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実務家対談

その道の第一人者が語る
未来を切り拓く土地家屋調査士

新たな時代における土地家屋調査士像について、日本土地家屋調査士会連合会の名誉会長・西本孔昭氏にうかがった。(聞き手 株式会社東京リーガルマインド代表取締役 反町勝夫)

西本孔昭先生
日本土地家屋調査士会連合会名誉会長
西本孔昭(にしもとよしあき)
土地家屋調査士、土地区画整理士。 1963年土地家屋調査士登録後、愛知県土地家屋調査士会会長、日本土地家屋調査士会連合会会長、法制審議会不動産登記法部会委員などの要職を歴任し、現在、日本土地家屋調査士会連合会名誉会長。
「筆界特定制度と調査会ADR」(編著、日本加除出版、2007年)「Q&A表示登記実務マニュアル」(編集代表、新日本法規出版、2006年)「不動産境界入門-境界トラブルを避ける方法」(共著、住宅新報社、2007年)他、多数。

公図と現地の違い

反町
国民の重要な財産である土地や建物の権利を保全するための表示の登記に必要な調査・測量・申請手続という社会的使命を担う土地家屋調査士の業務についてうかがってまいりたいと思います。まず、仕事の基本となる地図についてご説明ください。
西本

私の手元に、明治初期の地租改正のとき、名古屋でつくられた「地籍字分全図」の写しがあります。赤、青、茶などで着色されていますが、当時、地図を毛筆で書いていたことから、どうしても筆圧によって太くなったり細くなったりしてしまい、「三尺」とか「四尺」などと平均幅員の情報を書き入れていたわけです。ところが明治30年ころ、全国で統一的に作成保管するため、墨1色で書くようになります。それまでの地図には、「四尺」と書かれた線より「三尺」と書かれた線の方が太いものがあったのですが、黒1色で統一した折、毛筆の太い線の両側に細い線を引いたため、幅員が不正確になってしまったというケースがあります。その一例が示すように、地図というのは、書き直せば、一見きれいになるが、情報としてより正確になるわけではない。最高でも前の地図と同じ水準にしかできない。そのような宿命を持っています。そのため正確な地図を用意しておこうとする場合、常に現地を調査、測量して、メンテナンスしていかなければならないのですが、残念ながら、わが国において、そのシステムが十全に機能してきたとは言えません。<中略>

不動産登記法により、土地や建物の表示に変更があったとき、その所有者は1月以内に登記の申請をしなければならない、とされていますが、現実にそれを全国民に徹底するのは難しく、例えば「境界線が曲がっていると何かと不都合だから真っ直ぐにしよう」と、隣同士で話し合って、金銭の授受などをして、占有界を変更したものの、登記申請はしなかった。時が経って、過去の口約束が忘れ去られてしまう、といったことがよくあり、後日、それがトラブルのタネになるのです。競売にしても、落札した物件を測量すると、実測面積が公簿面積より小さかったとか、部分的に筆界が明確でないなどのクレームが付いたりするわけです。

反町
境界確定の紛争が少なくないのは、公法上の境界である筆界と隣接者間で取り決めた所有権界が往々にして食い違っているということですね。
西本

公図が所有者の権利の及ぶ範囲を正確に示しているとは限らない。そこが問題です。土地家屋調査士は国民の皆さんから、さまざまな依頼を受けます。公共用地との境界を出したり、子どもの家を建てるとか、相続のため土地を分筆する際などに仕事を依頼されるのですが、公図と現地の利用や占有の状況が異なっているという事態に頻繁に直面します。

そのとき、土地家屋調査士は、その相違が何に起因するものなのか、当該地域の歴史や慣習まで含めて調べ、隣地所有者に立会っていただいて、公法上の筆界を正確に確認し、ときには関係者間の意見の調整を図るわけです。

ADRについて

西本
われわれは昭和61年から本格的に取り組み始め、全国で鑑定委員会を立ち上げるといった活動を展開してきました。当初から、いつの日か、境界訴訟を起こすときには土地家屋調査士会の筆界鑑定委員会の意見書を付けるかたちにしたい、という夢を描きながらやってきたのですが、今回、その夢よりもよいかたちになりました。
反町
境界線を決める土地家屋調査士の業務そのものが、一種のADRとも言えるのでは。
西本
われわれは日常から筆界線を求めていますが、単に当事者が承諾すればよいというものではなく、それが筆界と推定するに足るか否かを常に考えなければならないわけです。
反町
業務が似ているとしても、ADRについては弁護士との協働のかたちをとられるわけですね。
西本

