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規制は労働者のためにならない

-- 今後の労働市場の在り方を考える上で必要なことはどのようなことでしょうか?
「これまでの労働市場法は公的機関による事業独占が前提で、政府が規制をかけることによって、労働市場から不健全な業者を排除して、労働者を守るという発想だったわけです。
 実はそれは不可能です。そもそも不健全な業者とは、どのような業者かよく分からないものだから、オフィスの床面積といった形式的な規制しかできないわけです。
 しかも、事業許可を与える時点では厳しい条件をつけてチェックするけれど、
いったん許可を与えてしまったら、あとは基本的には放任です。規制によって新規事業者の参入は抑制されていますから、事業者になることさえできれば、勝手なこともできる。規制は結局、労働者のためにはならないのです。
 需給調整のために労働市場の機能を活かすことを考えるなら、市場の機能を抑制する規制があれば、極力、撤廃していく必要があります。その負担は必ず労働者に転嫁されます。 事業者間の競争によって、サービスを向上させて、労働者の利益を守るという発想は経済学では常識ですが、それが従来の労働市場法ではまったく欠落していたわけです。


 今後は民間の事業者の参入をできる限り自由化して、問題が起きた時には厳しく罰するという事後規制的な方向に向かわざるを得ないと思います。
 もちろん労働市場を完全に自由放任にするわけにはいきません。
とくに直接的な労働条件に関する規制などは強化する必要があるでしょう。労働者のプライバシー保護やセクシャル・ハラスメント防止、不当な雇用契約の禁止などです」


 
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