0570-064-464

0570-064-464

menu

資料請求

資格取得・通信教育

受講相談 online
0570-064-464

0570-064-464

平日 9:30〜19:30 | 土日祝 10:00〜18:00

企業で働きながらキャリアコンサルタント資格を活用する方法 〜兼業副業のメリットと始め方〜

会社員とキャリコンを両立したいあなたへ。国家資格キャリアコンサルタントは、強力な武器となりえます。そのメリットから具体的な始め方まで、あなたのキャリアを広げる方法を解説します。。

目次

1.企業内キャリコンが注目される背景

現代の日本企業は、少子高齢化による生産年齢人口の減少、慢性的な人手不足、デジタル化に伴うスキルの陳腐化といった構造的な労働市場の変化に直面しています。そして、優秀な人材の確保・定着の困難さ、既存従業員のスキル不足や高齢化、マネジメント層の育成課題など、人材育成・定着に関するいくつもの課題を抱えています。

また、働く人は「成長」よりも「給与」や「職場の人間関係」を重視する傾向に変化しつつも、同時に「キャリア自律」や「市場価値」への関心が高まるという二面性を示しています。これらの課題に対し、多くの企業が具体的な対策に「足踏み状態」にある現状は、企業の持続的成長にとって大きなリスクとなっています。

このような背景の中、企業内で活躍するキャリアコンサルタントは、単なる従業員支援の枠を超え、企業の人材戦略の中核を担う存在としてその注目度を高めています。例えば、従業員の自己理解を促進し、キャリアプランニングを支援することで、個人のワークエンゲージメントとモチベーション向上に貢献します。この従業員に対する活力向上施策は、結果として組織全体の活性化と生産性向上に直結します。さらに、従業員との対話を通じて得られた現場の生きた情報を経営層にフィードバックし、組織開発や人事制度の改善に貢献する戦略的な役割を担います。

持続的な成長を目指す企業にとって、企業内キャリアコンサルタントは不可欠な存在となってきています。労働市場の質的ミスマッチを解消し、リスキリングを推進する上で中心的な役割を果たすことができます。また、賃上げ競争が激化する中で、単なるコストとしての賃上げではなく、従業員のエンゲージメントと生産性向上に繋がる戦略的な「人への投資」としてのキャリア支援を具現化する役割も担うことができます。

2.キャリアコンサルタント資格の基本概要

キャリアコンサルタントは、2016年4月より国家資格となった専門職です。その主な役割は、働く人々がそれぞれの職業を選び、職業生活を設計し、また職業能力を開発・向上させるための相談に応じ、専門的な視点から助言や指導を行うことです。

この資格は、働く人々が安心して職業に関する相談ができるよう、専門的な知識と技能を持った人材を育成・認定することを目的としています。具体的な役割としては、ハローワークなどの公的就業支援機関では求職者の自己分析、職業選択、求職活動の支援を、大学などの教育機関では学生の進路選択や就職活動の支援を、そして企業・団体では従業員のキャリア形成支援やキャリアカウンセリング、キャリア教育プログラムの立案・実施など、多岐にわたります。

キャリアコンサルタントの資格取得するための方法は、以下のとおりです。受験資格を得るにはいくつかの方法がありますが、代表的なものは厚生労働大臣が認定する講習(「キャリアコンサルタント養成講座」等の名称であること多い)の課程を修了することです。

試験は、キャリアコンサルティングに必要な知識を問う学科試験(マークシート形式)と、実践的な能力を測る面接試験で構成されます。面接試験は、受験者がキャリアコンサルタント役となり、キャリアコンサルティングを行うロールプレイングと、その振り返りや関連知識を確認する口頭試問からなります。これら試験は、日本キャリア開発協会(JCDA)とキャリアコンサルティング協議会の2団体が実施しており、学科試験は共通問題で同日に実施されます。試験に合格した後、厚生労働省のキャリアコンサルタント名簿に登録することで、初めて「キャリアコンサルタント」の名称を使用することが可能になります。

