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Z世代のプライオリティから見る幸福感の変化

Z世代の影響力について、メディアを通じて多くの人々が知るようになっていると感じます。アメリカ大統領選挙で、Z世代アーティストが若者の声を発信し、SNSを駆使して影響力を持っていることが注目されました。そんなZ世代の価値観を推し活などの消費行動から紐解きます。
※本コラムは2023年7月17日に実施された「キャリアコンサルタント交流会」の講演内容をコラムとしてまとめたものです。

キーイメージ

目次

そもそもZ世代とは

Z世代とは、1996年から2012年の間に生まれた世代のことを指します。具体的には、小学校4、5年生ぐらいの年齢から28、27歳位の層を含みます。「Z」は、先行するY世代やX世代に続くものとして付けられました。

X世代は、第二次世界大戦後に成長した世代であり、その価値観は戦前とは大きく異なりました。この世代の特徴は「X」の文字に込められており、不思議なもの、謎なものを指す文脈で使われることがありました。続くY世代は1981年から1995年に生まれた層、その後Z世代が1996年から2012年に生まれた層を指すようになりました。

これら17年間の間には、急激な変化がありました。例えば、電子機器の進化を振り返ってみると、1996年には登場したたまごっちで子供のころに遊んだ世代が、2010年代に登場したスマホを大きくなって手にするのです。

しかしながら、Z世代の特徴を一概に語るのは難しいことです。メディアではSNSの活用や独自の価値観が強調されることがありますが、Z世代には小学生も含まれるため、全体を通じて当てはまるわけではありません。また、男の子が化粧をすることが一般的だと報じられることもありますが、実際にはその割合は約20%程度で、少数派です。

Z世代の特徴を理解しようとする試みは行われていますが、個々の経験や価値観は多様です。例えば、コロナのような出来事は世代全体の考え方や経験に大きな影響を与えることがあります。Z世代を理解するには、その多様性と個々の経験を尊重することが重要です。

Z世代を取り巻く市場

Z世代と3つの市場変化


日本においてはZ世代の消費に関する議論が多いです。若者の消費は、若者が作る流行の側面として昔から注目されてきました。Z世代について語られる際の焦点も、やはり彼らの消費です。
Z世代の消費に影響を与えた市場の変化は、普遍的な側面を持っています。具体的にどのような変化があったのでしょうか。

デジタルネイティブ
1995年にWindows95が発売されました。それ以前の世代とは異なり、Z世代はデジタルネイティブとして生まれ、インターネットが常に身近に存在する世界で育っています。

フリーミアム
YouTubeやSNS、漫画アプリなど、様々な分野でフリーミアムのサービスが増えています。これは、一部のサービスを無料で楽しむことができ、課金によってより高品質なサービスを受けることができるビジネスモデルです。

サブスクリプション
所有するより、必要な時にデジタルベースでサービスを利用するという消費モデルがZ世代に浸透しています。

これらの背景から、Z世代はタダでコンテンツを消費する価値観が育っていると言えます。こうした意識の違いは、Z世代とそれ以前の世代との間で大きな違いを生む要因と言えるでしょう。

社会的変化が与えたZ世代の消費への影響


市場の変化ではなく、社会的変化が与えたZ世代への影響についてもお話ししていきたいと思います。失われた30年や圧倒的な情報の国際化による幸福の消失といった言葉は、普段あまり耳にしない表現ですが、少しずつ言葉を分かりやすく解説します。

以下のグラフは国税庁民間企業実態統計調査をもとに作成したものです。

平成元年から令和3年までの全体の平均給料額の推移

平成元年から令和3年までの平均給与の推移を示しています。この30年間で、最も給与が高かったのは1997年で、467万円とされています。直近の2021年の調査によると、給与は443万円となっており、これは1990年代の平均給与である455万円を下回っています。また、2021年の給与をZ世代の区分別で見てみると、19歳以下の平均給与は191万円、20から24歳の平均給与は249万円となっています。

他にも、
・消費税の引き上げ(平成元年3%→令和元年10%)
・年金保険料や健康保険料などの社会保険料の引き上げ
・水道光熱費の増加
・インターネット回線料、スマートフォン通信料の定着
等がありました。インターネット回線やスマートフォンの通信料は1995年以前には存在しませんでした。さらに、昔と比べて同じ100円でも物を買える量が減っており、100円で買えたものが今では150円になっているなど、物価も上昇しています。収入が増えていないのに、支出は増加している状況です。

