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キャリアコンサルタントのための応募書類作成支援のヒント

CLが採用される書類を書けるように支援するには?

「この添削内容でいいのかな?」
「職務経歴書の作成支援は苦手だな・・・もっと自信を持って臨みたいけど・・・」

そう感じながら応募書類作成の支援業務をこなしている方も多いと思われます。
このコラムが、そのようなキャリアコンサルタントの方々の一助になれば大変光栄です。

目次

応募書類作成支援の基本姿勢

(1)「会ってみたい」と思ってもらえる書類を作成する
応募書類は「商品カタログ」です。自分という人材の魅力を伝え、採用担当者の関心をそそる役割を担っています。採用担当者が「いいねこの人!魅力を感じる!会ってみたい!」と思うような応募書類を作成します。「いかに採用側の関心を惹きつけ、採用意欲を持たせるか?」が、応募書類作成上の要点です。

(2)「採用担当者からの視点」を持つ
「こう書くと採用担当者からどう見えるか?」「この書き方で魅力を感じるか?」作成支援の場面では、常に「採用担当者からの視点」を忘れないようにしましょう。「一緒に仕事をしたいと感じる人物だ。我が社にマッチしそう」と評価されるような応募書類を応募者(クライエント)と一緒に仕上げていきます。

キャリアコンサルタントとして必要な基礎知識

まず初めに個々の応募書類の役割を理解しましょう。
志望企業に提出する応募書類は基本的に3点あります。「カバーレター」「履歴書」「職務経歴書」です。3点とも非常に重要な書類で、どれ一つ欠かせないものです。
それぞれの役割は

  カバーレター:自己紹介・志望動機・面接の依頼などを伝える
     履歴書:どのような人か・・・「人物」「人柄」を伝える
   職務経歴書:何ができる人か・・・「能力」「強み」を伝える


役割の異なる3点が一体化して大きな力を発揮します。書類を揃える順番は一番上から「カバーレター」「履歴書」「職務経歴書」です。3点以外に書類をつける場合は4番目以降になります。
上述の基礎知識を踏まえ、順番に解説して行きます。それぞれの役割の違いを感じ取り、理解を深めて行きましょう。

カバーレター (添え状)

カバーレターは採用側が一番初めに目にする書類です。「添え状」ともいいます。

(1)第一印象が決まる書類
「社会人としての基本姿勢」が伝わる書類です。第一印象を大きく左右するので侮れません。
しっかりした挨拶状を添付できるマナーが備わっている人か、採用側はチェックしています。ビジネス文書の体裁をしっかりと整えて抜かりないものを作ります。
ちなみに「貴社」は書き言葉で応募書類などに使う一方、「御社」は話し言葉ですので、面接や電話での問い合わせの際などに使います。

(2)ビジネス文書として作成
会社名は固有名詞です。必ず正式名称を書きます。「株式会社」は(株)と略さずに書きます。特に社名がカタカナの場合、「ブ」や「ヴ」、「オ」や「ヲ」などの表記の違いや大文字小文字にも注意を払ってください。「前略」は、「挨拶は省略する」という意味があり採用担当者に失礼になりますので、添え状には使いません。「社会人としての基本は出来ているな。きちんとしたカバーレターが書ける人だな。志望動機も前向きだ。どんな人なのか履歴書と職務経歴書にも目を通してみよう。」応募者に好印象を持つようなカバーレターを作りたいもの。その印象を持ったまま「履歴書」「職務経歴書」を読んでもらえることが一番です。

(3)自己PRの場
自分について伝えたいことや履歴書・職務経歴書に書き切れなかったことなどを書き込むことができます。
熱意を伝える場であり自己PRの場でもありますが、あくまでも送付状ですので必ずA4サイズの用紙1枚に収めます。
  
