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高齢社会への対応

-- 次に労働力の供給サイドのことについてお聞きします。まず高齢化社会の対応としてはどのような考え方をとられていますか?
「現在の予測では、2007年で日本の人口は減少過程に入っていくことになります。労働力人口も2005年をピークとして減少していきます。そして、総労働人口に占める高齢者の比率がどんどん高まっていきます。向こう10年間で、29歳以下の労働力人口は約400万人減少しますが、反対に60歳以上の労働力人口は約360万人増加すると予測されるのです(表A参照)。当然、そのような超高齢社会では、高齢者の雇用は政策の大きな
柱となります。
 高齢者対策について強調したのは、少子・高齢化社会になれば、扶養される側の人口が増えていくと、どちらかといえば、マイナス・イメージでとらえられがちでしたが、今回の提言はそういう方向ではまとめていません。高齢者が支えられる側ではなくて、社会を支える側に回ることの必要性をうたっています。意欲と能力がある限り年齢にかかわりなく働き続けることができる社会、“アクティブ・エージング”、つまり活力ある高齢社会を実現するために必要な条件整備を図る、そういうまとめ方です。
 そもそも日本は、高齢者とする年齢が


低すぎるのです。ようやく平成10年から60歳以上定年制が義務化されましたが、それでも60歳の時点ですでに高齢者扱いにするわけです。定年延長は当然のことですが、今、産業界は不況で、すぐに一律定年延長の導入は困難でしょうから、他の企業への再就職など、あらゆる手段・方法を使って雇用を延長していこうと提言しています」
-- 高齢者の雇用対策を進めるにあたって、阻害要因はありますか?
「高齢者の雇用に関して深刻化している面があります。規制緩和の流れの中で、流通革新が進み、零細商店がどんどん倒産に追い込まれていることです。小
売業の自営業は健康であれば生涯、働くことができるため、高齢者の雇用の大きな受け皿となっていました。今、それが縮小し、高齢者の雇用の場が消えつつあります。今後、それらが生活困窮者として大量に出現する可能性があります。自営業は全労働人口の3分の1を占めているため、社会的なインパクトも極めて大きいのです。そのような規制緩和の流れに、自民党内部から、『町の商店が潰れている』と反旗がひるがえってくるのも当然です。産業構造の変化が不可避だとしても、軟着陸の政策を考えなければならないと思います。  そもそもコメや嗜好品といった商品は需要の価格弾力

性が無い、つまり安くなっても需要が増えないというのは経済学の原則です。コメが安くなったからといって、たらふく食べるようにはなりません。そういう商品を安売りしても、結果的にはさほど消費者の利益にはつながりません。今の規制緩和の議論はそういうバランスのある見方を失したものになっています。  私も市場原理を導入することで、コストを下げるといった規制緩和の必要性は認めています。ただ、自由競争に過大な期待 をかけた市場万能主義の意見には疑問を感じざるをえません。資本市場のように一瞬にして世界をかけめぐるマーケットと同様の原理を、あらゆる商品に適応することを理想としていいのでしょうか。雇用対策にしても、原理原則をわきまえ、もう少し落ち着いた議論をすべきだというのが、今回の提言の組み立てでもあります。だからこそ、『流動化』という言葉も避けたわけです」

 
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