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雇用
反町勝夫 産業構造の変革が進む今、求められる労働政策とは

中高年に対する職業訓練
森 英介氏
LEC東京リーガルマインド
代表取締役会長
反町勝夫
VS 衆議院議員
森 英介氏


反町
 現在、“空前の資格ブーム”とマスコミで言われていますが、その背景に、実務能力を身につけることで、新しい雇用先を確保するということがあるわけです。昨年12月からの職業能力向上開発のための教育訓練給付金の対象がほぼ全労働者に拡大されたこと。最近、緊急に実施された中高年再就職促進訓練制度もその流れにあると 思われます。


 現実として失業者が増えつつありますが、さらに産業構造そのものが大きく変わってきています。それに対応して、労働の需要と供給の関係と言いますか、ニーズとの間にミスマッチが生じています。それを埋めるための支援をしていくことは大切だと思います。今までの政策は主に使用者を通じて講じていたが、それが労働者の自発的な能力開発・自己啓発に対する支援に軸足が置かれるようになってきました。私はそれは大事なことだと思っています。例えば雇用調整助成金に代表される労働省のこれまでの政策は一面では産業構造の転換を抑止する効果があるわけです。何とか現状を維持して生き延びさせようということですから。これから労働政策が大きく転換していく中で、よりニーズにマッチした人材を育成するための労働行政は大いにがんばらなければならないと思っています。

反町
 ハローワーク(公共職業安定所)で失業者に職業訓練をしていますが、それを民間に委託することも始まっています。私たちの会社でも働く方のキャリアアップ、自己啓発としての能力開発の研修を実施しています。ハローワークのプログラムにしたがって、集中的に週に5日間、3カ月間とか6カ月間で行っています。現在、中高年の失業者が急増して、公的なハローワークだけでは訓練の場が足りないのです。
私たち民間も労働省の雇用活性化総合プランと連携をとり、お役に立ちたいと思っているわけです。そのような民間の動きについて、どのようなお考えをお持ちですか?


  労働省は職能短大を持っています。これは職業訓練校のようなものですが、それを4年制化することになりました。またそれとは別に労働省が支援して、私立の“職人大学”を埼玉県行田市につくることになりました。しかし私は本当ならばこのようなことは民間の力をより有効に活用すべきだと思うのです。専門校などを有機的に組み合わせて、全体的な底上げを図るべきだと。

反町
 そうですね。これだけ時代の変化が激しい中で、公的機関ですべてをやることは難しいでしょう。民間にはさまざまな機関があります。もっとそれを活用されたほうがいいでしょう。


  そうですね。しかも労働省の教育施設は新卒の高校生を主たる対象とするのです。そのようなことは文部省に任せておけばいい。むしろ労働省としては中高年の能力アップなどを支援すべきだと思います。雇用の需給関係の将来予測を見ますと、今は失業者が多いのですが、10年〜20年くらいのレンジで先のことを考えれば、少子化 の時代を迎えることは確実ですから、むしろ近い将来には雇用不足の局面が訪れる。そうなったとき、高年齢者の労働力をうまく活用できなければ、今の日本の国力はとても維持できない。ただし今までの延長線上の中高年の労働力では役立たないということになりかねません。ですから、中高年のキャリアアップは今後、きわめて重要な労働政策の課題になると思います。
 先日、労働委員会で、ある世界的な人材派遣会社の視察を行ったのですが、結局、教育訓練はほとんどが今、コンピュータの教育なんですね。パソコンの扱える人でないと企業が使ってくれない。今の50歳以上の人はほとんど使えないでしょう。

反町
 私も少々、やってますが(笑い)。議員の方々はどうです?


 私もけっこう使いますよ(笑い)。地元と東京とを行ったり来たりして電車に乗っている時間が長いものですから。

反町
 中高年の実務能力アップのために、民間にはさまざまな教育訓練があるわけですから。そこをもっと活用していくことが望ましいと思います。


 そうですね。

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