(4)記載する4項目
本文には次の4項目をこの順番で記載します。
①どこで求人を見たか ②簡潔な自己紹介 ③志望動機 ④面接実施の依頼
面接時に応募書類を持参する場合は、「④面接実施の依頼」の代わりに入社後の仕事に取り組む熱意など、別の文言を書きます。カバーレターの目的は、添付の「履歴書」「職務経歴書」を読んでもらうこと。採用担当者の関心を惹きつける簡潔な文面にまとめます。

履歴書

次に「人物像」「人柄」を伝える履歴書について解説します。

(1)公式文書
履歴書は、企業がその記載内容に基づき雇用契約を結ぶ書類である「公式文書」です。まさに「重要書類」ともいえます。100円ショップで購入した場合でも「履歴書」と書いてあれば「公式文書」です。

(2)告知義務
履歴書の作成者(応募者)は「真実を伝える告知義務」を負っています。企業は、履歴書の記載内容を真実であると信用したうえで採用を決定し雇用契約を結びます。入社後に記載されていない事実が判明した場合、企業によっては解雇の対象になる可能性もあります。

(3)新たな履歴書様式
令和3年4月16日に「新たな履歴書の様式例の作成について」が厚生労働省より発表されました。公正な採用選考の観点から「新たな様式例の活用」が推奨されています。履歴書は従来、日本規格協会が性別欄に男女の選択肢を記載したものを「JIS=日本産業規格の様式例」として提示してきました。
多くの市販の履歴書は、この様式例に基づいて作られてきましたが、トランスジェンダーの人々への配慮などから日本規格協会は令和2年7月、様式例自体を削除しました。厚生労働省は、これまで推奨していたJISの様式例が削除されたことで求職者が履歴書の選択に困ったり、履歴書の記載内容に関して企業が判断に困るおそれがあると考え、「新たな様式例」を作成するに至りました。これは国として初めての履歴書様式例になります。
厚生労働省の新たな様式例では、2つの変更点があります。一つ目は性別欄が任意記載である点です。性自認の多様な在り方を踏まえ、〔男・女〕の選択ではなく任意記載欄としています。また、応募者が記載したい性別を記載でき、応募者が希望しない場合は「未記載」とすることも可能です。2つ目は、応募者のプライバシーの要素が非常に高いため、次の4項目「通勤時間」「扶養家族数(配偶者を除く)」「配偶者」「配偶者の扶養義務」は設けないこととした点です。厚生労働省の新たな様式には法的拘束力はありません。この様式を使用するかどうかは企業個々の判断になります。現在でもJIS規格の履歴書様式は多く市販されています。「厚生労働省の推奨様式」と「JIS規格様式」の使い分けの際は、志望企業が指定する場合を除いて応募者の希望や経歴・状況などを考慮し、「応募者らしさ」が表現できる最適な様式を選んでください。

(4)押印
平成9年に閣議決定された「押印見直しガイドライン」により履歴書の押印が廃止されました。昨今は押印欄のない履歴書が主流ですが、いまだに押印を必要とする履歴書も市販されています。その履歴書を使用する場合は押印が必要です。

(5)履歴書作成の要点「この人にぜひ会ってみたい!」 ~採用側の心を動かす~
履歴書作成の要点は、「この人にぜひ会ってみたい!」と採用担当者が思うような工夫を施すこと。ここでも「魅力を感じるか? こう書くとどう見えるか?」という「採用担当者からの視点」が肝心です。「心が動く」よう、応募への熱意や意欲が伝わるように書きます。「内容の詳細は職務経歴書に書くから履歴書は形式的でよい」と考える人もいますが、「心が動く、応募者に関心を寄せる記載内容」でないと書類選考の通過率は上がりません。キャリアコンサルタントは 応募者(クライエント)と一緒に考え、できる限り「応募者の人物像・人柄が伝わる履歴書作成」を心がけてください。履歴書の要点が不明確ならば、詳しく丁寧に傾聴して具体的な内容に練り上げて行きます。「自分は大したことやってきてないので書くことがない」「何を書いたらいいのかわからない」。初めはそう言っていた応募者(クライエント)ですが、「そういえば思い出しましたが、○○を担当したときに自分の提案が採用され売り上げが〇〇%上がったことがありました。」と自分の実績に気づくこともあります。一つ一つ丁寧に傾聴して具体的な内容に練り上げて行きましょう。一緒に考える姿勢を大切にしつつ、自分のアピールポイントとなる材料に気づけるよう支援します。