若者の収入状況


こうした家計への影響は、学生よりも大人の方に大きく及んでいます。

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日本学生支援機構が行った奨学金受給者の収入調査によると、大学生の1年間の収入は192万7000円とされています。この数字は高く見えるかもしれませんが、この収入には学費、水道光熱費、住居費、交通費、娯楽費などが含まれています。特に注目すべきは、この192万円のうち60%が家庭の支援に依存しているという点です。
彼らの収入の60%は家族からの援助に大きく左右されていると言えます。

大学生の「月平均仕送り額から家賃を除いた生活費」


以下は2021年度の私立大学生の家計に関する調査結果です。

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この調査は大学生の月平均の生活費から家賃を差し引いた額、つまりお小遣いとして捉えたものです。具体的には、親からの仕送りの額を中心に調査されています。
1990年のバブル期においては、学生一人当たり平均で7万3800円の仕送りが行われていましたが、2021年においては1万9500円(1日あたり約650円に相当)にまで減少しています。アルバイト収入に関する調査結果を見ると、1ヶ月あたりの平均収入は3万541円です。月に約5万円で生計を立てる必要があることが示されています。
実際の生活を考えると、特に都市部での生活においては、1日650円で生計を立てるのは現実的ではありません。交通費を考慮に入れると、実際に使えるお金はほとんど残りません。
以上は学生の金銭面に関するデータですが、SMBCコンシューマーファイナンスが20代全体に対して行った調査によれば、1ヶ月に自由に使えるお金が1万円以下と答えた人は26.8%に上ります。約30%の人々が1万円以下のお小遣いで生活と娯楽をやりくりしている実態があります。
同調査による貯蓄金額の調査結果を見てみると、全体の17.5%が貯蓄の全くない状態という家計状況となっています。

お金がまったくない。どうやって消費すべきか分からない。たくさん使いたいと思っているにも関わらず、スマホからは日々エンタメ、最新スイーツまで、圧倒的な情報が流れていく。情報の増加により、興味を持つものや消費したいものの幅も広がっていきます。
使えるお金が非常に限られているのに、欲しいものには常に心が躍るのが、今の若者のお金事情です。

「画一化された幸せ」の消滅

従来の幸せとは


従来は「いい大学に入って、いい会社に入って、結婚して子供を持つ」といういわゆる社会のレールによって、社会の成功者や親が期待する未来とされる普遍的・伝統的な価値観が築かれてきました。これを私は「画一化された幸せ」と呼んでいますが、近年では考え方が多様化しています。SNSの登場によって、成功や幸せが必ずしもこの枠組みに縛られないことが可視化されています。

バブルイメージ

画一化された幸せの中には、例えば車や時計を持つこと、旅行や食事などの消費が含まれます。バブル期には「毎日会社までタクシーで通勤」「飲み会後にタクシーに1万円を差し出して即座に乗せてもらう」「就活で説明会に出席するだけで内定をもらえる」「内定を辞退されないように海外旅行を研修という名目で招待される」「100万円で売れない商品を200万円に値上げすると逆に売れるようになった」といった都市伝説のような経験談がありました。バブル期には今で考えるとかなり異常な状態が存在していたことが伺えます。
こうしたバブル期の消費にはある意味、根拠のない動機づけが存在していたと考えられます。それは、上司たちから「いい車を持とう」とか「時計をつけないとビジネスマンとして失格だ」といった言葉を聞き、上司たちが身近で幸せを感じているような消費をしているという事実。自分たちも同じような生活ができる可能性を示唆していると感じ、その影響で消費へとつながっていたのです。
こういった状況下では、働く優先順位が変わっていることが分かりますね。かつての産業時代において、第一三共ヘルスケアのリゲインが使ったキャッチコピー、「24時間戦えますか?」が思い出されます。金融水準が労働の優先順位そのものになっていたことを示しています。