私自身、ずっとそのようなかたちが望ましいと考えてきました。われわれは日常業務を通して境界問題は境界問題としてだけ存在することが少ないこと、また近隣の人間関係の難しい部分が関係していることが多いことを知っています。そして、そのような紛争の処理においては何と言っても弁護士の役割が重要です。事実、われわれ土地家屋調査士は仕事柄、何かあればお願いする弁護士が何人かいます。今回のADRは、いわば、それを一定のルールに則って行うことで、例えば土地家屋調査士の経験の差で依頼人に不利益が生じないようにしようというものです。

具体的には、土地家屋調査士は、争点を分析・整理して、意見を述べ、紛争解決のプロである弁護士と共に当事者双方が納得するかたちを提案する。本格的な争いは裁判に持ち込むというかたちを考えています。

若い調査士への期待

反町
平成14年の土地家屋調査士法改正で、土地家屋調査士法人の創設が認められました。法人化の現状はいかがでしょうか。
西本

税務や利益配分がネックになっているのかもしれませんが、今のところ、設立法人はそう多くありません。ただ、われわれの職業は、司法書士や一級建築士など兼業者が多く、また親子、兄弟で隣接士業をしているケースもよくあるということを踏まえますと、土地家屋調査士単独の法人より、法律経済関係事務所としてワンストップサービスを提供するかたちの方がよいのではないかと思います。<中略>

以前の士業は業務の形態や報酬、広告など、ありとあらゆることについて官の規制を受けていたため、土地家屋調査士にしても、仕事が来てから、具体的な対応を考えるという受け身の者が圧倒的多数でした。しかし、あらゆることが規制される時代から、一転して、競争せよ、と言われた時点から、能動的に提案しなければならなくなったはずなのですから、規制されることに慣れ、競争の仕方まで指示されなければならないというのでは少々情けない。

反町
能動的な業務の追求ということでは、時代の変化の中、コンサルティングでも、新しい業務が増えているのでは。
西本
例えば老朽化したビルを用途転換するためのコンサルティングがあります。民事局の通達で、スケルトンインフィル分譲、つまり、障壁ができる前に分譲住宅の登記ができて、購入者がその後の工事をすることができます。またオフィスビルの用途変更をして居住空間として生き返らせること(コンバージョン)も可能で、採光や上下水道の問題などを解決するための専門家のネットワークを構築して、コンサルティングができる体制をとりたいと考えています。<中略>そのように、従来の業務に拘泥せず、視野を広げれば、われわれはもっとさまざまなかたちで世の中に貢献できるはずです。
反町
地域貢献ということでは、仕事柄、地域への愛着が強いためか、地域活動に尽力されている方が多いようですね。
西本

土地家屋調査士出身の市長や県議会議員が多くいますし、県議会議長も2人出しています。自分たちが仕事を通して育っていくプロセスで、世の中に提案したいことができ、それを実現するため、政治の道を選ぶのでしょう。以前はかたくなに土地家屋調査士という業務を貫く職人気質の者が多かったのですが、今では若いうちから、農業委員やPTA会長などのポストに就く者が増えているという印象があります。今後は、測量という業務に限定してものを考える人より、業務を通して得たものをいかに世の中に還元できるか、そのような発想をする人の方が育っていくのではないか。

そのような意味で、私は、新しい人たちに期待しています。測量という専門技術を持った上で、さらに能力を幅広く磨けば、さまざまな提案ができます。そして、そのときは、街が死なないよう、山が死なないよう、持てる能力を最大限に発揮する、それくらい大きな視野を持つべきではないか。また、そういう目で見れば、世の中には仕事のニーズはたくさんあるはずです。私としては、土地家屋調査士という資格制度を、もっと自由に、もっと伸び伸びと活動できるものにしていくため力を尽くしていくつもりです。