①「空欄」「余白」「特になし」は極力使わない
では、どうすれば書類選考の通過率が上がるか? どうすれば心が動かせるか? 
履歴書には「空欄」や「余白」は出来る限り残しません。「特になし」も基本的に使わないようにします。これらの「空欄」「余白」「特になし」は便利な言葉で使いたくなりますが、「空欄」や「余白」が作る「ホワイトスペース(履歴書の白い部分)」と「特になし」が目立つ履歴書から受ける印象は、「曖昧で正体不明な人物像」「不気味さ」も感じてしまいます。とても採用担当者が「この人に会ってみたい!」と魅力を感じるまでには至りません。
   
②具体的に書く
そのためには「自己理解」を深める作業が不可欠となります。登山が趣味であるクライエントならば、履歴書の趣味欄に「登山」と一言書いて終わりにしません。その登山に出掛ける頻度は年何回くらいか、登山目標に掲げている山の数はいくつあるかなど、クライエントから具体的な「数字を使ったエピソード」を聞き出します。聞き出した内容を盛り込んで「登山(年3回程度登ります。日本100名山の登頂が目標です)」のように、本人の持つエピソードを( )の中に一言コメント書きします。
このように、履歴書のみならず応募書類にはできるだけ「数字を使ったエピソード」を用います。具体性・客観性・説得性が生まれるからです。応募者の人物像が分かりやすく具体的に伝わり、魅力が向上する工夫です。このような工夫により採用側は応募者の人物像を明確に把握することができます。スポーツ欄ならば「ウォーキング(週3回、1回3キロ歩きますので健康には自信があります)」と書けるでしょう。特技欄などの書き方も同様の工夫を施し支援します。健康状態欄は、企業側が通常業務に支障があるかどうかを知るためのものです。問題なく勤務できるのなら「良好(問題なく業務ができます。これまで病欠はありませんでした。)」というように「良好」と書いて終わりにせず、具体的な実績もコメント書きします。
   
③「?」を「!」に変える
持病がある場合の書き方は健康状態欄に「通常業務に支障なし」と一言書いたうえで、本人希望欄に「勤務は支障なくできますが、通院のため月3回の午後出勤を希望します。前職場では振替勤務で対応し他に病欠はありませんでした。」というように 
対処して来た実績を書きます。「我が社もこういう対処をすれば、この人は働けそうだな。」と採用側に安心を与えることができます。常に「採用担当者からどう見えるか?」という視点が大事です。採用側が持つ不安や疑問の「?」を予測し、先回りして安心を表す「!」に変えましょう。

④虚偽の記載は禁物
履歴書は「公式文書」です。応募者本人は「告知義務」を負っています。不利であっても真実を伝えたうえでの「弱点補強」の発想が大事です。自分の弱点を隠さず、むしろその弱点を自身で補強する努力をしている姿を「社会人として必要な適応力」と評価する採用担当者もいます。正直に真実を記入し、志望動機欄や本人希望記入欄などで補足情報を伝えます。例として学校を中退している場合を挙げれば「令和〇年〇月 ○○大学○○学部 中退(奨学金制度の廃止など、経済的事情により止む無く退学を決意)」というような事情を書き添えます。さらに前向きな理由を書き添えられると良いでしょう。

