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今問われる国会議員の政策能力

議員会館の問題点

 各国会議員が、職務をまっとうすることができるよう、議員会館を設け、事務室を提供することになっている(国会法第132条の2)。
 議員会館(衆議院2棟、参議院1棟)の議員事務室は、衆議院では総選挙後の各派協議会において、参議院では自治委員会において協議の上、各会派に割り当てられる(ただし、議員がその後所属会派を変更しても議員事務所の割り当ては変更されないことになっている)。
 議員事務所の使用は1人1室に限られている。各種団体の事務室等に使用したり、宿泊に使用するといった目的外使用は禁止されている。面積はおよそ40平方メートルとなっている。
 しかし現状の議員会館は使用する議員にとっても訪問する者にとっても、いろいろな面で問題を抱えている。


(1)物理的なスペースが狭い
 まず何といっても物理的なスペースの問題が挙げられる。議員会館における議員1人当たりのスペースは極端に狭い。議員事務室は議員が執務に使用するだけではなく、普通は秘書が2人から4人が働く場だ。議員の執務の場としても、秘書の執務の場としても絶対的にスペースが不足しているのが現状である。
 議員会館は議員や秘書が執務する場であるだけでなく、陳情客が訪れたり、官僚が説明に来たり、議員同士が打ち合わせをしたりする等、人が訪れる場だが、絶対的にスペースが狭いため、来客の対応さえままならない。来客が待機する場所もまずとれない。議員事務室を訪問してよい印象を持つ者はほとんどいないのではないかとさえ思われるほどだ。

 議員会館の狭さによって、資料の収集・保管・整理を行う上でも問題が生じる。資料に関するスペースが十分に確保できないため、通常、膨大に集まる国会関係資料等は随時、処分されてしまうのだ。国会関係資料が実に貴重なものであることを考えると、このことは国民にとっても損失といえる。
 前述の政策スタッフの拡充に関していっても、スタッフを増員するとしても、そもそもどこにも執務スペースを確保することができないという重大なハードルがある。


(2)付属設備が不十分
 物理的なスペースのみならず、議員会館全体の付帯的な機能および設備も不十分である。
 とりわけ情報化・電子化・インテリジェント化が極度に遅れている。最近になってようやくパソコンの支給、および国会内の情報ネットワーク化が進展しつつあるが、スペースや人材の問題、そして何といっても議員の意識の問題があり、

有効に活用されていないのが現状だ。また議員の政策立案活動をさまざまな面からサポートするための設備、例えば共用の資料・文献室、談話室、サポート室(コピー室など)の整備も不十分である。


(3)国民への開放性、アクセス性が不十分
 議員は国民からの信託を受けた代理人でもある。国民は議員の国会活動その他の政策活動に積極的にアクセスする権限がある。本来であれば、国民は自由に、いつでも議員と接触し、議員の考え方を聞いたり、議員に様々な提言を行ったりすることが可能であっていいはずだ。
 しかし実際には、国民がそのようなアクセスをするにあたって、議員会館は利用しやすいものとはいえない。
それどころか非常に閉鎖的・排他的な印象を受ける議員会館の構造そのものが国民との距離感を作ってはいないだろうか。国民への開放性が高めて、国民が気楽に議員に話を聞きに来やすい環境作りをすることが必要である。
 その際、高齢者や障害者の方々が利用する上での配慮も十分ではない。階段のスロープ化、エレベーター・エスカレーター化、フラット化は最近徐々に進められつつあるが、いまだに十分とは言えないのが現状だ。

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