現在の幸せと働くことへのプライオリティ


これらはかつての時代における考え方であり、今は異なる状況です。経済の不安定や賃金の低下によって、以前のような華やかな消費は難しくなりました。今の上司や先輩たちの消費も、以前と比べて華やかさを欠いており、それらの消費を模倣することが、自分たちにとって裕福な印象を与えるわけでもなくなっています。
自分たちの生活も厳しい状況の中で支出を抑えなければならない現実を考えると、上司たちが進める消費を単純に模倣するだけの理由があるのか、と疑問を抱くようになりました。

お金の面ややりがいなど、それぞれの要素を考えると、現代の働くモチベーションはどこにあるのでしょうか?大学自体が就職予備校のようになっている側面もあります。就職できれば良いという考え方も見受けられます。

余談ですが、私自身が大学生の時、航空業界でマーケティングの仕事をしたいと思い、面接を受けに行ったことがありました。そこで隣に座っていた人は、農業関連の大学院でトマトの研究をしていた方でした。トマトを何年も研究していた人が、航空業界に志望動機があることに驚きました。企業や仕事の選択における多様性を示す一例でしょう。

また、お金ややりがいに関わらず、会社へのロイヤルティが重要です。特にY世代や就職氷河期の世代は、入社すること自体が自己肯定感を高める手段とされてきました。しかし、今の時代では企業の水準が異なるため、企業名にすがる必要はないと考えています。

幸せと自己肯定感

SNSと人間関係の優先順位


現代ではSNSが大きな影響を与えており、つながりが途切れない状態が続いています。X(旧Twitter)を見れば24時間情報が流れてきますし、Facebookを通じて幼稚園から中学校までのライフステージが繋がっているのも興味深いです。SNSの主な使用目的は、共通の趣味や価値観を持つ人々と繋がることです。SNSにより、帰属欲求を満たしたり、交流を通じて盛り上がりを共有したりする側面もあります。
SNSでは、自分がつながりたい人との関係を自由に構築できるため、自己肯定感を高めるつながりを強化し、嫌なつながりを緩和することも可能です。一方、会社や学校、習い事といった社会的なつながりは自ら選んだ関係ではなく、その場にいる人々との関係性が中心です。
オフラインでの交流が以前より一般的になってきたことにより、価値観が合い自身の自己肯定感を満たしてくれる人間関係の優先順位が高くなっています。これは他人との関係よりも自分自身の優先度が高くなっていることを反映しています。

VUCAの時代とSNS



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現代はVUCA(変動性、不確実性、複雑性、曖昧性)の時代ということで、未来の見通しは不透明な時代とされています。さきほどお話した通り、例えば一流の企業に就職することや結婚することなど、伝統的な価値観に基づく成功の基準も、実は将来的には確かではないものなのです。また、価値観の保全という側面からも、変化していく可能性があるのではないでしょうか。

いい大学に入っても就職できなければ意味がないという考えで、高校卒業後すぐ就職する方がコスパ的にも効果的だという若者も増加しています。また、一度就職してもすぐに転職するという価値観を持つ若者も多いです。結婚や家庭の形も多様性が増し、その幸福のあり方も変容しています。この中で、将来も普遍的な幸福が保たれるのかという問いが生まれます。「画一化された幸せ」は本当に普遍的な幸福と言えるのか、という疑問が出てきます。

好きなことで生きていく


YouTuberの存在が多様性に拍車をかけています。2006年にHIKAKINがYouTube活動を開始し、YouTuberという言葉が使われ始めた当初、YouTuberという職業に否定的な意見もありました。しかし、今やそのYouTuberは、芸能人やインフルエンサーと同等の評価を受ける存在となっています。2014年には、ロゴを提示しつつ、「好きなことで生きていく」というスローガンが成立するほど、YouTuberはビジネスとしての成功を遂げました。
進研ゼミ小学講座の小学生が3年連続でYouTuberを1位に選び、その職業の評価が高まっています。YouTuberやTikTokerなど、自分の好きなことで生計を立てる人々が増えてきており、彼らの成功は、一般的な企業に入ることが必ずしも成功の唯一の道ではないことを示しています。子供たちは、早いうちからこうした多様な生き方があることを知ることができるようになっています。