⑤志望動機と自己PR
志望動機と自己PRは別物。志望動機は「未来を語る」ものであり、自己PRは「過去を語る」ものだからです。自己PRの場合、「前職で○○を担当した結果、□□に詳しくなり周囲からも一目置かれるようになりました。今では誰にも負けない自信があります。」と自分の過去の実績から身に付けた強みをアピールします。一方、志望動機は「未来」を語るので、「私が培ってきた□□の知識とスキルを十分に活用して、貴社の今後の社業発展に貢献して行きたいと考えております。」のような文面になります。どちらも前もって「自己理解」と「仕事理解」を深めておく必要があります。過去の経験の棚卸から、自分が身に付けた知識・スキルなどの強みを整理し、それらを応募企業の業務に「どのように活かし貢献するか?」「どんなキャリアを描いているか?」その作業が説得力のある「志望動機」と「自己PR」を構成する基になります。

⑥年代式と職能別式を使い分ける
現在の日本で働く人の40%以上は契約社員や派遣社員などの非正規労働者で、近いうちに50%を超えると言われています。ですが、現在の履歴書のフォーマットには60年ほど前の高度経済成長期の終身雇用の慣習が未だに残っています。あの時代は、定年退職まで一企業に勤務し続ける前提の下、職歴は古いものから順番に並べる「年代式」が主流でした。働く期間が定まっている「有期雇用契約」の非正規労働者が、現在の履歴書に職歴を年代式で書いた場合、一つの職歴が終了する度に「退職」の文字を書くことになります。期間の定めのある「有期雇用契約」の終了の都度「退職」と書くため、結果、「退職」の2文字ばかりが目立ってしまうことになります。「退職が多く転々としている」「長く続いた経験がない」「職務能力が身に付いていない」「飽きっぽい」と受け止められ、自分の強みも正当に評価されないまま就職活動で苦しんでいる人も数多く存在している現状があります。
では、どうすれば正当に評価され本来の姿が伝わるのか?
「年代式」ではなく、発想を変え「職能別式」での記載方法を活用します。「年代式」との違いは「退職」の2文字を使わないため、採用担当者に悪い印象を与えずに済む点です。派遣社員である場合、年代式では「○○年〇月 ○○株式会社○○部 派遣期間満了により退職」と書いていたところを職能別式では「○○年〇月 ○○株式会社○○部 派遣社員として勤務(○○年〇月~○○年〇月 在籍期間:2年)」と書きます。「退職」の文字を使わないため、「転々としている」「飽きっぽい」などの「悪印象」を与えずに済むのです。「採用側からどう見えるか?」という視点に立ち、「見せ方」を変えるのです。

⑦履歴書様式の選び方
履歴書の様式には様々な種類のフォーマットがあります。項目は同じであっても書き込むスペースの大きさが異なったり、項目自体が違うものだったりします。どの履歴書にするか、で人物像の伝わり方や採用側の受ける印象が大きく変化します。現在「厚生労働省推奨様式」と「JIS規格様式」がありますが、応募者の特性や取り巻く環境、アピールしたい内容などを考慮して最適な履歴書を選びましょう。最近は応募者が自らエクセルで履歴書を作成することも一般的になり、自宅のプリンターでA3サイズの履歴書が印刷できる専用の用紙も市販されています。一方で、応募者の人柄を重視したい理由から手書きの履歴書を好む企業もいまだに多く存在します。ある程度職歴の長い人には、最終学歴のみを記入するフォーマットのものや職歴欄を広くとった履歴書が向いていますし、職歴の浅い若年者には、発展段階にある職務能力を補う観点から得意な科目やスポーツなどの自己紹介欄がある履歴書が向いています。履歴書用紙の大きさは、A3サイズ(もしくはA4サイズ2枚も可)での作成をお薦めします。カバーレターや職務経歴書もA4サイズで作成するので、応募書類3点セットの大きさが統一され、受け取った側が扱いやすくなり印象も良くなります。   

