。  そのような状況まで踏まえた上で、議員会館の拡充を考えていかなければならない。国会が移転されるとき、新しい国会の施設として建設するのか、国会移転を待たずに現在の国会を前提として拡充するのか、その点を早急に議論しなければならない。




 政治を取り巻く環境が急激に変化する中、政治の側の政策能力を高めていくために必要なことは何かということを、本稿ではソフトとハードの両面にわたって論点を整理し、かつ提言を行ってきた。
 諸点について国会で早急に検討されることを願う。 ただし、これらの措置を政治家が実際に行うかどうかということより、さらに重要なことがある。国民が本当にそれを望んでいるのかということである。
良い政治・良い行政を実現するためには、前提として、それを実行させる良い国民の存在が不可欠である。国民にとって政治とは何か、21世紀の日本にはどのような政治スタイルが必要なのか。今一度、国民一人一人が自らに問い直すことが求められているのではないだろうか。

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