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風俗営業許可業務で活躍する女性行政書士

浅野 幸惠氏 東京都行政書士会風俗営業部長/行政書士

聞き手:反町勝夫 株式会社東京リーガルマインド代表取締役

東京都行政書士会風俗営業部長の浅野幸恵氏は、六本木に事務所を構え、風俗営業、運送業関係の業務をご専門とされ、『キャバクラ嬢行政書士事件簿』の監修者でもある。今回は、浅野先生に、行政書士の風俗営業業務の実態および行政書士としてやっていくために必要な資質について、お話いただいた。


■ 厳しい風俗営業許可の申請

反町

浅野先生は、風俗営業許可の業務のスペシャリストとうかがっています。なぜ、この分野をご専門とされるようになったのでしょうか。

浅野

以前、共同で事務所経営をしていた杉浦先生が風俗営業許可の業務をご専門にされており、そこで手ほどきを受けて業務を習得し、専門とするようになりました。

浅野 幸惠氏 東京都行政書士会風俗営業部長/行政書士

反町

なるほど。風俗営業許可とは具体的にどのようなものなのでしょうか。

浅野

風俗営業許可とは、お客さんに対し接待、カラオケ等の褒めそやし、ダンスをさせる等の営業をする場合に必要な都道府県公安委員会の許可のことをいい、許可申請は、所轄の警察署の生活安全課を通じて申請します。麻雀店、パチンコ店、ゲームセンターも風俗営業許可の範囲です。風俗営業法において、風俗営業許可の対象は、キャバレー、キャバクラ、ホストクラブ、スナック等(社交飲食店)、ナイトクラブ等、ダンスホール等、低照度飲食店、カップル喫茶等、区画席飲食店等の料理飲食店関係とパチンコ屋、パチスロ屋、麻雀屋、ゲームセンター等のゲーム関係が挙げられています。許可を得ないで風俗営業を開始した場合には、1年以下の懲役もしくは100万円以下の罰金、または幣科されます。

反町

なかなか厳しいですね。

浅野

まちの風紀を保ち、近隣の生活環境に悪影響を及ぼさないようにしたり、18歳未満の少年に悪影響を及ぼさないようにしたりすることを目的としていますから。。。。

反町

風俗営業許可の申請では、どのようなことをしなくてはならないのでしょうか。

浅野

許可申請には非常に複雑な図面を作成して申請しなければなりません。図面には正確さを求められます。また、申請者やお店の管理責任者などにも数々の条件が必要です。また、内装をすべてつくり終わった後に申請をしなければなりません。

反町

そんなに煩雑では、やはりプロの行政書士の力が必要になるわけですね。風俗営業の許可とは、経営者が同じ人でも場所が違えば、許可も別々に取らないといけないのでしょうか。

浅野

はい。大まかに言うと、風俗営業の許可は、人とハコに許可されると考えて下さい。

浅野 幸惠氏、反町勝夫対談

反町

そうなっている理由とは。

浅野

先ほど申し上げました保護対象の関係があるからです。つまり、風俗営業が住居地域に移ってきては、風紀を乱しねず、困ります。したがって、風俗営業をできる用途地域で、保護対象施設からの規定距離を満たしていないと許可は下りないのです。

反町

では、逆に同じハコでも、人が違うとなぜ許可が必要なのでしょうか。

浅野

その人に欠格事由などがあれば、許可が下りないからです。なお、風俗営業許可関係業務については、許可要件に本人の出頭ということがあり、代理に馴染まない感があるものの、行政書士の代理権でカバーできる面もあると考えられます。なお、その代理権の範囲等、代理ということを理解していない人が多いと思われることから、行政書士各人の研鑚と行政書士全体のレベルアップが必要だと思っています。

■ がんばれるかどうかが問題

反町

行政書士に限ったことではないですが、国家資格を目指している方は、取得後に、まずどこかの事務所に入って実務を覚え、それから独立開業しようと考えている方は少なくありません。しかし、そうそう修行できるような事務所は多くありません。まして今のこのご時世ではますます厳しいでしょう。したがって、LECでは、行政書士実務講座という実務を学べる講座を開講しており、大変ご好評をいただいています。

浅野

行政書士について言えば、他の専門職と比べて、受かった後が結構大変ですね。他の専門職は、受かりさえすれば、あとはどこかに指導されて就職できたりしますが、行政書士の場合はそういったことが極めて稀で、受かっただけという人が非常に多いと思います。

反町

大学在学中に行政書士に合格し、大学を中退して仕事をしている者がいるのですが、まだまだ行政書士としては食べていけない者がいます。

浅野

まあ、それはそれで良いというか、何とかなるのではないでしょうか。私の知り合いで、社労士と行政書士両方持っている人がいるのですが、しばらくの間、本業以外にアルバイトしていて、最近になって何とか社労士の方で食べていけるようになったようです。だからまあ、それなりにがんばっていれば何とかなるのではないかと。

反町

20代は苦労した方がいいかもしれませんね。

浅野 幸惠氏 東京都行政書士会風俗営業部長/行政書士

浅野

最初からそんなに仕事がくるはずもありません。それでもやっていけるかどうか、がんばれるかどうかです。

反町

浅野先生は、たくましさも兼ね備えていらっしゃいますね。

浅野

いえいえ。警察とのやりとりでは結構苦労しています。声が大きくないと負けてしまうのです。それはともかく、実務を長年やっていると自然にたくましくなってきます。

反町

確かに、行政書士が相手にするのはお客さんだけではなく、警察もありますね。それでも、やはり一番詳しいわけですから、警察から「こういうのはどのように取り締まればいいか、どのようにガイドラインをつくったらいいか」と意見を求められたりすることがあるのでは。

浅野

たまに、「こういうのはどうでしょう」と聞かれたりすることはあります。

反町

頼りにされているのでしょう。これからのますますのご活躍を楽しみにしております。本日は、お忙しい中、ありがとうございました。

≪ご経歴≫

東京都行政書士会風俗営業部長/行政書士
浅野 幸惠(あさの さちえ)
中央大学法学部法律学科卒業。会社勤務経験はなし。1991年行政書士試験合格。1993年9月行政書士事務所開業後、共同事務所時代を経て2001年12月独立事務所を構える。行政書士会では、2005年から2年間東京都行政書士会研修センター委員。2007年東京都行政書士会理事となり、風俗営業部長を務めた。主に風俗営業、運送業関係の業務を手がける。著書に『今年こそ行政書士!開業し成功するための99の秘訣』(自由国民社・2004)など。

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