⑧手書きの場合の留意事項
「公式文書」に相応しい筆記用具を使います。黒色の万年筆か細字用のサインペンを使用してください(黒インクで0.5mmを推奨)。経年劣化で文字が消える可能性があるので、消せるボールペンは使用しません。「楷書」で一文字一文字を丁寧に書き、誤字・脱字がないように。時間を要しますが、鉛筆かシャーペンなどで下書き後に清書し、清書後に下書きを消しゴムで丁寧に消します。応募者本人も驚くほどきれいに仕上がります。間違えたら新しい用紙に書き直します。修正液や修正テープは使いません。

⑨パソコンで作成する場合の留意事項
保存してある履歴書の日付の更新を忘れないようにしましょう。パソコンで作成するメリットは自由にレイアウトを変更でき、データの複製や修正が随時可能な点です。氏名は自筆で記入しますが、必須ではありません。

⑩志望動機
未来を語る「志望動機」は特に重要な項目で、ポイントは限られたスペースの中で「わかりやすく具体的に書く」こと。応募先に合わせた応募者オリジナルの志望動機を作りましょう。「なぜその企業で働きたいのか? 応募先にどのように貢献できるか?」が具体的に伝わるような内容にします。そのためには事前準備としての「自己理解」と「仕事理解」が欠かせません。応募先企業の事業発展に自分の「能力・知識・実績」などの強みを活かして貢献できる姿をアピールします。職務経歴書や面接での応答内容と矛盾を生じないように一貫性を持たせます。今までと違う仕事に就く場合は、その理由を説明し、同業界同業種に就く場合は、なぜ勤め先を変える必要があるのかについての説明を加えると説得力が増します。未経験者の場合は、意欲や熱意をアピールすることも大切です。

⑪各項目記入の際の留意事項
学校名や会社名は正式名称で書きます。職歴は入・退社だけでなく、スペースがあれば異動や昇進、配属先なども記入します。自己都合退職の場合は、「一身上の都合により退職」、解雇の場合は、「会社都合により退職」と記入し、詳しい退職理由を書く必要はありません。在職中であるが退職予定日がわかっている場合は、「△月○日に退職予定」と記入します。資格・免許欄には正式名称を書きます。伸び代や向上心を感じてもらうよう今後取得予定のもの、学習中のものも書きます。本人希望欄の真意は、記載内容が「譲れない条件」であることが前提。応募者の認識とずれてしまいがちな個所ですので念を入れて書きましょう。希望給与などは具体的な金額を記載せず、「貴社の規定通り」などが無難な表現です。「母の介護のため、△△沿線を希望します」など、特段の事情がある場合は理由を説明し、幅を持たせた表記をするとよいでしょう。履歴書に記載する年は、和暦(平成や昭和)なら和暦、西暦なら西暦で統一します。混ぜてはいけません。ふりがなは履歴書に指定されている通りにします。「ふりがな」とあれば“ひらがな”、「フリガナ」とあれば“カタカナ”で書きます。ひらがなとカタカナの混ぜ書きは厳禁です。

⑫写真
「公式文書」である履歴書に貼る写真は、本人であることを証明する「証明写真」以上の品質の高さが求められます。スピード写真ではなく写真館での撮影をお勧めします。応募者の代わりに面談に行くと考え、見栄え良く撮影してもらってください。

職務経歴書

履歴書と違い職務経歴書の記載方式はフリースタイルです。「職務経歴書とあるので、自分の職歴を古いものから年代式に書く書類」と受け止めている人が多くいますが、採用担当者からはどう見えるでしょうか? 履歴書が2枚あるのと変わりません。「履歴書は別に頂いている。何ができるかを知りたいから職務経歴書の提出をお願いしたのに・・・」と採用担当者は思います。職務経歴書ならではの役割があることを再認識しましょう。 

(1)「職務能力書」の役割
「この人は何ができるか?」職務経歴書の持つ本来の役割は「職務能力書」です。パソコンでの作成が基本ですので、早速自分のパソコンスキルを伝えましょう。「具体的な職務能力」をアピールし、採用担当者が「この人に仕事を任せたい」「このような人材が欲しかった」と思うような書類に仕上げます。

