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司法制度改革

本質を見極めるための議論


反町
 内閣の直属として司法制度改革審議会が設置され、7月27日に第1回の会合がありました。審議テーマは昨年6月に保岡先生が中心となってまとめられた自民党の司法制度特別調査会報告に沿うもので、法曹人口増員、法曹一元、陪審制・参審制、法律扶助などがあがっています。検討項目は多岐にわたり、難問が山積しています。例えば、企業をとりまく法的問題でいっても、民暴などさまざまな課題があります。審議期間は2年間とのことですが、保岡先生はどのような審議を期待されていますか?
    保岡
    民事とは言え、民事訴訟だけで正義が守れるものではない。民暴に限らず不正、違法な点があれば、警察・検察が積極的に協力体制を組む機会をもっと確保する。そのような努力目標を答申で掲げていただくことはいいでしょう。しかし、その具体化は別なところで考えていただく。司法制度改革審議会は個別の法改正の細部を議論して掘り下げていく場とは思いません。
反町
大きな方向づけをする場であると。
    保岡
    例えば、商法に多くの問題があるとすれば、細目の検討ではなく、法改正の迅速化の必要性を提言していただく。商法など大きな法律の抜本的な改正ともなれば、10年も20年もかかります。それを5年、3年で行うような迅速性が必要であることをはっきりと示すことです。戦後の間もない頃は一通常国会で300件もの法案を処理していました。それが漸減して、平成元年にはついに100本を切った。今、約150本にまで増えていますが、時代の変化のスピードも早くなっているのですから、ますます法制度の改正は必要となるでしょう。そのためには、立法に当たる人員を増員するなどの国会改革が必要です。また行政も効率化しなければならない。アウトソーシングとしてシンクタンクを活用し、立法の必要性や、場合によっては、法案を試作し提言していただくことも一つの考えでしょう。役人が一から十までやることはないのですから。
反町
理念や大きな枠組み、筋道を議論するということですね。
    保岡
    日本が転換期にある今、抜本的な司法改革の必要性と理念や目標などを審議して、司法改革の全体像を描いていただく。審議会には、そのように鳥瞰的、歴史的な認識をもって、本質を見極めるための議論を私個人としては望んでいます。

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