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農林業がもつ多面的な機能と役割

国土の荒廃(国家存立の基盤に世界一のコストがかかっている)


 日本には「災害危険箇所」が22万カ所あります。その箇所はいっこうに減っていません。いわば国民の生命と財産がつねに脅かされているのです。治山事業、治水事業、急傾斜土砂崩壊対策事業、海岸保全事業、そういう国土保全に関する長期計画のため日本は年間約4.5兆円の予算を使っています。国家存立の基盤である国土保全にコストをかけていることでは世界一の国家なのです。 そのコストの規模は農林予算と匹敵するほどのものであり、国家としてもその財政負担を放置できないほどの状況になりつつあるのです。
 ところが、これに対する抜本的な決め手を欠いたまま時代が進んでいます。まずそのような事実をきちっと認識しておかなければならないと思います。


 またこれだけ山が荒れてしまうと、近海漁業もダメになってきます。日本は蛋白源を漁業に求めてきた水産立国でもあります。山が荒れれば、泥水が川に流れ、木の葉や有機質が海に流れ込まなくなります。するとプランクトンが増殖しなくなる。それを餌とする近海魚の生息が困難になり、魚族資源が枯渇していくのです。
 各自治体で漁業者の方たちが山に木を植えていますが、それには意味があるわけです。山を安定的な状況にして、常にきれいな水が河に流れ有機質を産み、それを海に供給してもらいたいという要求があるわけです。

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