3.兼業・副業でキャリアコンサルタントをするメリットとデメリット

近年、政府の推進や働き手の意識変化を背景に、企業に所属しながら別の業務を行う「兼業・副業」が大きく広がっています。経団連の2022年調査によると、約7割の企業が副業を「認めている」または「認める予定」と回答しており、特に大企業ではその割合が8割を超えています。これは、コロナ禍におけるテレワークの普及や、収入増・スキルアップへのニーズ、そして政府が積極的に副業・兼業を推進する姿勢(厚生労働省のガイドライン改訂など)が背景にあります。
まず、兼業・副業全般におけるメリットとデメリットを見ていきましょう。

メリット
収入の増加:
経済的な余裕が生まれ、生活の質向上や将来への投資に繋がります。経済的なリスクを分散させるという手段としも有効な場合もあります。

スキルアップ・キャリアアップ:
本業では得られない知識や経験を習得し、自身の市場価値を高めることができます。新しい分野への挑戦も可能です。

新しい人脈の形成:
本業とは異なる分野の人々と出会うことで、新たな視点や情報が得られ、人脈が広がります。

転職・独立の準備:
リスクを抑えながら、将来の転職や起業に向けた準備を進めることができます。

時間の有効活用:
空いている時間を有効活用し、自己成長や収入向上に繋げられます。

自己実現・やりがいの追求:
収入だけでなく、「やりたいこと」に挑戦することで、自己実現や幸福感の向上につながります。

一方で、以下のようなデメリットや注意点もあります。

デメリット
労働時間の増加・過重労働のリスク:
複数の仕事を掛け持ちすることで、労働時間が長くなり、疲労や睡眠不足に陥りやすくなります。体調を崩し、本業に支障をきたす可能性もあります。

プライベート時間の減少:
休息や家族と過ごす時間が削られる可能性があります。

本業への影響:
疲労や集中力の低下により、本業の生産性や品質が落ちるリスクがあります。

情報漏洩のリスク:
競合他社で副業を行う場合など、企業の機密情報が漏洩するリスクが伴います。

社会保険・税金の問題:
副業の所得が年間20万円を超える場合は確定申告が必要です。20万円以下でも住民税の申告が必要な場合があるため、事前に確認、検討してください。社会保険の加入条件や適用対象が変わる可能性も考慮が必要です。

不明な点があれば専門家へ相談:
税金や確定申告の仕組みは複雑であり、個々の状況によって適用されるルールが異なる場合があります。不明な点があれば、国税庁のウェブサイトで情報を確認するか、最寄りの税務署、または税理士に相談することをお勧めします。これらのステップを順序立てて実行することで、会社員としての本業を安定させつつ、キャリアコンサルタントとしての活動をスムーズに開始し、持続可能な兼業・副業ライフを築くことができるでしょう。

就業規則の確認と会社への申請:
副業・兼業を禁止または制限している企業もあるため、就業規則を事前に確認し、必要であれば申請を行うなど、トラブルを避けるための確認が必要です。違反すると、評価への影響や、最悪の場合懲戒処分の対象となる可能性もあります。

労災の問題:
副業中に労災が発生した場合、その責任の所在など、複雑な問題が生じる可能性があります。そして、所属する部署等の上司、同僚、部下等にも可能な限り、状況を知らせておくことも求められます。兼業・副業を周囲が応援してくれることもあるし、思わぬ障壁になることもあります。兼業・副業は、個人のスキルアップや収入増に繋がる魅力的な選択肢ですが、自身の健康管理や本業への影響、法的なルールなどを十分に考慮し、無理のない範囲で取り組むことが重要です。


3.1メリット:収入アップ・人脈拡大・スキル向上
キャリアコンサルタントしての兼業・副業のメリット、デメリットは前述した一般的なものと大差なく、収入アップ、人脈拡大、スキル向上が期待できます。

ここでは筆者の経験、事例をもとに、「キャリアコンサルタントならでは」と思われることについて記載いたします。

組織と個人の両方に活躍の場が豊富:
現代企業は、従業員を終身雇用で囲い込むモデルから、「主体的なキャリア形成」を促す方向へと変化しています。キャリアコンサルタントは、この「主体的・自律的なキャリア形成」の専門家として、企業(組織)と個人の双方に対して、非常に広い活動領域を持っています。組織の人材開発や制度改善に貢献することも、個人のキャリア形成を直接支援することも可能です。

