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経営理念の追求・実現を目指した取り組み

森本 楽 氏 (アーリア行政書士法人代表社員/行政書士)

聞き手:反町勝夫 株式会社東京リーガルマインド代表取締役

日本有数の大手行政書士法人「アーリア行政書士法人」は、自動車関連事務のエキスパートとして、許認可のみならず、時代の潮流を踏まえ、さまざまなサービスを提供し、全国展開している。2009年4月に代表社員となられた森本楽氏に、アーリア行政書士法人のさらなる飛躍のための取り組みについてうかがった。


■ 創業60年という強みを活かした事業展開

反町

アーリア行政書士法人(以下、アーリア)は、創業60年を迎え、非常に歴史のある事務所です。

新井

行政書士法ができる前の昭和24年から祖父が車の検査証の代書を行っていました。その後に行政書士法ができ、行政書士ではないと代書業務を仕事として行うことができなくなったため、祖父が行政書士試験を受け、行政書士となり、業務を始めました。これがアーリアの前身です。

森本 楽氏(社団法人中小企業診断協会相談役/アイコンサルティング協同組合理事長)

反町

アーリア行政書士法人では自動車関連事務をメインとされていらっしゃいます。行政書士の取り扱い分野は幅広いものの、大きな事務所になるとひとつの分野に特化しているところが多いように思われます。自動車関連以外の分野を扱い、多角化していくというのは大変なのでしょうか。

新井

私たちは自動車を専門にするということについてはぶれずにやっていこうと決めています。社会保険労務士事務所を立ち上げたりしていますが、それも自動車関連のお客様に対する、サービスの一環です。新商品を新しいお客様にというのは非常に大変であることから、私たちが持っている創業60年という強みを活かし、既存のお客様が望まれているサービスを提供することで、広げていこうと思っています。

反町

これまで自動車を取り扱ってきたのに、何の関連性もない飲食店の許可申請といった業務に切り替えるとノウハウが異なり、別の生産ラインを設けなければならなくなることもありますので、やはり枝葉的に展開していくのがよいのでしょう。

新井

そうですね。私どもは人材派遣事業も行っていますが、それもやはり自動車のお客様に特化しています。将来、名称独占となった際には合併して、自動車のお客様に対して事務をトータルに請け負える会社になりたいと思っています。現在は、資格がないとできない行政書士業務に特化した法人、人材派遣に特化した法人、と事業ごとに法人も分けている状態ですが、名称独占となったとき、他社と対抗していくためにも、いろいろなサービスを提供できるようにしていきたいと考えています。

■ 前進のためにさらに働く

反町

2009年4月からアーリア行政書士法人(以下、アーリア)の代表社員となられましたが、それまでの間、経営者となるべく、何か特別に勉強をされてきたのでしょうか。

森本 楽氏(社団法人中小企業診断協会相談役/アイコンサルティング協同組合理事長)

新井

いずれアーリアを継ぐことを踏まえ、大学卒業後は、6年間サラリーマンをやり、行政書士資格は働きながら勉強して取りました。サラリーマン時代は、とにかく「デキる」と言われる先輩にくっついては、その仕事を近くで見させていただき、いろんな話を聞かせていただきました。そのような中で、デキる人に共通するあることに気付きました。それは「長い時間働く」ということです。どんなに遅くまで外出していても、会社に戻ってきて働いているのです。 父とともに働く1年前は、キャリアバンク株式会社の佐藤良雄代表の下で働かかせていただいたのですが、佐藤代表は、夜の11時までお客様と会食された後に事務所に戻って仕事をされていました。父も朝早くから夜遅くまで働いていたのですが、佐藤代表はそれとはスタイルが違っていたので、非常に衝撃を受けたのと同時に、感銘を受けました。

反町

働く姿勢について学ばれたのですね。

新井

そもそもサラリーマン時代は、効率よく仕事して時間内に終わらせることがいいと思っていたため、なぜそんなに働くのか不思議でなりませんでした。しかし、佐藤代表をはじめとする経営者の方々を間近で見て、経営者というのはそうではない、ということを勉強させていただきました。効率よく時間内に終わらせることは当然のことであって、その上で、前進のためにさらに働いてデキるようになるのだと気付きました。

反町

大手事務所、個人事務所にかかわらず、優秀な経営者は時間の使い方がうまいものです。

新井

おっしゃるとおりだと思います。経営者になった今では、そのことを身をもって実感しています。

■ 経営理念の追求・実現のために

反町

森本先生は、名刺に経営理念を記載されていますね。

新井

私は、経営理念は重要であると思っています。人数が多い少ないにかかわらず、1人でも従業員を雇うのであれば、必ず経営理念や考え方を共有した方がよいと考えています。アーリアは従業員が100人以上になって初めて取り組んだため、さまざまな苦労をしました。
アーリアの経営理念は、
・人と人との絆を大切に
・全従業員の物心両面の幸せを追求する
・社会の進歩発展に貢献する
というものなのですが、これはそのまま私自身の働く目的でもあります。

森本 楽氏(社団法人中小企業診断協会相談役/アイコンサルティング協同組合理事長)

反町

実現に向けて何か取り組まれていることはあるのでしょうか。

新井

経営理念を追求・実現するためには、「考え方の追求」と「数字の追求」の2つの追求を同時にやらなければなりません。しかしながら、言葉を日常の会社生活の中で行動として続けていくのは簡単なでことではありません。したがって、経営理念や言葉の定義をまとめた冊子を作成し、唱和をしたり、会議前に確認をしたりと、形にして従業員と共有を図るようにしています。経営理念を従業員と共有すれば、成長して大きくなったとき、素晴らしい組織になっているのではないかと思います。

反町

ぜひ、その経営理念を実現していただき、新たな歴史を作っていただきたいと思います。本日はありがとうございました。

≪ご経歴≫

アーリア行政書士法人代表社員/行政書士
森本 楽(もりもと がく)
1998年甲南大学法学部法学科卒業。同年住商オートリース株式会社入社。2002年行政書士試験合格。2003年キャリアバンク株式会社入社。2004年アーリア行政書士法人入社。2009年アーリア行政書士法人代表に就任。

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