- 日商簿記 「ネット試験」実施で何が・どう変わる??
- 2020年12月より、3級2級検定試験は「統一試験(ペーパー試験)」に加え「ネット試験(CBT方式)」が追加実施されています。
以下では、「ネット試験」実施の背景や試験対策までを整理します。
ネット試験実施について
コロナ禍のもと、2020年6月検定が中止となり、また、11月検定も「定員制」での実施、あるいは実施を見送るなどの対応がとられました。
今後このような不測の事態が発生しても検定試験が実施できるよう、従来からのペーパーで行う試験(以下、統一試験)に加えて「ネット試験」が実施されることになりました。「統一試験」が廃止され「ネット試験」に一本化されるわけではありません。「ネット試験」「統一試験」の二本立てです。
また、合格すれば、「ネット試験」「統一試験」に差はなく「日商簿記検定●級合格」と履歴書等に記載できます。
ネット試験実施概要
「ネット試験」と「統一試験」の違いを見るために、両試験の申込みから実施までを一覧表で確認していきましょう。下記一覧の試験時間・出題数は21年6月検定からのもので記載しています。
ネット試験(CBT方式) (※1) | 統一試験(ペーパー試験) | |
---|---|---|
試験日 | 各試験センターが定める日時において随時受験可 | 6月第2週 11月第3週 2月第4週(※2) |
試験会場 | 日本商工会議所が指定する試験センター | 各商工会議所・指定の会場 |
受験申込み方法 | 「株式会社CBT-Solutionsの日商簿記申込専用ページ」から申込み ※受験希望日時、希望受験会場、受験者情報を入力し、受験料・申込み手数料を決済 |
各商工会議所の指定する方法で申込み (ネット・窓口・書店など)(※2) |
試験時間 ・出題数 |
<3級>60分(3題以内) <2級>90分(5題以内) |
|
出題範囲 | 日本商工会議所が定める「簿記検定出題区分表」に則して出題 | |
受験料 | CBT試験・統一試験の受験料は同額。 <3級>2,850円 <2級>4,720円 |
|
解答方法 | ①試験センター設置の端末に、受験者ごとに問題が配信される。 ②キーボード・マウスを使用して解答を入力 (プルダウン+入力式) |
答案用紙に解答を記載。 ネット試験の「プルダウン式」や「入力式」と共通にするため、一覧から選択する方式となる問題もある。 |
合格発表 | ①試験終了後に自動採点され、パソコン画面に結果が表示される。 ②QRコードから<デジタル合格証>が即日取得できる。 |
実施後、2〜3週間程度必要 |
その他 | A4計算用紙が2枚配付される。試験終了後に回収。 | - |
- ※1. 21年6月検定から、「統一試験」もネット試験と同一の試験時間となる。
解答方法が「統一試験」も「ネット試験」とで不利がないよう変更になる。
(例)仕訳問題では、「ネット試験」のプルダウンに合わせるために、語群から選択して記号や数字で回答するなど。
詳細は「日本商工会議所」からの試験方式の案内をご確認ください。 - ※2. 検定日時はhttps://www.kentei.ne.jp/bookkeepingでご確認ください。
「ネット試験」のメリット・デメリット
「ネット試験」には「統一試験」にはないメリット・デメリットがあります。以下、確認してみましょう。「統一試験」のメリット・デメリットは、「ネット試験」とほぼ対の関係になりますので割愛します。
メリット
- 受験機会が確保できる(不測の事態にも対応できる)
- 試験日が自分で決められるので、学習の進捗・実力に合わせて受験できる。
- 希望により何度でも受験できる。
- 結果がすぐ分かり、「合格証」も即日交付。
- 3級・2級の併願者は、試験日時を調整できるので体力的に楽になる。
デメリット
- パソコン画面には計算やメモが採れないので、計算がしずらい。
- ポイントになる箇所にアンダーラインが引けない。
- パソコンの操作に慣れていないと回答入力に時間がかかる。
- 統一した試験日がないため、学習スケジュールの自己管理がよりシビアになる。
その他、いろいろ思いつくところはあるかもしれませんが、それぞれのメリット・デメリットを活かして受験までの流れ・対策を組み立てていくのが良いでしょう。
ここは要注意
「ネット試験」の最大のメリットは、「検定月」がないということになるのではないでしょうか。
検定月がないため、「力がついた」と思えるところで「ネット試験」で合格するということが可能とります。また、「統一試験」で残念な結果になった場合でも、次回の「検定月」を待たずに「ネット試験」を受験することもできます。
一方、デメリットとして大きなものは、画面上に表示される問題を、手元の計算用紙に写さなければならない、ということです。また、ポイントになりそうなところにも「アンダーライン」を引くことができません。
受験生の多くの方は、「紙」ベースで勉強しているので、<冊子問題>→<計算用紙>の流れに慣れています。これに対し、「ネット試験」では、<画面>→<計算用紙>→<画面>という流れになり、写す作業においてイージーミスを招くということも考えられます。
試験対策
デメリットに注目してしまうと、これまでとは違った特別な対策が必要と思う方もいるかとおもいますが、学習の基本は同じです。
ネット試験も紙試験も試験区分は同一ですので、お持ちのテキストや問題集を使って学習を進めてください。合格のために必要な知識は、「ネット試験」も「統一試験」も「変わらない」ということです。
ただ、試験時間が短くなることで、試験区分は同じでも「出題のされ方」が変わってくることが考えられます。これについては今後の試験を見ていかなければなりません。試験情報は随時ご案内していきます。
また、「ネット試験」受験にあたり、パソコン操作に不慣れであったり、画面と計算用紙との遷移について事前に練習しておくことも必要になります。
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