他の資格との相乗効果が高い:
キャリアコンサルタント資格は、他の様々な専門資格と組み合わせることで、その価値を飛躍的に高めることができます。例えば、社会保険労務士と組み合わせれば、労働法規の知識を背景に、より現実的なキャリアプランや労働条件のアドバイスが可能になります。ITエンジニアがキャリアコンサルタント資格を持てば、IT業界特有のキャリアパスや課題を深く理解した支援ができます。ファイナンシャルプランナー(FP)の知識があれば、個人のライフプランとキャリアプランを統合的に支援し、経済的な側面からも具体的なアドバイスを提供できます。このように、キャリアコンサルタント資格は他の専門分野と結びつくことで、より専門的で付加価値の高いサービスを提供できるのです。

スポット業務が豊富で働きやすい:
キャリアコンサルタントの仕事には、スポット的な業務、つまり単発や短期のプロジェクト、または時間単位の業務委託などで活用する機会が豊富にあります。これは、会社員として兼業・副業を行う上で非常に大きなメリットとなります。

例えば、以下のような働き方が可能です。

個別キャリアカウンセリング(単発・継続):
オンラインプラットフォームでの相談: スキルシェアサービスや、キャリア相談専門のプラットフォームに登録し、個人の相談者からの依頼を受けてオンラインでカウンセリングを行います。1時間単位など、比較的短い時間での相談が多く、自身の空き時間に柔軟に対応できます。

個人向けサービスの提供:
自身のウェブサイトやSNSを通じて、個人からのキャリア相談を受け付けます。転職相談、キャリアプランニング、自己分析、職務経歴書添削、面接対策など、様々なニーズに対応します。単発での相談もあれば、複数回の継続サポートを行う場合もあります。

公的機関からの業務委託:
ハローワーク・地域若者サポートステーション等: 求職者向けのキャリア相談や就職支援セミナーの講師として、期間限定やシフト制で業務を担当することがあります。地域のハローワークや自治体のウェブサイト、またはそれらの業務を受託している企業で募集を確認しましょう。

自治体主催のイベント・セミナー:
就職フェアや移住相談会などで、ブースでのキャリア相談やミニセミナーを行います。

これらのスポット業務は、自分のスケジュールに合わせて仕事を受けることができるため、副業として始めやすいという利点があります。本業の繁忙期には仕事量を調整し、余裕がある時期に集中して取り組むといった柔軟な働き方が可能です。また、セミナーや研修講師などを通じて得られたプレゼンテーションスキルやファシリテーションスキルは、所属先の会社内で実施される会議での発言や、チーム内のプレゼンテーションにも良い影響を与えることがあります。社内での評価向上にも繋がる可能性があります。


3.2 デメリット:時間管理の難しさ、収入の不確実性
キャリアコンサルタントとしての兼業・副業にも、当然ながらデメリットや注意すべき点があります。前述した一般的な兼業・副業のデメリットと共通する部分が多いですが、ここでは筆者の経験も踏まえ、特に「時間管理」と「収入の不確実性」について掘り下げて解説します。

時間管理の難しさ:
複数の仕事を掛け持ちすることで、労働時間は確実に増加し、過重労働のリスクが高まります。疲労や睡眠不足に陥りやすくなり、体調を崩してしまっては、元も子もありません。最悪の場合、本業にも支障をきたし、評価の低下や職場の人間関係にひびが入る可能性もあります。特に、業務委託(スポット)でキャリアコンサルティングや研修講師を受託した場合、組織(会社)のように他のスタッフに対応を依頼することが困難な場合が多く、急な体調不良や家庭の事情などで対応できなくなった際に、業務の継続に支障をきたすリスクがあります。信頼関係を損なうことにも繋がりかねないため、常に自身の体調やスケジュールを正確に把握し、無理のない範囲で業務を引き受ける慎重さが求められます。また、副業に時間を割くことで、プライベートな時間が減少することも避けられません。休息や趣味の時間、そして家族と過ごす時間が削られる可能性があります。パートナーがいらっしゃる場合、小さなお子さんがいらっしゃる場合、あるいは介護や看護を必要とする方がいらっしゃる場合など、個々の状況は様々です。副業を始める前に、ご家族とよく話し合い、家事分担や万が一の場合の対応、緊急時の連絡体制などをあらかじめ決めておくことが重要です。家族の理解と協力がなければ、兼業・副業を長く続けることは難しいでしょう。

