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税理士に出廷陳述権を与える条件

−次に、税務訴訟の現状と、税理士や弁護士の役割についてお聞きしたいと思います。
  「税務訴訟における国の勝訴率は約98%といわれています。納税者はほとんど負けています。税務訴訟には特殊な知識、経験が要求され、弁護士にはそれについての十分な成熟性が求められます。もちろん、いることはいますが、租税実体法に詳しい弁護士は少ないと思われます。
  また税務訴訟で、弁護士が国と対等に渡り合うためには、税理士の協力が不可欠です。租税実体法、法人所得など税の知識をもつ、税の専門家である税理士に出廷陳述権を与えるべきです。これは法定代理人になることを求めるものではありません。訴訟上の技術は弁護士が、税法の問題は税理士が担う、そして一緒に訴訟を行うという方法を採る。それによって税務訴訟は大きく変わっていくはすです。
 また私は税について争うことによって、
税法の法解釈が発展するという効果があると見ています。ほとんどの通達は正しく解釈されていると思いますが、社会通念に反するような通達が皆無だとはいえません。どうしても訴訟で判断しなければならないときには、税理士が法律家として法廷で活動できるようにすることです。その際、裁判所の許可を要する補佐人ではなく、独立した出廷陳述権を認めるべきでしょう。
  なお日本税理士会連合会はすべての税理士に出廷陳述権を与えるべきだとしていますが、私がTKC長の立場として提言しているのは、今の税理士資格取得試験科目などの問題がありますから、そこに一定の歯止めをかけるべきではないかということです。税理士自ら国税不服審判所に審査請求をして棄却された事案に限って、税理士が弁護士と協力して訴訟に参加できる権利を与えるという枠をはめてはどうかということです。自ら審査請求をした事案であれば、事実関係と法解釈も把握しているからです」




 



 
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