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司法制度改革

裁判の審理時間の長さをどうするか


反町
司法制度の問題点として指摘が多いのが裁判の審理時間が長すぎるということです。
    保岡
    関係者の努力によって、かなり迅速化がはかられてはいますが、やはり上訴審まで入れると、5年、10年かかることもあります。特に重大・複雑な事件、専門的な知識を要する審理については長期化しているとの指摘もあります。  それについてはさまざまな工夫ができるのではないかと思います。審理で重点を置くべき要点をあらかじめ議論しておいて、そこに焦点を絞った証人尋問を徹底的にやる。専門的な審理は参審で専門家を入れるとか、補助スタッフをつけるといった工夫も必要でしょう。
反町
裁判外の法的サービス、紛争解決手段を充実させる方法もあるのではないでしょうか。
    保岡
    「仲裁センター」のようなものをつくり、そこに弁護士を入れて、裁判より簡易に解決できる仕組みをつくってもいいでしょうね。できるだけ話し合いで解決する「和の精神」という日本の伝統にも合致する方法です。提訴した後は、そこで検討した調停員の意見が参考にされるようにすればいいのではないでしょうか。
反町
裁判の迅速化の解決策とされる法曹人口の増員について、どのような考えをお持ちですか?
    保岡
    どれくらい増やすべきかという量の問題もありますが、単に増やせばいいというわけではない。質の向上が伴わなければなりません。社会のニーズに対応する優れた法曹教育を考えるべきです。
反町
審議会のテーマとしても、法曹教育も含まれていますが、これについて、ロースクール構想を弁護士の柳田さんが発表されています。保岡先生は法曹教育について、どのようなお考えをお持ちですか?
    保岡
    多くの方のご意見をよくうかがって判断しなければならないと思っていますが、現段階で、法曹教育について私なりに漠として考えていることを申し上げれば、学生時代にはいろいろなことに関心をもって、広くものを考え、とらえる力を育てることが大事だということです。まず思考力、構想力、思索力、分析力を養うべきであり、法律の専門教育はその後で行うというアメリカ方式の考え方も参考になるのではないでしょうか。まず、ものの考え方を教える。具体的な法律知識は後からいくらでも勉強できます。
反町
審議会の佐藤幸治会長も最重要課題の一つとして法曹人口の増加をあげられています。2年後の審議会報告書では、どの程度の数字が答申されると思われますか?
    保岡
    今度、採用する司法試験の合格者から1,000人になりますが、その人たちに対する研修の受入態勢を見て、次の増員の目標をどうこなすかを検討するということになるでしょう。いずれにせよ、司法改革の理念が議論され、法曹養成の骨格ができていく中で、増員の具体的な数が検討されるべきものと思われます。
反町
1,000人、1,500人から、さらに増えるとお考えですか?
    保岡
    柳田先生の3,000人、15校のような案もあります。妥当な数字か、私は今のところ判断を下していませんが、そういう具体案をいろいろと出していただき、検討していきます。当然のことながら1,000人というレベルではとても足りないということかと思われます。

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