収入の不確実性:
キャリアコンサルタントとしての兼業・副業は、確かに収入アップに寄与する可能性を秘めていますが、特にスタート時は過度な期待は禁物です。最初は、ある程度の収入の不確実性を受け入れ、ご自身のキャリアコンサルティングスキルの向上を優先すべきだと考えます。業務を実施して得られる収入はあくまでも臨時的収入と考え、本業の給与を主たる収入源とすることで、精神的な安定を保ちながら、業務遂行面や時間管理面でのリスクを減らすことができます。もし、より確実な収入を求めるのであれば、事前の事業計画等の作成はもちろんのこと、すでに独立して活躍しているキャリアコンサルタントや、他の専門家からのヒアリング、アドバイスを積極的に求めることをお勧めします。彼らの経験談は、現実的な収入の見込みや、安定した収入を得るための具体的な戦略を立てる上で非常に役立つでしょう。

4.企業で働きながらキャリコンを始めるためのステップ

まずは自身の準備から:
活動を始める前に、まずは自己分析と心構えをしっかり行いましょう。

目的の明確化と自己分析:
どのようなキャリアコンサルティングを提供したいのか、どんな相談者の役に立ちたいのかを明確にします。これまでの職務経験、スキル、興味関心などを棚卸し、キャリアコンサルタントとして活かせる強みを見つけます。例えば、IT業界での経験が長ければIT業界に特化したキャリア支援、人事経験があれば人事制度や組織開発に関する相談、といった具合です。キャリアコンサルタントに相談するのもひとつのやり方です。

心構えとリスク管理:
兼業・副業には、時間管理、本業への影響、秘密保持義務、労災などのリスクが伴います。これらについて事前に認識し、どのように対処するかを検討しておくことが重要です。保険加入の検討も視野に入れましょう。

本業とのバランス:
本業がおろそかにならないよう、無理のない範囲で活動できるよう、時間配分やワークライフバランスを慎重に考慮することが極めて重要です。本業に支障が出れば、副業を継続すること自体が困難になります。

Step1:就業規則の確認と会社への周知
兼業・副業を始める上で最も重要なステップの一つが、所属する企業の就業規則の確認です。

兼業に関する諸規則の確認:
副業・兼業が許可されているか、どのような手続きが必要かを確認しましょう。企業によっては、副業の種類や内容に制限がある場合があります。無許可で始めると、トラブルになる可能性があるので、必ず確認し、必要であれば申請しましょう。

上司や同僚への可能な限りの周知:
法的な義務ではありませんが、所属する部署の上司や、場合によっては同僚、部下にも、兼業・副業を始める旨を可能な限り、状況を知らせておくことも求められます。これは、周囲の理解を得ることで、業務における協力や調整がしやすくなるためです。兼業・副業を周囲が応援してくれることもあれば、理解が得られず、思わぬ障壁になることもあります。オープンな姿勢で臨むことが、スムーズな両立の鍵となります。

Step2:副業の実働時間とワークライフバランスを考える
副業を具体的に始める前に、ご自身の生活とキャリア全体を見渡して、無理のない計画を立てることが肝要です。

労働時間と休養時間の配分:
本業の勤務時間、通勤時間、休憩時間を明確にし、副業に充てられる時間を現実的に見積もりましょう。特に、終業後や週末の時間をどのように活用するか、具体的な計画を立てることが重要です。無理なスケジュールは、心身の健康を損ねるだけでなく、本業のパフォーマンス低下にも繋がります。

家族やプライベートな活動との調整:
副業に時間を割くことで、休息や趣味、そして家族と過ごす時間が減少する可能性があります。詳細は「3.2 デメリット 時間管理の難しさ、収入の不確実性」に記載しています。

