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Y2K コンピュータ西暦2000年問題


全社横断的な対応が必要


「企業にとって、Y2Kはまさしく法的リスクをはらむ深刻な経営問題です」
 と大矢氏は強調する。
「Y2K対応はたんにコンピュータ・システムの問題ではなく、企業の仕組みそのものに対するリスクマネジメントです。本来なら、経営者は経営の仕組みの中のリスクという認識をもち、全社横断的な組織を作って対処しなければならない課題です。対策は部門単位で実施するような性質のものではなく、
経営者が会社が傾く可能性があるという危機感をもって取り組まなければならないのです。 多くの経営者は問題の解決をシステム部門にふっているだけです。“Y2Kなど社長が取り組むような問題ではない。担当部署と担当の役員がやればいい”という認識です」
 またY2K対応をしているといっても、ほとんどの企業は自社のシステムの確認ができたというレベルを超えていないという。


「繰り返しますが、このネットワーク社会では、自社がいくら大丈夫でも、ネットワークでつながるどこかの部分で問題が発生すれば、それが波及してくる可能性があるのです。 ようやく日本企業もここにきて、他の会社が大丈夫かを確認するようになっていますが、それも始まったばかりです。方法も、“アンケート”と称して、“御社は大丈夫ですか?”という内容の質問状を回し合うだけ。“最善の努力をしています”という答えをもらって安心している。 今、日本中をそのような連絡がグルグルと飛び回っているだけで、実態としては何も進んでいないのです」
 刻一刻とタイムリミットが迫っているが、多くの日本企業は“他社はどこまでやっているのか? うちはどこまでコストをかければ世間並みか?”という横並びの発想になっていて、“とにかく自社をどうにかしなければならない”というアメリカの企業のような発想にはなっていない。


「問題とされている未対応マイクロチップのチェックに関しても、棚卸しが不徹底で、網羅的に社内にあるものは全部、網羅的にチェックが完了しているということになっていません。それは取りも直さず全社横断的なプロジェクトを組んで実施していないからです」 多くの日本企業にとっては部門ごとの縦割り組織で動くのが普通で、全社的なプロジェクトを作ることが馴染まない。そのためY2Kに関しても危機管理体制が組みにくい。上から指示されて、それぞの部門の中でやっているだけのため、全体像が把握できていない。「ただ、これまで日本企業はリスクマネジメントの関心が稀薄な傾向がありましたが、 Y2K問題を期に、それが変わる可能性があります。支援の仕事を終えたクライアントから、“今後、Y2Kだけでなく、会社の業務全般のリスクマネジメントについて支援して欲しい”という話もいただいています。企業活動が阻害される様々なリスク、たとえば顧客から受注の情報が届かないといった事態はつねに発生する可能性があります。Y2Kはきわめて具体的なため、ご理解いただきやすく、リスクマネジメントは企業活動にとって大事だという認識をもっていただくきっかけになっています。概して関心が薄かったリスクマネジメントですが、Y2K問題をを契機として関心が広がっていく。そのような感触を得ています」


トーマツ・コンサルティング
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