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会計基準の設定主体に求められる機能

−−時代に応じた会計制度が求められているということだと思いますが、会計基準を設定する組織はどうあるべきでしょう? 「これまで日本では、大蔵省の企業会計審議会が会計基準の設定の主体になってきましたが、行政当局の諮問機関というパブリックセクターで、機能として十分と言えない面がある。それを補うためには、民間をベースとすべきではないかと、日本公認会計士協会では提案しています。設定主体に求められる機能として、協会では、『機動性』と『透明性』『独立性』の3点をあげています。  まず『機動性』です。会計の国際基準についてコアの部分はできましたが、それ以外の部分ももっと整備していかなければならない点はたくさんあります。また実体経済は急速に変化していきますから、コアそのものも時代 の状況の変化に応じて変えていかなければならないわけです。会計基準は時代に応じて変わっていきます。会計は実体経済について投資家を中心としたサイドに対し、より適切に表現するための文法という役割をもっています。実体経済が変化すれば、文法を変えていく必要があるわけです。そのためには機動的に優れた組織でないと追いつけません。  そして出来上がった制度につき多くの人から納得を得られるには、『透明性』が確保されていなければなりません。 『独立性』というのは、一つの利害関係集団のプレッシャーで会計基準の内容が決定する構図ではいけないということです。経済界からのプレッシャーに影響される状況もまずいし、政治からの影響も望ましくない。行政は必ずしも利害関係集団とは言えませんが、できれ


ばそこからも独立性があることが望ましいと言えます。そういう独立した組織であるという構図が求められるということです。」 −−IASCは民間団体ですが、海外における会計基準の設定は民間が主体となっているのでしょうか? 「IASCは各国の公認会計士協会が設置した団体です。これが先程言いましたように、全面的に改組されることになっています。新しい組織では、証券監督者の意向も入るし、財務諸表を作る側の意向も、読む側の意向も入るようになります。  アメリカの会計基準というと、多くの方は、純民間という色彩を思い浮かべられると思いますが、必ずしもそういうことではありません。アメリカでは、かつては公認会計士協会のオピニオンが会計基準となっていましたが 、現在はFASBです。そのFASBはSEC(Securities and Exchange Commission 米国証券取引委員会)とは近い存在といえます。SECから『こういう基準を作れ』といった勧告も出されます。つまり純民間という構図から、現在ではかなり行政に寄りつつあるわけです。イギリスも同様の動きになっています。」 −−会計基準を設定する上で、行政の役割はどのようなものであるべきでしょうか? 「具体的な内容ではなく、どういうことについて基準化していくということでは、やはり市場を監督する立場にある行政の声は必要です。自由主義市場経済というのは、できるだけ規制を無くすとともに、監督権を強めるという二重の構造が必要なわけです。」


 
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