疲労とストレスへの対策:
労働時間の増加は、疲労蓄積やストレス増大に直結します。十分な睡眠時間の確保、適度な運動、リフレッシュできる趣味の時間など、心身の健康を維持するための対策も計画に盛り込みましょう。

Step3:副業収入の課税と確定申告方法の確認
兼業・副業から収入を得る場合、税金に関する正しい知識を持つことが非常に重要です。詳細は「3.兼業・副業でキャリアコンサルタントをするメリットとデメリット」に記載しています。兼業・副業は、個人のスキルアップや収入増に繋がる魅力的な選択肢ですが、自身の健康管理や本業への影響、法的なルールなどを十分に考慮し、無理のない範囲で取り組むことが重要です。

5.キャリアコンサルタント副業の具体的な探し方と活用サービス

キャリアコンサルタントとして副業を探すには、様々な方法やサービスが存在します。ご自身の経験や目標、働き方の希望に合わせて、最適なものを選択し、積極的に情報収集と応募を進めることが重要です。

オンラインプラットフォームでの相談:
スキルシェアサービスや、キャリア相談専門のプラットフォームに登録し、個人の相談者からの依頼を受けてオンラインでカウンセリングを行います。

公的機関、大学など:
ハローワーク、地域若者サポートステーションでは求職者向けのキャリア相談や就職支援セミナーの講師など、業務委託で募集が出ることがあります。地域のハローワークや自治体のウェブサイト、セミナー受託企業で募集を確認しましょう。

キャリアコンサルタントWebサイト登録センター(キャリコンサーチ):
厚生労働省が運営するサイトで、キャリアコンサルタント資格を登録しておくと、公的機関からの業務依頼を受けやすくなることがあります。

大学・専門学校のキャリアセンター:
学生の就職支援(個別相談、ES添削、模擬面接、講座講師など)の業務委託を募集していることがあります。特に就職活動のピーク時にはニーズが高まります。

企業の人事・研修部門との連携:
社員向けのキャリア面談、階層別研修、メンタルヘルス研修などの講師として、外部のキャリアコンサルタントに業務を委託する企業が増えています。企業の採用情報ページや、直接問い合わせてみるのも一つの方法です。

人材紹介会社・派遣会社での業務:
転職希望者へのキャリアコンサルティングや、企業の採用支援の一部(面接代行など)を、業務委託や非常勤で募集していることがあります。

大手派遣会社のキャリアコンサルタント求人:
大手派遣会社のサイトで「キャリアコンサルタント 副業」「業務委託」などで検索すると、募集が見つかることがあります。

既存のネットワークの活用:
これまでのご自身の本業や経験で培った人脈は、副業の依頼を受ける上で非常に貴重な資産となります。過去の同僚や上司、取引先などが、自身のキャリアや部下の育成に関する相談ニーズを持っている場合があります。まずは身近な人に、キャリアコンサルタントとしての活動を始めたことを知らせてみましょう。

SNS・ブログ・ウェブサイトでの情報発信:
自身の本業やこれまでの経験で培った人脈を通じて、副業の依頼を受けることもあります。特に、過去の同僚や上司、取引先などがキャリア相談のニーズを持っている場合があります。

キャリアコンサルタントのコミュニティ・勉強会への参加:
他のキャリアコンサルタントとの交流を通じて、案件を紹介してもらったり、共同でプロジェクトに取り組んだりする機会が生まれることがあります。

養成機関からのサポート業務や案件紹介:
キャリアコンサルタント資格を取得した際に利用した養成機関と関係を築いておくことも有効です。養成機関によっては、卒業生向けに、実技試験対策のサポート、ロールプレイングの相手役、更新講習の運営補助などを募集している場合があります。また、養成機関が公的機関や企業から業務を受託している場合、その業務の一部を修了生に委託するケースもあります。

副業を探す際のポイント
自身の強みと専門性を明確にする:
どのような相談に対応できるのか、どのような業界や層に強みがあるのかを具体的にアピールできるように準備しましょう。自身の「売り」を明確にすることで、より効果的に案件を獲得できます。