(2)3種類の記述方式
職務経歴書には次の3種類の記載方式があります。フリースタイルですので、これらを自由に組み合わせ、応募者の経歴やアピールポイントが最も効果的に伝わるオリジナルの方式を考えます。

・年代式職務経歴書〈若年者対象 古い職歴から時系列で記述〉
「勤務先ごとに年月を追って職務経歴を書く一般的なスタイル」です。「編年体式職務経歴書」とも呼ばれ、入社年数が浅い人や若年者に向いています。その理由としては、年齢を重ねる過程での成長が分かりやすいためです。

・逆年代式職務経歴書〈中高年者対象 新しい職歴から古いものへ遡る〉
中高年や勤務年数が長い人に向いているスタイルです。冒頭に即戦力性のある職歴を置き、現在の保有能力をアピールします。採用担当者の目を惹きつけやすく、IT業界など技術の進歩が激しい業界に応募する場合も貢献領域が伝わりやすい方式です。

・キャリア式職務経歴書〈専門職対象 時系列では記述せず専門性を強調〉
勤務先や年代を基準としない、特定の職務能力と経歴・実績を中心にまとめるスタイル」です。「職能別式職務経歴書」ともいい、転職回数が多い人に向いています。職歴が浅い人でも職務経験が多岐にわたっている場合は、このスタイルでまとめた方が分かりやすい場合があります。

(3)職務経歴書は「読ませるもの」
職務経歴書は「何ができるか・・・能力」を伝える書類です。「取扱説明書」と同様で隅々まで目を通してもらわないと自分の「能力」が正しく伝わりません。「職務経歴書は読ませるもの」という意識を大切にしましょう。では、どうすれば隅々まで読んでもらえるか?。ポイントは「コンパクト」と「インパクト」の2点です。

①インパクト
名前は応募者の「商品名」ですので、採用担当者に早く覚えてもらえるよう一番大きな字で書きます。インパクト性を持たせるために、「略歴(もしくは要約)」を冒頭に置きます。字数は多くても500字程度。この短文の中で主な実績や価値観、他者からの評価など、応募者の仕事ぶりや人物像を簡潔明瞭に記します。この冒頭の略歴が「職務経歴書の核心」です。「キャッチコピー」の役割がありますので、略歴で採用者の関心や興味を惹きつけられれば成功。採用担当者は、より深く応募者を知りたいと考え、詳しく書かれている本文の記載に目を通すでしょう。読めば読むほど応募者の「能力・強み」が伝わり理解が進み、増々魅力を感じるはずです。職務経歴書は「読ませるもの」という認識を持ってください。文章は簡潔明瞭にまとめます。次は略歴の記入例です。

短期大学卒業後、株式会社〇〇薬品に入社し、総務部庶務課に配属。約6年間、主に用度品管理業務、社有資産管理業務、庶務管理業務、文書・ファイリング業務などを担当。社有資産管理業務では、経費を抑えるため、管理業者や諸経費などを一通り見直した結果、前年度に比べて約100万円の削減を実現するなどの実績を上げる。「縁の下の力持ち」をモットーに掲げ、社員へのサービス窓口担当として常に迅速かつ誠実な対応を心がけた。また、持ち前のPCスキルを駆使した各種文書は、「簡潔かつ理解しやすい内容とレイアイト」と社内で好評を得る。日頃の働きぶりと成果が評価され、20○○年度優秀社員賞を受賞。今後は「総務業務の専門家」として、貴社の発展により貢献できるよう業務に取り組んで参りたいと思います。何とぞ宜しくお願い申し上げます。

この記入例でも使われているように「体言止め」や「数字を使ったエピソード」がインパクト性を強調します。略歴に限らず、応募書類全般で効果的に使ってください。「第三者の視点」も用いていますが、客観性があり効果的です。こちらも有効に使いましょう。