調査士は食える!勉強さえすれば

皆さんが合格後に抱く心配は、「はたして独立開業して食べていけるのか」「既に開業している先輩土地家屋調査士に勝つことができるのか」ということではないでしょうか。

わたしは、開業したての頃、税理士など他士業の新人の方と講師持ち回りの勉強会をおこない、関連知識についての雑学を学びました。先輩土地家屋調査士に勝つためです。

例えば、土地を分筆するときに、税務や鑑定についての知識があれば不動産コンサルタントを併せておこなうことができ、依頼主のためによりよいサービスを提供することができます。そうすれば、お客様がお客様を呼び、どんどん依頼は増えていきます。先輩土地家屋調査士に勝つために、自分だけができるサービスによって差別化を図るのです。そのために、他士業の皆さんと勉強会をするのです。新人のときに安い報酬で仕事を受注する方をよく見受けますが、勉強で苦労して身につけた技術やノウハウは安く売るべきではありません。

近年、士業の世界でも報酬規定をはじめとして様々な規制が緩和されてきました。従前からの調査士固有の業務に固執する必要はありません。都市再生機構、JR民営化、社保庁所有建物払下げの例にもみられるように、登記を必要とする未登記不動産はまだまだあります。眠っている仕事を掘り起こす努力を怠ってはいけないのです。

佐々木健先生
佐々木 健 先生
昭和54年土地家屋調査士登録、事務所開設。平成7年神奈川県土地家屋調査士会理事。平成11年神奈川県土地家屋調査士会常任理事。平成13年神奈川県土地家屋調査士会副会長。同年、日本土地家屋調査士会連合会制度対策本部委員。平成15年日本土地家屋調査士連合会理事。平成17年全国土地家屋調査士政治連盟幹事長代理。平成19年神奈川県土地家屋調査士会監事(現職)。
日本土地家屋調査士会連合会の制度対策本部委員及び神奈川県土地家屋調査士会ADR準備委員として、調査士によるADR業務実現のために尽力される。また、新人調査士の育成のためにおこなう熱血指導には定評がある。

土地家屋調査士として生きる!

なぜ、資格業に付こうと思ったのですか。実力の世界で生きていきたいと思ったからですよね。人生をリブート(再起動)しようと思ったからでしょう。

土地家屋調査士という資格はプロになる資格です。プロはコストをかけて売上げて、そこから利益を出します。何かを成し遂げるにはコストが必要です。受験勉強も合格を勝ち取るにはコストをかけた方が効率がよいのは言うまでもありません。私は「学問に王道あり」と思っています。
にもかかわらず、大抵の人は受験に何故コストをかけられないのか。それは、合格しないかもしれないという不安があるからでしょう。合格するという強い意志がなければコストをかけても意味がないでしょう。プロは受託した業務は必ず完成させます。当たり前の話しですが、プロとして必ず完成させるという強い意志があるからです。勉強をプロの業務と置き換えて戦略を練れば、合格するのは当たり前と思います。さっさと合格して、早く仲間に入ってきてください。

不景気の中、開業に不安を感じる方も多いでしょう。でも合格したら開業してください。バブルの頃でも新人には仕事はないのです。むしろ、不登法改正で、筆界特定、ADR、オンライン申請、世界座標等々、近年は業界全体が初心者の時代となりました。そういった意味では新人にとって最高のチャンスの時代であると考えています。

何かを始めるのに遅すぎるということはありません。その分長生きすればよいのです。

鈴木修先生
鈴木 修 先生
昭和56年土地家屋調査士開業(宮城会)、元日本土地家屋調査士会連合会理事(研究室次長)、前宮城県土地家屋調査士会副会長、前宮城県土地家屋調査士会境界鑑定委員会委員長を経て、2009年5月より宮城県土地家屋調査士会会長。日本における資格業の位置づけについて、その創設当時の意味と、ここ10年の規制改革等の流れの中で現れた具体的変革の意味を踏まえ、現在の土地家屋調査士業の本質とこれからの未来について考察し、具体的に今日何をすればよいかを、各地の土地家屋調査士会の研修会で伝えている。中でも特に、入会前後の新人を対象にした教育をライフワークとしている。
<主な著書>Q&A表示登記実務マニュアル 新日本法規(共著)

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