↑What's New ←目次
0 1 2 3 4 5 6 7 8 9 10 11 12 13 14 通巻 193号

労働組合のサービス業化

-- 時代の変化を受けて、労働組合の役割はどのようにあるべきでしょうか?
「これまで労働組合は、もっぱら賃上げ要求であるとか、不当労働行為に基づく解雇を防止といったことを団体行動によって実現していたわけです。組合活動が機能するには、労働者同士の利害が一致していなければならないのですが、多様な働き方をする労働者が増加してくれば、労働者間の利害の対立も生じることになり、団体交渉権は機能しなくなっていきます。  これからは、労働組合もサービス産業といいますか、一種の人材ビジネスにならざるをえないでしょう。
また企業の人事部もそうなっていくと思います。組合と人事部がともに組合員にサービスを提供するという形です。  これから働き方がいっそう多様化すれば、個別の労働紛争も増えていくはずです。また能力給制度が導入されれば、人事評価の問題も生じます。組合員が自分が正当に評価されていないと訴えてきても、それは組合とは関係が無いとしていたら、ますます組合員が減ってしまうでしょう。個別の労働紛争について、様々な事例を蓄えて、コンサルティングなどのサービス提供をしなければなりません。労働組合は多様な働き方をする労働者のニーズに応えられるだけのノウハウを


蓄積して、サービス業化することです。そうなれば、大きな存在価値を打ち出すことができます。なんといってもノンプロフィットの組織であり、労働者との信頼関係をもち、全国組織をもっているわけですから。  また労働組合は労働力供給事業を認められた存在で、人材ビジネスを行うことが可能なのです。その機能をもっと活用すべきでしょう。他の企業の労働組合とタイアップして、現在の職場で 能力が活かせていない 労働者を仲介するといった機能を果たすことが求められていると思います。職業紹介の機能として、NPOの労働組合があり、営利目的の有料職業紹介所があり、さらにセイフティネットとして公的職業紹介所がある。そのような多層のジョブ・マッチング・システムを形成していくことで、労働市場が効率的に機能するようになります」


 
→Next

↑What's New ←目次
0 1 2 3 4 5 6 7 8 9 10 11 12 13 14 通巻 193号
Copyright 2000 株式会社東京リーガルマインド
(c)2000 LEC TOKYO LEGALMIND CO.,LTD.