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行政監視の実効性を上げる方法

−中央省庁では総務庁が政策評価の標準的ガイドラインの作成にあたっていますが、これについてはどのような期待をされていますか?
「中央省庁が行政評価を取り入れていくことは大変良いことだと思います。国なり地方自治体がバランスシートをつけて、収支とともに、さまざまな観点から個々の事業を評価していくことは重要です」

−その実効性を上げるために必要なこ とは? 「これは何をおいても情報公開です。
情報公開法(注1)の制定の際に言われたアカウンタビリティということにつながりますが、行政評価
の実をあげるためには、情報公開による裏づけが不可欠です。
 国や地方自治体が行った行政評価の結果については、白書のような形に整理して公表するだけでなく、意思形成の過程、つまり政策などの審議・協議・検討というプロセスにおける情報についても、『意見の中立性』であるとか、『意見支援に不当な支障を及ぼさない限り』という要件はつきますが、できる限り公開していくことが必要です。さらに、計画の実行段階の情報についても逐一情報公開していく。さらに事後に、結果がどうなったかという情報もきちんと流すことです。


 意思決定や政策評価のもとになった基礎データまで公開することによって、それをもとにして、国民が改めてチェックできる体制を整えることが求められます。それによって、行政監視の実効性が上がりますし、またそのことは行政の効率性を向上させていくうえでも重要です」

−それを実現させていくうえでは、情報公開法が重要な役割を果たしますね。
「行政の透明性、公開性を確立することによって、『国民の的確な理解と批判の下にある公正で民主的な行政の推進』という、情報公開法第1条に盛り込まれている目的
の規定が、まさに行政監視の必要性を担保する条文となります。
 その際、行政手続法に計画策定手続きについての規定が盛り込まれていれば、情報をフィードバックさせながらの行政監視が考えられたのですが、先ほど申し上げましたように、その手続きの法制化が実現しなかったため、よりいっそう情報公開法や情報公開条例に寄せられる期待には強いものがあります。そのような法律の未整備という状況を踏まえたうえで、情報公開法や情報公開条例を解釈・適用していく必要があるといえるでしょう」

注1.「情報公開法」
 平成11年5月に成立、平成13年4月に施行される。内閣の統括下にある行政機関が公開の法的義務を負う。公文書などの公開の請求を受けた機関は、原則として30日以内に公開・非公開を決定しなければならない。その決定に不服があるときは、情報公開審査会に不服申立ができる。

 
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