実績を積む:
最初は単価が低くても、まずは数をこなして実績と経験を積むことが非常に重要です。良いレビューや口コミは、次の仕事に繋がり、長期的なキャリア形成において大きな財産となります。

オンラインでの活動を視野に入れる:
ZoomやGoogle Meetなどのオンライン会議ツールを活用すれば、場所を選ばずに全国からの相談に対応でき、案件の幅が広がります。また、いざというときのために、これらのツールの操作方法を熟知しておくことも大切です。

継続学習とスキルアップ:
キャリアコンサルタントとしての知識やスキルは常にアップデートし、提供価値を高めていく意識を持ちましょう。

6.企業内でキャリアコンサルタント資格を活かす具体的な事例

キャリアコンサルタント資格は、企業に勤めながら自身の所属組織に貢献する際にも、非常に多岐にわたる形で活用できます。ここでは、具体的な活かし方をご紹介します。

個別キャリア相談の実施:
最も直接的な活用方法の一つは、社内の相談窓口として、従業員のキャリアに関する悩み(人間関係、スキルアップ、キャリアパス、ワークライフバランスなど)に対応します。従業員が気軽に相談できる環境を作ることで、離職率の低下やエンゲージメント向上に繋がります。

新入社員・若手社員の定着支援:
入社後のギャップやキャリア形成の不安を持つ新入社員や若手社員への定期的な面談を通じて、早期離職を防ぎ、定着を促します。

中堅・ベテラン社員のセカンドキャリア支援:
役職定年を控えた社員や、今後のキャリアに悩む中堅・ベテラン社員に対して、社内での新たな役割探索や社外でのセカンドキャリア形成の支援を行います。

休職者・復職者の支援:
休職中のキャリアプランの見直しや、復職後の適応支援など、繊細な状況にある社員へのサポートを行います。これらの個別相談を通じて、従業員一人ひとりが抱えるキャリアに関する悩みや課題を丁寧にヒアリングし、専門的な知識とスキルを用いて、彼らが自律的にキャリアを形成できるよう支援します。

人事・人材育成部門との連携:
人事部門の一員として、あるいは人事部門と密接に連携することで、より戦略的な人材開発に貢献できます。

研修プログラムの企画・実施:
キャリアデザイン研修、セルフマネジメント研修、リーダーシップ研修など、社員のキャリア形成に資する研修プログラムの企画・実施に携わります。キャリアコンサルタントの視点を取り入れることで、より実践的で効果的な内容になります。

管理職向け研修の実施:
部下のキャリア支援を管理職が行うためのスキル(コーチング、フィードバックなど)を教える研修を企画・実施します。

人材アセスメントへの関与:
個人の強みや弱み、興味関心を把握するアセスメントツール選定や、その結果を踏まえた個別フィードバックに携わります。

社内制度・文化への貢献:
組織全体のキャリア支援体制の構築や、働きがいのある職場環境づくりに貢献します。

キャリアパス制度の改善提案:
従業員の多様なキャリア志向に対応できるような人事制度の設計や見直しに参画。

メンター制度の構築・運用支援:
社員の成長を支援するメンター制度の立ち上げや、メンターとメンティーのマッチング、メンターへの研修などを行います。

エンゲージメント向上のための施策提案:
社員アンケートの結果分析などから、エンゲージメント低下の原因を探り、キャリアの観点から改善策を提案します。

ダイバーシティ&インクルージョン推進:
多様な背景を持つ社員が能力を最大限に発揮できるような環境づくりに、キャリアの専門家として貢献します。

社内コミュニケーションの活性化:
経営層・管理職への理解促進: キャリアコンサルティングが単なるお悩み相談ではなく、従業員のモチベーション向上、生産性向上、ひいては企業業績に繋がる重要な投資であることを説明し、理解を得ることが重要です。このように社員一人ひとりの成長を支援するだけでなく、組織全体の活性化にも大きく貢献できるやりがいのある仕事です。この活動を自社内(所属企業)で実施することも可能ですし、契約を締結し、他企業でキャリアコンサルタントとして活動することも可能な点がキャリアコンサルタント資格の特長的な点です。