②コンパクト
必ずA4サイズの用紙2枚以内に収めましょう。3枚を超えると採用担当者の読む意欲が薄れてしまい逆効果になります。応募者の経歴の棚卸は必須。ジョブカードなどを活用して丁寧に行います。この自己理解を深める作業から洗い出した「経験・能力・実績」などの強みを採用担当者に印象づけるように書きます。「数字を使ったエピソード」を用い、できるだけ具体的に記載することがポイントです。記載する順番、記述量はその能力が活かせる度合によって左右しますが、職務の要約や志望動機、自己PRなど一項目当たり最大150字程度の情報量を目安に簡潔明瞭にまとめます。採用担当者も負担を感じることなく目を通せる分量です。次に応募者の実績の記入例を2つ挙げます。どちらも「数字を使ったエピソード」を用いています。

・消耗品購入業務では事務用品などの管理システムを作り変えた結果、コスト削減3%を達成。在庫管理も楽になり効率よく作業が流れるようになった。

・△△市営業所長時代は、豊富な人脈を利用し売上規模を3倍に拡大 (着任時8500万円→2億5000万円)。全国営業所長会議で対前年トップ営業所として表彰され、大きな自信になった。

中高年者の場合は、職歴の長さに比例して伝えたい実績や能力に溢れているだけに、
職務経歴書に書きたいエピソードを選びA4サイズ2枚までに納める必要が出てきます。
企業研究を進め応募先企業が求めている人材像を明確化したうえで、相応のエピソードや強みを選びましょう。

キャリコン自身が自身のキャリアを開くために

一度、自分自身の職務経歴書を書いてみることをお薦めします。自分の経歴を棚御し、「実績や知識・資格・能力」などの強みを簡潔明瞭に書いてみます。自分らしい職務経歴書に仕上げるには年代式か、逆年代式か、職能別式のどれが相応しいか?あるいは混ぜてみる方がいいか?略歴には何をどのように書くか?キャッチコピーらしくするにはどうするか?「数字を使ったエピソード」で表現してみましょう。経歴の棚卸をする中で、おのずと自分の転機となる「節目」が見えてきます。「節目」と「節目」の間はどう過ごしていて、何が身に付いたか?どのように成長したか?パソコンでA4サイズ2枚に収まるように書いてみます。自分の「過去・現在・未来」をを見つめる好機であり、自分自身の「キャリア」を見つめる好機でもあります。この過程の経験そのものがクライエントの応募書類作成支援の場で大いに活かされることでしょう。

まとめ

転職活動中の応募者は「50社に書類を送ったんだ。そんなに沢山送ったんだから、厳しく考えても1割の5社くらいは書類選考を通って面接に呼ばれるはず。」と考えますが、結果は残念ながら0社。ショックです。当然落ち込み、失望し、自信も喪失してしまうでしょう。ですが、採用担当者に届いている自分の応募書類は、たったの1通なのです。その1通で、どれだけ採用担当者の心を動かし、「自分」に魅力を感じてもらえるか?
応募書類は「商品カタログ」です。応募書類作成支援での押さえどころは、「この人に会ってみたい!」と思ってもらえるような書類を作成すること。採用担当者から応募者がどう見えるか?魅力を感じるか? そのような採用担当者の「心を動かす」ことが肝要だからこそ、「数字を使ったエピソード」を用い、常に「採用担当者の視点」を尊重した支援を心掛けましょう。中でも「職務経歴書」の役割は大きく、「応募者らしさ」を表現できるフリースタイルの書類です。それだけに他者との差別化を進める力を持っています。採用担当者が応募者の魅力に惹きつけられるような、応募者ならではの書類作成を支援していきましょう。このコラムが応募書類作成支援の場で活躍するキャリアコンサルタントの皆様に役立ち、応募者であるクライエントの「キャリア」を広げる力になることを期待しております。

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