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1990年代に進んだ働き方の多様化

-- 労働の多様化という現象は、いつ頃から顕著に現れたのでしょうか?
「もちろん産業のサービス化は1970年代から徐々に進んできたわけですが、私は状況が大きく変わる契機となったのは1990年代に入ってからの経済成長の大きな屈折にあると見ています。経済成長率はそれまでの年4〜5%から1〜2%へと大きく屈折しました。そして、その長期的な低迷は単純な景気循環による一時的な現象では説明がつかず、構造的な変化であり、今後、高齢社会に向かって低成長時代が到来するという認識は経営者の間でも、労働者の間でも、今やほぼ定着していると考えられます。
 経済の状況が雇用の在り方を規定します。労働者に長期雇用を保障して、もっぱら企業の負担で訓練を施すというのは、高い経済成長率の時期にふさわしい働き方ととらえることができるのです。  長期雇用を保障して、教育訓練を施すのは、熟練労働者を確保するという目的からであり、使用者側から見れば、機械の購入や工場の建設と同じように、投資効果を期待した行為です。当然、高い経済成長の時期には、投資効果が大きいため、人材に対する投資も積極的に行います。しかし、低成長時代に入ったことが認識されれば、投資を手控えるようになります。さらに仕事を見直して、正規社


員でなくてもできる仕事に関しては、派遣労働者など、あまりコミットしなくても済む労働力にシフトすることで投資調整を行います。 1990年代の経済成長の屈折を契機として、そのようなことが急速に普及して、働き方の多様化が一気に進んだといえるでしょう」

 
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