7.キャリアコンサルタントとしての専門性を高める方法

キャリアコンサルタントとして、長期的に活躍し、より多くの相談者の役に立つためには、継続的な学習と専門性の向上が不可欠です。

特定の専門分野を深掘りする:
「この分野なら任せて!」と言えるような、自身の強みとなる専門分野を持つことが重要です。年代別・属性別の専門性: 新卒、若手、中堅、ベテラン、シニアといった年代別や、女性、外国人、ハンディキャップを持つ方といった属性別に、彼らが抱えやすいキャリアに関する課題やニーズを深く理解し、専門的な支援を提供します。

業界・職種別の専門性:
IT業界、医療・福祉業界、製造業、サービス業といった特定の業界や、営業職、技術職、事務職、専門職といった特定の職種に特化し、その分野特有のキャリアパスや課題に関する専門知識を習得します。

特定の課題別の専門性:
転職、キャリアチェンジ、育児・介護との両立、メンタルヘルス、ハラスメントといった特定の課題に焦点を当て、その課題解決に向けた専門的なカウンセリングスキルや知識を深めます。自身の経験や興味関心を基に、これらの専門分野の中から自身の「売り」となる領域を確立することで、より的確にターゲットを定め、効果的にサービスを提供できます。

継続的な学習とスキルアップ:
キャリアコンサルタントの知識やスキルは常にアップデートが必要です。

国家資格の更新講習受講:
国家資格であるキャリアコンサルタント資格は、5年ごとに更新が必要です。更新のためには、厚生労働大臣が指定する更新講習を受講する必要があります。これは、最新の知識や情報を習得し、専門性を維持するための重要な機会です。

上位資格(キャリアコンサルティング技能士)取得:
さらに専門性を高めたい場合は、国家検定である「キャリアコンサルティング技能士」の上位資格取得を目指すことも有効です。1級、2級があり、より高度なカウンセリングスキルや知識が求められます。LEC等のスクールで対策講座も実施しています。

専門研修・セミナー参加:
特定の専門分野に関する研修やセミナーに積極的に参加し、最新の理論や実践方法を学びます。オンラインで開催されるものも多く、場所を選ばずに学習できます。

関連資格の取得:
キャリアコンサルティングに関連する他の資格(例:産業カウンセラー、心理カウンセラー、社会保険労務士、FPなど)を取得することで、支援の幅を広げ、より多角的な視点から相談者をサポートできるようになります。

書籍・論文・専門誌での学習:
キャリア論、心理学、労働経済、組織論など、関連分野の書籍や学術論文、専門誌を継続的に読み、知識を深めましょう。

情報収集:
厚生労働省や労働政策研究・研修機構(JILPT)のウェブサイト、労働新聞、経済誌などで、労働市場の動向、法改正、政府の政策など、最新の情報を常にチェックしましょう。これらの継続的な学習を通じて、自身の専門性を高め、相談者に対して常に質の高いサービスを提供できるよう努めます。

実践と経験の積み重ね:
どんなに知識を習得しても、実際の相談業務を通じて経験を積み重ねることが、キャリアコンサルタントとしての専門性を高める上で最も重要です。

多様な相談経験:
年代、属性、業界、課題など、できるだけ多様な相談者に対応することで、様々なケースへの対応力を養います。

スーパービジョンの受講:
経験豊富なキャリアコンサルタント(スーパーバイザー)から指導や助言を受けるスーパービジョンは、自身のカウンセリングスキルを客観的に評価し、改善点を見つける上で非常に有効です。

逐語録作成と振り返り:
相談内容を逐語録として記録し、自身の対応や相談者の反応を詳細に振り返ることで、気づきを得て、次の相談に活かすことができます。

勉強会への参加:
他のキャリアコンサルタントとロールプレイングを行ったり、特定のテーマについて議論したりする勉強会への参加は、実践的なスキル向上や新たな視点の獲得に繋がります。

