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農林業がもつ多面的な機能と役割

第三セクター方式の支援(中山間地の農林業と生活の安定)


 農林業が多面的な機能を展開する場は農山村です。
しかし、現在、全国に14万あるとされる集落では、高齢化が加速度的に進んでいます。子ども、孫はみんな外に出ていき、残るのは年老いた夫婦だけ。それでも、よそに行きたくないと、そこで農林業をしている。ある意味では過酷な環境での生活を強いられている方もいます。私は国家がそれをそのままにしていいと思いません。
 農山村の振興はきわめて重要です。しかし、魅力のない農山村に住んで、農林業に従事せよと言っても無理な話でしょう。
 一つには農山村における所得を安定したものにして、生活を安定・向上させ、老後の生活を心配のないものにすることです。そのためには社会保障制度の充実が必要です。


 今、農業を担っている方たちが高齢化する。後継者という担い手の確保の課題があります。また担い手を確保するとすれば、今度はその方たちの結婚を考えなければならない。 
 生活の安定と老後の不安を解消する。後継者を確保する。その配偶者のために生きがいや働く場を確保する。それが私が考える過疎対策の三点セットです。それが満たされるように条件を整備するべきです。
そのためには、私は第三セクター方式にして国も市町村、農業団体も一つになり、これを支援し、守っていく意思を持つことが必要だと考えています。公的な資金を入れて給料生活者にする。そうすれば給料、退職金、年金もあるから生活が安定する。そのような政策を実施するためには、大きな公的役割を果たしている農林業の振興が必要であり、中山間地の生産不利地域における農林業を国家として必要と認めれば、という前提があります。


 ヨーロッパではすでにデ・カップリングという政策を実施しています。これは不利地で農業に従事している人たちに対して、一定の所得を保障するものです。
 いくら努力しても、一定の所得を確保することができないような不利な地域で農業に従事している方たちは国民としての平等な生活が実現できていないことになります。
その不足を補うのです。国家・社会にとって生産不利地域における農林業の存在が不可欠であると国家が認識して、そこに住む人たちを支援すべきです。日本の場合、そこが未整備でしたが、新しい農業基本法が成立すれば、その精神がわが国に初めて導入されることになります。

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