普遍的な生き方から n=1の生き方へ


SNSの存在によって多様な価値観が浮かび上がり、過去の価値観に疑問を投げかける原動力となっています。企業への就職や転職においても、以前は「5年や10年は同じ職場で働くべき」とされることがありましたが、現代では転職を前提に就職活動する人々も増えました。終身雇用が魅力とされていた時代とは異なる考え方が広がっています。YouTuberなどの個人事業主も注目され、人々は幸福ならばそれで良い、個々の価値観を尊重するべきだとの意識が高まっています。
SNSは前向きな情報も発信し、その結果、N=1、つまり他人の成功や生き方への憧れが強まり、自分たちもその模範になりたいと考えるようになりました。一方、この考え方が画一化を助長し、本来の姿を失わせてしまっている側面もあるように思います。この状況の中で、重要なことは、「あるべき姿」にとらわれず個々の多様性や自分らしい生き方を見つけることではないでしょうか。

若者の「○○離れ」の本質

従来の価値観と多様性が可視化された現代社会


従来は商品によって描かれる幸せのビジョンや、お金を支払って得るレジャーなど、画一化された幸せが広がっていました。しかし、多様性の時代において、自分が本当に必要とするもの以外に消費行動をする際には、その理由や根拠が必要とされています。消費の失敗を避けたいという心理が背後にあるからです。
限られた資源の中で、情報が氾濫し、欲しいものがたくさんある中で、無駄な消費をしてしまうことは損失に繋がる可能性があるため、消費の失敗を避けたいという意識が存在しています。このような消費心理を考えると、自身が本当に必要とするもの以外に無理して消費することへの疑問を抱くのは理解できます。

上司から「いい時計を持ってないとだめだよ」とか「車を買ったらいい人が寄ってくるよ」といったアドバイスを受けたとしても、自分が本当にその商品を必要としない場合、なぜそれを買わなければならないのか、と疑問に思うのは自然なことです。
自身の生活が苦しい状況であり、本当に欲しいものを買う余裕がない場合、無理して無駄な消費をすることに疑問を感じるのは当然です。こうした考え方は、若者たちの中で広がっているのではないでしょうか。

ただし、仮に車や海外旅行が無料で提供されるような提案を拒否する人は、年代を問わずあまりいないのではないでしょうか。商品やサービス自体が拒まれているわけではありません。自分自身の生活や収入を考慮した上で、必要がないとか、購入してしまうと後で大変だろうと感じるからこそ、その消費行動には踏み切らないのです。必要のない消費によって、生活がますます厳しくなってしまうのであれば、消費しないという考え方を若者は持っているのかもしれません。これこそが、「若者の〇〇離れ」と言われているものの本質だと私は感じています。

若者の消費と求めるもの

若者と「推し活」


若者はどういったものにお金を使っているのでしょうか。まさにそれが昨今言われている「推し活」です。昨年の流行語大賞にもノミネートされましたし、JCJK流行語大賞にも推し活やオタ活関連の言葉が毎年のように名前を連れています。実際、若者の消費が今、推し活を中心に動いていると言っても過言ではなく、多くの人々が注力しています。渋谷109ラボが行った研究によると、Z世代のオタ活に関する意識調査(2022年)において、推し活やオタ活を行っていると答えた人は82%に達しています。

推し活とは


昔はオタク活動というとアイドルやYouTuber、漫画やアニメなどが該当しましたが、今は自己投資や自己啓発を含みます。

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これらを総称してオタク活動や推し活動と捉えることができます。総務省統計局の令和3年度社会生活基本調査によると、国民の86.3%が趣味や娯楽を持っているという結果が出ています。この側面から見れば、日本国民の86.3%が実はオタク活動や推し活動をしていると言えるのかもしれません。

推し活の依存性


推し活の話になると、なぜその消費がここまで集中していくのか、興味深いですね。推しは生活の優先順位そのものになっているようです。辛い状況を忘れるため、嫌な仕事を避けるために、生活の中で推しに投資する人々が増えています。
推しという一個人を自身の一部として捉え、消費するという側面もあります。多くのオタクたちにインタビューを行った結果、食費を削ってでも推しに消費する若者が多く存在することがわかりました。その消費の理由は、自身を甘やかすことで生じる満足感によるものです。消費しないと明日が辛いという考えが存在し、ご褒美的な消費が行われています。
以前、ガチャガチャは100円や200円でしたが、今では500円や700円、1000円という価格帯になっています。また、コンビニでの高級スイーツの購入やゲームセンターでの遊びに多くの若者が消費しており、これらの小さな消費が積み重なり、明日の活力となっているようです。
彼らにとって、日々のご褒美の積み重ねが大切なのです。推しに投資することで自己満足を得ることができれば、それはコストパフォーマンスが高いとされるのかもしれません。

