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事実上の「法律」になっている通達

−三つの原則のうち、『簡単・明確性の原則』については、どのような問題がありますか?
「税制における『簡単・明確性の原則』は著しく損なわれています。私は30年近く税理士として仕事をしてきましたが、いまだに税法を見るにつけ、非常にわかりづらいと感じます。税法体系は一般に『一読難解、二読誤解、三読不可解』といわれるほどです。一部エリートの方々であれば、正確に解釈できるのかもしれませんが、日本語になっていないと思われるような表現も見られます」

−『通達行政』といういい方もあるようですが?
「租税法律主義を貫くうえで、現状は問題があります。通達というのは、もともと行政機関が法令などについて、職員などに事項を知らせて、解釈の統一を図ったりするための行政規則でしかないのですが、それが今やなかば法律化しているわけです。
  私たち税理士が税務調査などで、よく税務当局とぶつかることがありますが、その際、『通達通りにやっていますか?』『通達は見ましたか?』という表現がよくされます。しかし、通達というのは行政庁の内規にすぎませんから、納税者を拘束するものではありません。クライアントである納税者が、その通達の解釈通りでいいすれば、私たちとしても了解しますが、税を徴収する側と納付する側は当然、利害の対立が発生することがあります。そこでぶつかったときには、その通達が法令に反するようなものであれば、それに違反しても違法とはなりません。しかし、現実には、数多くの通達が税務行政を支配しているのです」





 
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