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雇用
反町勝夫 産業構造の変革が進む今、求められる労働政策とは

労働政策の転換
森 英介氏
LEC東京リーガルマインド
代表取締役会長
反町勝夫
VS 衆議院議員
森 英介氏


反町
 森先生が政務次官になられた当時から現在に至るまで日本の労働をめぐる環境は大きく変化しています。今や失業率はかつてなく高まっており、今年の春闘の結果も労働者にとっては厳しい内容でした。日本の雇用をめぐる状況の変化についてどのような認識をお持ちですか?


  従来、労働組合の二つの闘争目標は賃上げと雇用の確保でした。しかし、それが二つとも要求できない時代になってきた。どちらかを選択しなければならないわけです。

反町
 そういう時代に対応するためには政府が果たす役割は重要ですね。


 労働行政で言いますと、今までの労働政策は失業給付や雇用調整助成金(注3)などいわば事後処理的な政策が多かったのですが、今は雇用の場を創出できないかとか、失業を出さずに労働移動を進められないかというような前向きなテーマが出てきています。それで今、労働行政分野が活気づいているんですね。

反町
 なるほど。適切な言い方ではないかもしれませんが、これまでの労働問題では、資本と労働は対極という形でとらえられていたけれど、今はむしろそのような対立軸ではなくなっている。喧嘩している場合ではないと。


  ええ。ちなみに甘利労働大臣はこれまでどちらかというと商工政策を専門とされてきた方です。その甘利先生が労働大臣になられたというのも誠に時宜を得ている。労働政策と産業政策を融合することが必要な時代だと思いますから。


反町
 つまり労働の場そのものを確保していくことが重要な国の施策になっている。またそれなくしては国の根幹が揺らぐことにもなりかねない時代ですね。
 政府は労働政策を積極的、総合的、戦略的なプランとしてとらえ、そのためにどんどん予算を組んでいくという方針となっています。そうしなければ日本経済が機能不全を起こすということでしょうか?



  いわゆる日本的な雇用慣行の中で、特に日本の大企業はこれまでがんばって“企業内失業者”を抱え込んできたと言えるでしょう。ところがこのような時代を迎えて、さすがに企業も辛抱しきれなくなってきた。私は日本経済の状況は反転攻勢に入ってきたと見ていますが、企業にとっては余力が出てきたときこそ、荒療治ができるのも事実でしょうから、今後しばらくは失業率の動向は予断を許さないと思います。だからこそ、より国のケアが大事な時代になってきたととらえています。

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