まとめ

やりたくない仕事に対するプライオリティは高くない。仕事だってしたくないよって思っている中で、でもやらなきゃいけない、学校にも行きたくないけど行かなきゃいけないと感じている中で、Z世代は日々ストレスに溢れています。未来に対するビジョンが見出しにくい。
消費者は未来をどう生きるかよりも、今、明日どうやって生きていくかという思考になっていきます。これはおそらく若者だけでなく、あてはまるのではないでしょうか。「明日、休日出勤したくないな」と思うと、「じゃあ今日ちょっと夜美味しいものを食べようか」という風に、ご褒美として次の日の活力を考えて消費することがあります。まさに、現在の思考が消費に影響を与えています。
また、電車に乗りながら新しい飲み物が発売されるの広告をスマホで見て、コンビニで買ってみたくなる。帰りの電車で別のスイーツを見つけて、それを試してみたいという欲求が湧いてくる。スマホを中心に日々溢れる情報の中で、興味対象が多岐にわたります。こういった興味の移り変わりの中で、どのようにして興味を消費していくかが、重要な課題となっています。
目の前にある商品を積み重ねていくことが、自分へのご褒美となり、日々の消費が自己満足感や安寧感をもたらしているのではないかと考えられます。

講演者


廣瀬涼氏
講演者:廣P 涼

ニッセイ基礎研究所 生活研究部研究員
専門分野: 消費文化論
社会学や経済学の視点からさまざまな消費現象を分析し、その背後にある理由を解明する研究に取り組む。変わった研究としてはタピオカや「ぴえん」の流行など。大学からオタクの消費に興味を持ち、博士課程で継続して研究。ニッセイ基礎研究所に入所後、Z世代研究に従事。
著書:『あの新入社員はなぜ歓迎会に参加しないのか -Z世代を読み解く-』金融財政事情研究会


私たちキャリアコンサルタントとしては…

「最近の若者は・・・」どちらかというと否定的な表現で使われることが多いこの言葉。いつの時代も、世代を超えて考え方や価値観を理解するのは難しいことなのかもしれませんね。

世代を問わず、社会情勢、育った環境などは、価値観や考え方に大きな影響を及ぼします。特に「Z世代」は、テクノロジー進化やインターネットの普及など、これまでとは異なる社会環境で育ち、独自の考えや行動スタイルを持っています。また、例えばコロナ感染拡大などの社会的な出来事は、個人の経験や思考に影響を与えます。

私たちキャリアコンサルタントは、クライエントを世代や属性などで一括りにするのではなく、個々の個性や特徴を尊重し、理解することが重要です。多様性を認めながら、その能力を引き出すサポートが求められます。コミュニケーションスタイルや働き方には何かしら全体としての傾向はあるかもしれませんが、キャリア形成支援においては、これらクライエントを取り巻く環境も含めた、ひとりひとりをサポートすることが大切です。

カテゴリー分けや枠に囚われず、多様性を尊重し、自分らしい生き方を見つけることをサポートする、これがキャリアコンサルタントの役割です。自分とは異なる価値観に触れる、理解しようとする、この姿勢がキャリア支援者として、私たち自身のスキルや人間力の向上にもつながるのです。


西脇奈保子
筆者:西脇 奈保子

株式会社東京リーガルマインド 執行役員・キャリアコンサルタント課
キャリアコンサルタント養成講座 講師
LEC入社後、公共事業本部マネージャーとして、厚生労働省、自治体からの委託による就労支援事業、研修・講習運営事業を複数統括。キャリアコンサルタントの採用、スタッフマネジメントに従事してきた。
現在はキャリアコンサルタント課に所属し、キャリアコンサルタント養成講座・2級技能検定対策講座・更新講習を担当。講座の企画・運営・営業・講師採用や育成にも取り組む。


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