ネットワークの構築:
一人で活動するのではなく、他のキャリアコンサルタントや関連分野の専門家とのネットワークを構築することも、専門性向上に不可欠です。

キャリアコンサルタントの団体・コミュニティへの参加:
資格団体が主催するイベントや、地域ごとの自主的なコミュニティへの参加は、情報交換や相互支援の機会を提供します。

異業種交流:
人材育成、人事、教育、心理学など、関連分野の専門家との交流は、自身の視野を広げ、新たな知識や協業の機会をもたらします。

自身の情報発信:
SNSやブログなどを通じて自身の専門性や活動を発信することで、同じ志を持つ仲間や、潜在的な相談者との繋がりを築くことができます。

倫理観とプロフェッショナリズムの追求:
キャリアコンサルタントは、相談者の人生に深く関わる専門職です。常に高い倫理観とプロフェッショナリズムを持って業務に臨むことが求められます。

倫理綱領の遵守:
「キャリアコンサルタント倫理綱領」を常に意識し、相談者の利益を最優先すること、守秘義務、自己決定権の尊重、専門性の範囲を自覚することなどを徹底します。

自己理解と自己管理:
自身の価値観、得意・不得意、限界を理解し、自己研鑽を怠らない。また、自身の心身の健康管理にも気を配り、常に質の高いサービスを提供できる状態を保ちます。これらの方法を継続的に実践することで、キャリアコンサルタントとして、より専門性を高め、変化する労働市場や多様な相談者のニーズに対応できるようになります。

8.企業勤めとキャリアコンサルタント資格を両立し、キャリアを広げよう

あなたのキャリアは、あなた自身がデザインできる。
国家資格キャリアコンサルタントは、自身のキャリアをより豊かにし、新たな可能性を広げる強力なツールとなります。現在お勤めの方は企業という安定した基盤があるからこそ、経済的なリスクを抑えながら、安心して新しい挑戦をすることができます。
大切なのは、「主体的」に「あなた」が動き出すこと。それはキャリアコンサルタントの資格をこれから取得する方(しようと思っている方)も、すでにその資格をお持ちの方も、同じです。大きな一歩である必要はありません。まずは「半歩」でいいので、できるところから日常を変えてみませんか?例えば、関連書籍を読んでみる、オンラインセミナーに参加してみる、他のキャリアコンサルタントのブログを見てみるなど、小さな行動から始めてみましょう。ご自身で半歩動き出すと、その熱意や行動に触発され、周りの方も半歩サポートしてくれるようになります。所属する会社の同僚や上司、家族、そしてキャリアコンサルタント仲間の応援や協力は、あなたの活動を後押ししてくれるはずです。
現在、多くの会社員がキャリアコンサルタントの資格を活用し、兼業・副業や、企業内でのキャリア支援を通じて活躍しています。彼らも最初は小さな日常の変化から始めたのです。さあ、あなたもキャリアをさらに輝かせるために、今日から始めてみませんか?このドキュメントが、あなたの「半歩」を踏み出すための一助となれば幸いです。

筆者

北村 美智子
筆者:稲生 豊 講師

取得資格;国家資格キャリアコンサルタント/2級キャリアコンサルティング技能士/メンタルヘルス・マネジメント検定U種/産業カウンセラー/第一種衛生管理者

大学卒業後、大手流通業に就職。店長、オーナー指導、スタッフ教育業務に就く。その後、人事コンサルティング会社にて中堅〜中小企業の人事教育コンサルタントとして活動。取引先は延べ4000社。退職後、物流企業の人事採用責任者を経て独立。

現在、学生のキャリア教育や就職支援、求職者の再就職支援セミナー等研修講師業務の他、中堅〜中小企業人事経営参謀として、従業員のキャリア支援や相談業務はもちろんのこと「時には顧問先の現場従業員とともに汗を流すこともある、現場にもっとも近いキャリアコンサルタント」として活動。


LECのおすすめのキャリアコンサルタント講座

LECキャリアコンサルタント養成講座国家資格「キャリアコンサルタント」試験対策講座キャリアコンサルティング技能検定(1級・2級)対策講座更新講習

―LECでは【オンラインの受講相談】も実施しています!―
受講相談は各本校にお問い合わせください。

受講相談(無料)

PAGE TOP